その152
恥ずかしくもちょっと楽しかった行程も終わり、冒険者ギルド前へ到着。シアさんはまたもや私を降ろす気配が無い。もう今日は完全に諦めたよ。
まずはキャロルさんが、続いて私を抱いたシアさんがドアの無い入り口をくぐり、中へと入る。
「こんちわー。お、いたいた。ガトー、ライナー、お待た、せ? なんでエディまで?」
うん? エディさん?
キャロルさんの言葉にいつものテーブルに目を向けると……、座ったままにこやかにこちらに軽く手を振るショコラさんとライナーさん、と何故か同じテーブルに着いてガチガチに緊張しているエディさんが見えた。ついでにソフィーさんはいないのかな? とギルド内を少し見回してみる。
あ、いた。!? でも見なかった事にしよう……
「ナタリーさんはどうしてソフィーさんにされるがままなのでしょう? ふむ、面白そうですね。キャロはお二人を呼んで来てください」
「え? ソフィーティアですか? えー? アイツもですかって何やってるのよアイツは!!」
見なかったことにしたかったのだが、シアさんの興味を引いてしまったようだ。
シアさんにお願いされたキャロルさんはどしどしと足音を立て、二人の行為を止めに行く。
まあ、無理も無いね。なんでソフィーさんに胸を揉みしだかれてるのにされるがままなのナタリーさん……
「よう! 姫さんにバレンシア、昨日ぶりだな」
「おお、今日も可愛いなシラユキ。おめかしか?」
「お、遅いよシラユキちゃん……。あー、胃がキリキリするぜ……」
「ショコラさんライナーさんエディさん、こんにちわー。ごめんね、やっぱり駄目だって」
まずは挨拶と簡単に結果報告。
私が我侭を言えばこの二人だけは条件付で入れてもらえそうなんだけど、母様がお爺様とお婆様に怒られるかもしれない。できたらそんな事は避けたいからね。
「あー、だから言ったろ? 怒られなかったか? ウルギスさんはその辺厳しそうだからな……」
「え? 父様が厳しい? あ、ううん、怒られたりはしなかったよ、大丈夫」
父様が厳しい……? え? 何語?
ライナーさんは父様に一回しか会ってないからか……。しかもよそ行きモードと言うか、あんまり喋らなかったもんね、あの時の父様。
「まあ、私はフラニーなんとかの料理さえ食えればどっちでもいい、気にするなシラユキ。入ろうと思えば巡回を蹴散らして」
「だ、駄目だから!! いくらショコラさんでも父様母様に殺されちゃうからね!」
「本当にからかい甲斐のある子だなシラユキは。おっと、悪かった、そう睨むなバレンシア」
ショコラさんの言葉にシアさんの顔へ目を向けてみたのだけれど、いつもの優しいにこやかな表情のシアさんだった。
「怖い顔は駄目だよシアさん? あ、そろそろ降ろしてほしいな?」
「えっ?」
「えっ? じゃないよっ。え? 今日はずっとこのままなの?」
「ふふ、冗談です。名残惜しいですが……」
そう言うとシアさんはゆっくりと私を床へと降ろす。ずっと抱き上げられていたからちょっとフワフワした感覚が……。転ばないように気をつけよう。
むう、私もちょっと名残惜しい気持ちが……。手を繋ぐくらい……、おっと。甘え癖が付いちゃってるなー、私って。
「ふう。まったくもう、シアさんは……。エディさんはどうしてここに? ソフィーさんは別のテーブルにいるのに」
ソフィーさんがいた辺りを見ると……、ああ、まだ揉んでる。キャロルさんが話を聞いてるみたいだけど、やっぱり見なかったことにしよう。
料理はいっぱいあるし、一人二人増えたところで問題はないと思うけれど、やっぱりこの疑問は消化しておかないとね。
エディさんは高ランクの人にはあまり近付かないようにしていた筈だ。それがこんな、同じテーブルに着いてるなんてどんな心境の変化があったんだろう?
