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その16

 ライトボール飽きた。

 もう、懐中電灯をつけたり消したりしてるだけの感覚なんだよこれ。魔法の練習、イメージ力の強化にはなるんだろうけどさ。


 と、いう訳で、そろそろ新魔法の許可を貰おうかな。他の魔法は今まで試そうとすらしていない。そういう約束だったからね。


 簡単に言えば、我慢の限界、そして暇。子供の探究心は止められないのよ!



「新しい魔法、おーしーえてー?」


「駄目よ」


 母様にっこり。


 やはり駄目だった!! まぁ、分かってた。




「いいじゃないか。何か安全で、簡単そうなのを一つくらい教えてやっても」


 父様が援軍に来てくれた。よーし、頑張って父様。


「駄目よ、駄目。決めたでしょう? 今後シラユキには一切魔法を教えないって。……あ」


「え……?」


 一切教えない? 



 ああ、そっか、私、我侭すぎたかな……、甘えすぎちゃってたかな……。こんな甘えん坊で我侭な子供に、魔法なんて教えられる訳ないよね……


「違う! 違うのよシラユキ! ああ、泣かないで……」


「エネフェア。この子は何気ない言葉でも深く考えてしまうんだ。もう少し、な」


「ごめんなさい、ウル。ごめんなさい、シラユキ……」


 泣き出してしまった私を、優しく抱きしめてくれる母様。


 よし、魔法は諦めよう、私には能力もあるしね。いや、こうなると能力も駄目か? 私の能力、魔法だからね。

 それなら、今日から頑張って認めてもらうしかない。我侭な、甘えん坊な子供は卒業するんだ。



「ごめんなさいね、私の言い方が悪かったわ。あなたに魔法を使わせない、っていう意味じゃないのよ」


 え? 使ってもいいの? 教えてくれないんじゃ? どういう事?


「魔法は教えようとしても、教えれるようなものじゃないんだ。何回も言ってるだろう? 感覚で使うもの、だと」


「そうなの、あなたの魔法はね、シラユキ。あなたが創るのよ? 私たちに教えられる事は、もう殆ど無いのよ」


 私の魔法は、私が創る? それって、え? 私の、能力の事、じゃないよね?




 私が女神様から貰った能力は、魔法を創ることができる、と言う能力だ。詳しい説明は今は必要ないね。


 家族の誰も、この世界の誰も知らないはずだ。一人の時に一度だけ使った事があるのみで、その後ずっと使用を控えている。

 あまりに便利すぎる能力なので、通常の、この世界の魔法が使えなくなりそう、使わなくなりそう、だったからだ。

 この世界の魔法と、私の能力で創る魔法はとても似ている。この世界の魔法でできない事を、能力で補う程度にしていこうと思っている。


 なので、まずはこの世界の魔法を、色々と教えてもらわなければいけないのだが?




「ルーが見せた、ライトボールか。あの魔法、中々使えなかっただろう? 今では簡単に使えるのに」


「う、うん」


「それはね、あれは、ルーのイメージの形、だからよ。シラユキが同じ様に使おうとしても、できる物ではないわ」


「あ……、ああ! そういう事だったんだ!!」


 なるほど、そういう事か!


 パズルのピースが、全てそろった。後は形にしていくだけだ。


「お? もう理解しちゃったのか!? さすがシラユキ!! やっぱり天才だな!!!」


「本当に凄いわねこの子は……。もうちょっと甘やかせて欲しいわ」




 兄様の魔法と同じものを出そうとしていたから、全くできなかったんだね。あれは私のイメージで作られたものじゃないから。

 寝ぼけている時にあっさり成功したのは、恐らく、無意識に電気をつけようとしたんだろう。それが私のあの魔法に対しての、一番近いイメージだったんだ。

 あの魔法、っていうのも違うな。兄様の魔法は兄様のライトボール。私の出した明かりの魔法は、ライトボールと見た目は同じだが、全く別物と言っていいんだろう。


 改めて思う。魔法って凄いわ!! もう能力なんて要らないんじゃないかな!! 女神様ごめんね?




「ああ、もう、凄い可愛い笑顔ね。さっきまであんな顔して泣いてたのに」


「だな。さすがに俺も焦った。あんな泣き顔は初めて見た……」


「うう……、恥ずかしい事言わないでー」



 私の魔法は、私が創る。私のイメージが、私だけの魔法になる。なるほど、これはもう一切教えようが無いね。納得納得。



「私たちが後教えられる事は、ヒント程度のものよ。シラユキが使いたい魔法に近いものを、実際に目の前で使って見せるくらいかしら?」


「それを自分なりにイメージして、魔法という形にするんだ」


「うん! 私、頑張るからね! 父様よりすごい魔法使いになるんだから!!」


「ふふふ、頑張りなさい。でも、お父様以上は、無理かもね?」


「はっはっはっ。そりゃ無理だ」


「むー!」


 そこはいつものように持ち上げるところでしょ!




「でもね、駄目なものは駄目なのよ? 本格的に始めるのは十歳になってからね?」


「えー!」


「そうだぞー? 今はまだ駄目だな。色々な物を見て、聞いて、感じて、思う。自分で、自分なりの思いをな。それが今、シラユキができる一番の魔法の修行だな」


「分かりやすく言うと、もっと外に出て遊びなさい、って事よ。転んだっていいわ。怪我したっていいわ。泣いたって……、あんまり泣いては欲しくはないわね。……こほん。その経験全てが、あなたの、シラユキだけの魔法に繋がるのよ」


 な、な、何この素敵過ぎる両親!!! 私、この二人の子供で本当によかった!


「うん! はーい!! また約束するね! 十歳まではもう魔法は使わない!!」


 魔法なんて使えなくたってもいいや! 父様母様が、家族が、みんながいればいいや!!



 あ、今はね? 今だけよ? 十歳になったらがんがん使うよ?

 ライトボールは今でも使うよ? あれ夜中便利だしね。他の魔法は、って事さ。



「ははは、素直でいい子だ。よし! 早速どこか遊びに行くか!! エネフェアも行くぞ!」


「そうね、最近はあまりシラユキと外に出かけてないし。それじゃ、お昼も外で食べましょう? 用意してもらえる?」





「あ! はい! 直ぐに!!」


 メアさん。何か嬉しそうだ。家族ドラマを見られてしまった。


「サンドイッチでよろしいですね。五分、いえ、三分ほどお待ちください」


 シアさん。三分でできるの!? 五分でも早すぎるからね!?


「あ、ごめん、泣いちゃってました」


 フランさん。感動されてしまった。い、意外に涙もろいのね……




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