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その164

本編?は数行で終わります。


残りはメイドさんズとの、だらだらとした特に何事も無い午前中の日常会話です。

飛ばして貰っても問題は無いと思います。

「要は出費を減らす、節約する方向でも考えればいいんですよね? 収入を増やす事も大事だけど、それに加え出費を減らして余裕を持たせる、か……。なるほど、さすがはシラユキ様です。考えてみたら問題が二つでも答えが二個だけとは限らないかあ」


「この子は頭の回転が速いよなあ。バレンシアに似たのか? ふふ。ふむ……、まあ、行くか。ああ、シラユキ? 連れて行ってやれなくて悪いな」


 朝食後、ショコラさんはキャロルさんを連れて町へと行ってしまった。実際に住む事になる町の住人に話を聞いて貰い、相談に乗って貰った方がいい案は出やすいと思う。

 私もついて行きたかったのだけど、今日は大事を取って一日外出禁止令が発令されてしまったのだ。もうすっかり体も本調子なのに、みんないつまで経っても過保護なんだから……、嬉しいね。ふふふ。



 節約する。簡単で当たり前の話だと思っていたけれど実際はそうじゃなかった。ショコラさんライナーさんキャロルさんクラスの冒険者になると依頼でお金はどうとでもなってしまうものらしく、お金が無くなりそうならまた稼げばいい、という考えが普通になってしまうらしい。だからまずは収入の確保を優先している様に見えてしまっていたのだ。


 私からすると、収入はお仕事をしてその報酬を貰う、くらいしか思い浮かばない。節約の考えも無駄を無くすくらいしか考え付かない。お姫様生活がもう普通になりすぎて金銭感覚もおかしくなってしまってるんじゃないかな……。メイドさんズもメイドさんだし、冒険者の人にアドバイスは難しいと思う。現状私達にできる事は何も無い……、かもしれない。思い付かないだけで何かはありそうだけど。



 さて、と、急に暇になってしまった感じだね。キャロルさんのメイドさんの試験でもあるこの問題を片付けてしまおうにも、本人たちがここにいなければ難しいし、意味もない。そもそも二人はそのために町に行ってるんだし、さらに言うならシアさんがそんな簡単に手助けをするとも思えないけどね。

 まあ、いつも通り本を読んだりお散歩したりメイドさんズとお話したりしてゆったりと過ごそうかな。あ、お散歩は家の中限定になるのか……






 ショコラさんとキャロルさんを見送ってから談話室へと移動し、椅子に腰掛けて今日の予定を考えていたのだが……、どうも何もやる気が起きない。ここ数日は町までお出かけしたり、ショコラさんとお友達になったりと、密度の濃い毎日だったからその反動が来ちゃってるのかもしれない。


 よし、決めた。


「今日は二人が帰ってくるまでぼーっとして過ごそうかなー」


「ぼーっと、ですか? 姫様、まさか疲れを感じているのでは……? まだ魔力が回復しきっていないのかもしれませんね」


 シアさんに独り言を耳聡く聞きつけられ、さらに心配されてしまった。


「やっぱ丸一日休んだくらいじゃ全快はしてないのかな。どうしよっか……。また前みたいにベッドで安静にしてる? 無理だけはしちゃ駄目だよホントに」


「魔力疲れって体に異常が感じられなくても精神的にくるからね。シラユキ、だるさとか感じる? なんでもっと早く言ってくれないかなこの子は……」


 続いてメアさんとフランさんにも連鎖的に心配されてしまう。


 おっとと、いけないいけない。少し気が抜けちゃったのを疲れているんじゃないかと思われちゃったかな。


「大丈夫、魔力疲れでも体の調子が悪い訳でも無いよ。ありがと三人とも。ちょっとね、何もやる気が出ないって言うか、何もしないでゆったりと過ごしたい気分なんだー」


「そういうのを疲れてるって言うんじゃないの? まあ、姫がそう言うんならいいけどね。でも心配掛けたくないから嘘ついて黙ってたとかだったら怒るからね!」


 し、信用無いな私……。日頃の行いのせいか……


「ホントに大丈夫だよ……、もう。あ、今日は何かするとしても小説を読むくらいだと思うから、三人とも何かしたい事あったらそっちを優先させちゃってもいいよ?」


 三人とも週に一日はお休みを取って貰ってるんだけど、やっぱり趣味とかにももっと時間を使いたいよね。シアさんはどうせ私の側から離れたくないって言うに決まってるんだけど。


「いきなりお休み貰っても特にやりたい事も無いなあ……。ぼーっとする姫の横でぼーっとしてるよ」


「私には休暇は逆に恐ろしいですね。いえ、特に何をすることも無く、ほうけて過ごすのも嫌いではありません。ですが、それは姫様のお側でという前提でのみの事ですね。お邪魔でなければの話なのですが、できましたら私も姫様の隣に立たせて頂きたいです」


「急いでやらなきゃいけない様な事も無いしね。んー……、やりたい事って言ったらシラユキを可愛がる事かな。ねえシラユキ、膝に乗せていい?」


「え? うん、いいよ? ふふふ」


 シアさんは分かってたけどメアさんとフランさんも特に用事は無いのかー。


 フランさんは私を軽く抱き上げると椅子に座り、後ろから抱き締めるように頬擦りをしてくる。幸せ。


「ああ! フラン抜け駆け! 交代だからね!」


「出遅れましたか……。三番目に甘んじましょう。ああ、姫様? 私とメアも失礼して椅子に腰掛けても宜しいでしょうか?」


「へ? そんな事許可取らなくてもいいよ? 座って座って。何もしてないのに立ってるだけは辛いよね」


 ありがとうございますとお礼の一言の後、シアさんは空いている椅子を私とフランさんが座っている左隣へ持ってくる。


「ああ、なるほどね。それじゃ私も」


 同じ様にメアさんも私の右隣へ椅子を持ってきた。



 左からはシアさん。右からはメアさん。そして真ん中、私のすぐ後ろ、背中からはフランさん。三人からくすぐられたり頬を摘まれたりグニられたり突付かれたりなどなどなど……


「ああ、なんかいいねコレ、さっすがシア。でも三人同時に手出してるとキスはし難いね」


「キスは真ん中の特権って事で、ふふふ、交代を待ちなさい。あー、シラユキ可愛い……。レン、吸わせたくなってきちゃったんだけど、どうしよう」


「扉を閉めて来ましょうか? フランの胸を吸う姫様も是非一度拝見させて頂きたいですね」


「吸わなーい、吸いませーん。ああ、幸せすぎて全然怒る気になれない。このまま寝ちゃおうかな……。あ、キスはしてもいいよ?」


「姫ってキスされるの大好きになっちゃったよね、され始めの頃は恥ずかしそうにしてたのに。もしかして、私のせい?」


「メアはキス魔だからねー。でも日常する親愛のキスで舌入れちゃ駄目だよ? お休みのキスでならいいけど」


「よくないよー? でも三人とならいいかなとも思えちゃう。でも私はノーマルだからね!」


「ふふふ、分かっていますよ。ルーディン様とのキスも本当に嬉しそうにしていらっしゃいますからね」


「ルーディン様との場合は嬉しさ半分恥ずかしさ半分って感じじゃない? ルーディン様がお相手なら全然安心なんだけど、やっぱりまだまだ子供のままでいてほしいねー。姫が男の人と、っていうのは想像できないと言うか想像したくもないと言うか……、抵抗があるかな」


「あー、分かる分かる。この子が誰かとするところなんて確かに想像もできないよね。一生子供のまま、ずっと妖精が見えちゃうくらいの綺麗な子のままでいてほしいね」


「に、二十歳の子供に言う事じゃないよ……。どうせ三人とも私が五十歳六十歳になっても、その、アレの経験無しだったら早くルー兄様としちゃえって急かすに決まってるよ」


「そうかもしれませんね……。姫様? そこで私、という選択肢もあるのですよ?」


「ありませーん! シアさんはキャロルさんをお嫁さんにしてあげようよ……」



 ここで交代。メアさんとフランさんが入れ替わり、シアさんはそのまま。



「キャロルと言えば、シアはどうするの? 軽くあしらわれてるのを見てるとちょっと不憫に思えてきちゃうんだけどさ」


「どう、と言われましても……、どうもしませんよ? キャロも早く私の事など諦めてどなたかと……、メア、如何です?」


「いや、私はノーマルだし! キャロルは完全にベタ惚れだよね。他の人に心移りなんて無理じゃない?」


「なんだかんだ言って一緒の部屋にしちゃう辺り、シアさんもやっぱりキャロルさんのことはまだまだ可愛いと思ってるんじゃないかなー」


「同部屋なのよねー、ふふふ。襲われたりしてない? キャロルって結構我慢の限界早そうな気がするよね。それに、レンって寝るときは全裸派でしょ? どう考えても誘ってると思われてるって」


「自分で繋いじゃった話だけど恥ずかしい方向に流れていく……。でも、私もちょっと気になるかな……。ど、同意の上でならいいんだけど、その、放っておいた負い目とかそういう気持ちで応えちゃ駄目だよ?」


「私もキャロも睡眠時は共に全裸派なのですが、今のところ襲われるなどといった事はありませんよ、ご安心ください。ですが、その……、姫様にする様に、つい抱き寄せてしまうんですよね……、その、胸に……」


「好きな人が全裸で隣で寝てて、しかも抱き寄せられてるのに何も手出しできないとか……。な、生殺しどころじゃないでしょそれは。んー、でもさ、揉まれたり吸われたりはされてるって事? シラユキにするように、だとそうなっちゃうんじゃないの?」


「まあ、シアって厳しいようで、実際二人っきりになると優しそうだからね。やっぱ最後までヤっちゃってるんじゃないのー? 姫の言うとおり同意の上なら問題ないからね、ふふ」


「ヤってませんよ、まったく……。姫様と同じ様に胸に擦り寄ってきたりするくらいですね。あの見た目からか妹か娘の様に思えてしまって、甘えられる程度なら許していますよ、突き放す程でもありませんし、可哀相ですからね」


「シアさん優しいなー。でもヤるとか言っちゃ駄目。キャロルさんって我慢強いんだね、大人だなー」


「いやいや、我慢してると言えばしてるんだろうけど、それはレンには何も手出しして無いってだけで、ね? でしょ? レン」


「え、ええ……。寝たフリをするのがもう大変で……」


「おっと、これは姫には聞かせないほうがいいかな。はい姫ー、耳塞いじゃうよー?」


「え? あ、今のどういう意味で……。ま、まあいいか……」



 さらに交代。今度はシアさんとメアさんが入れ替わる。



「ああ……、幸せです。ここ数日毎日のように姫様を膝抱きにする事ができ、本当に幸せです……」


「な、なんて安い幸せ……。でもこんな事でシアさんに喜んで貰えるなら嬉しいなー」


「姫を膝に乗せてるときのシアってなんて言うか……、可愛いよね。ぬいぐるみを抱いて幸せそうに笑ってる女の子みたい」


「さすがにその例えは恥ずかしいですよ……、そんな顔をしていましたか私は。まあ、メアもフランも姫様を膝抱きにしているときは緩みきった表情をしていますが、ね」


「え? 私も? 今のレンみたいな表情ねえ……。ふふ。まあ、私たち三人ともシラユキに完全にやられちゃってるって事よね。シラユキを膝に乗せてるとね、可愛くって、嬉しくなって、幸せな気持ちになるのよこれが。シラユキもそうじゃない? 私たち、じゃちょっと弱いかもしれないけど、エネフェア様の膝の上だと言葉にできないくらい幸せでしょ?」


「うん、母様大好きだもん。もちろんフランさんとメアさんの膝の上でも、今こうしてくれてるシアさんとだって幸せな気持ちでいっぱいだよ? 三人とも大好きだよー」


「し、シラユキ可愛い……」


「姫可愛いいいい! 今のは私の膝の上で言ってほしかった!!」


「姫様……。ああ、幸せすぎて涙が……」


「シアさん大袈裟すぎ! ふふ、ふふふ」


「ああもう可愛い笑顔しちゃって! キスしたい! 舌入れてみたい!!」


「落ち着きなさいメア……、まあ、気持ちは痛いほどに分かりますが。しかし、メアももう完全にそちらの趣味ですよね、姫様限定でしょうけど……」


「え!? うわやばっ、私もそんな風に見られちゃってるのかー……。でも、まあ、うん、姫とならそれもいいかな……。多分最後までできちゃうよ……」


「ちょっ、シラユキがどんどんそっち方向に行っちゃうから駄目だって……。それはそれで面白そうだけどね。レンとメアで取り合いに? ふふふ」


「取り合う必要などありませんよ? 姫様でしたら愛人の十や二十人程度余裕で抱え込めるほどの懐の広さを持つに至られるでしょうからね。その時は三人ともに毎晩可愛がって頂きましょう……。ね、姫様?」


「ね、じゃないよ! ううう、ついにメアさんまでそっちの人に……、私限定で? ま、まだ戻れるよメアさん! でもメアさんを取られたくない! る、ルー兄様の愛人さんになっちゃってずっと一緒にっていう手も……」


「こらこら変な事考えないの。姫が大人になったら私も恋人探しでも始めようかな? あはは。でも、取られたくないって言葉は嬉しいね。姫が完全に女の人でもOKっていう感じになっちゃったら私も覚悟しようかなー? ふふふふ」


「何の覚悟!? どこまでが本気でどこまでが冗談なの!?」


「姫様、落ち着いてください。まったく、折角姫様がお幸せそうにまどろんでいるというのに……」


「レンだってノリノリでからかってたじゃない。あ、レンは本気か……。あ、そろそろまた交代して」


「もうですか? 幸せな時間というのは一瞬で過ぎ去ってしまうものですね……」




 その後も十分位の時間で交代を続けてお話を続ける三人。ここまでほいほいと物扱いされるのも逆に面白いね……

 メイドさんの膝の上でぼーっと何も考えずに中身の無い会話を続けていると眠くなってくる。でも、丁度うとうとし始めたところで毎回交代になって寝るに寝られない。


 まどろみ状態が続いていて気持ちいいんだけど、ちょっとぐっすりと眠りたい気分にもなるね。お腹が空く気配も無いし、お昼過ぎまで寝ちゃおうかな……



「あらら、限界かな? やっぱりこれって魔力疲れがまだ尾を引いてるんだよね。姫? 寝ちゃおっか。お昼は起きてからにしよ?」


「んにゅ……、うん……」


「んー、お昼寝、誰が行く? 私は今日の添い寝当番だし二人に譲るよ? キャロルがいれば任せたんだけどねえ……、間が悪い」


「では二人とも、でどうです? フランに負担が掛かってしまいますが……」


「いいねそれ。フラン、それでもいい?」


「お昼の準備くらいで負担も何も無いって。それじゃおやすみ、三人とも」


「姫はどっちの胸を吸いにくるかちょっと楽しみ。おやすみフラン、また後でねー」


「フランさんおやすみなふぁーい……」


「姫様、まだお眠りになるのは早いですよ? 寝る前に歯を……、姫様?」







クリスマスやお正月の特別編の様な物を書く余裕が全くありません。悲しい……


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