「ああ、ソフィーはナタリーが来てすぐあっちに行っただけだよ。俺は逃げ遅れさ……」
「逃げ遅れとは、中々言うな」
「ひい! すんません!!」
ショコラさんの一睨みに全力で頭を下げるエディさん。シアさんに怒られまくってたラルフさんたちを思い出す光景だ。
「脅かすなよ師匠。まあ、俺たちも姫さんたちが来たらどうせ奥行くんだから、別に席空けなくていいぜ、つってな。昨日はソフィーティアしか紹介されなかったし丁度いいかって事だ」
「ああ、そんな訳だ。昨日はシラユキの友達としか聞いてなかったからな、こうやって少し話を聞いていたところだ。まあ、悪い奴じゃあなさそうだな」
なるほどなるほど、それはそれは。エディさんはご愁傷様だ。
「シラユキ様、バレンシアさん、こんにちは。今日は一段とお可愛らしいですね、ふふふ。そのスカートに潜らせて頂いてもよろしいですか?」
「よろしい訳あるか! シア姉様ー、コイツは置いて行きましょうよー」
「あ、私のスカートの中にでしたらいつでも」
「ソフィーさん捲っちゃ駄目!! あ、手はもう大丈夫なの? おっぱい揉みたいのは分かるけど無理しちゃ駄目だよ?」
その後すぐ、キャロルさんが二人を連れて来てくれた。
ソフィーさんの右手にはまだ包帯が巻かれている。それなのにあんなに激しくワシワシと……
「ええ、もう痛みも何も。お心遣い、ありがとうございます。暫くは無茶をするなとのルーディン様のお言葉どおり安静にしています。しかし、ロレーナさんから動かさなければいいものではない、軽く握ったり開いたりする程度はした方がいい、との助言を頂きましたので、ああしてナタリーさんの胸を揉んでいたのです」
揉みまくっていた理由はどうでもよかったが、いや、よくないか、大切な事なんだけど……。ま、まあ、火傷がほぼ完治しているみたいで安心した。魔法薬って凄いんだね。
「そんな訳で怪我人を払い除けるのもなんだし、されるがまま揉まれてたんだよ。シラユキちゃん、メイドさん、こんちゃー。でも両方揉む必要は無くね? あ、ええと、『閃光』と『鋼爪』のお二人も、こ、こんちわー。め、目ぇ怖えー、背ぇ高えー……。キャロルさん、勘弁してよマジで……」
そして、ちょっとビクビクしちゃっているナタリーさん。ナタリーさんもエディさんも何を怖がる事があるんだろ? 二人ともDランクとEランクだからかな? それとも竜人種族だから?
私のお友達同士、できたら仲良くしてもらいたいね。
「別に取って食われやしないって……。いや、ガトーならありえる? ライナーなら性的な意味で?」
「ひい! 私美味しくないです!! 食べるならシラユキちゃんをどうぞ! きっと美味しいですよ? ごめんなさいメイドさんナイフしまって!! あ、性的な意味でなら危な!! な、投げた!? 全く見えなかったんですけど!! どう投げたの!? どこから出したの!? うわ! 予備!?」
「姫さん姫さん、あの元気な女も姫さんの友達か? バレンシアが楽しそうなのがウケるんだが……」
ライナーさんの手招きに誘われ、二人の近くへ。
「うん、私の大切なお友達のナタリーさん。見たとおり人間種族のEランクの冒険者の人で、可愛くて楽しいいいお姉さんだよ。それと、シアさんはいつもあんな感じだけど……、何かおかしい?」
「普通にナイフ投げるメイドさんはおかしいよ!? やっぱシラユキちゃんは面白いな……」
「バレンシアは普通じゃねえし、いいんじゃねえか? おっと、いや、なんでもないさ。ただ……、楽しそうだな、ってな」
「うんうん、普通じゃないからいいよね。シアさんなら絶対に当てちゃう事も無いし、安心して見てられるよ。ちょっと床とか壁とかテーブルとか穴だらけになっちゃってるんだけど……」
最近はツッコミを入れなければいけない人数が増えた分、ナイフの被害範囲もどんどんと拡大していっているのだ。ナタリーさんとソフィーさんのフットワークが軽い分どうしてもそうなってしまう。
まあ、見てて楽しいからいいんだけどね。そろそろ床と壁の張替えと、テーブルも一式弁償しなきゃ駄目かな……
「やけにテーブルに刺した様な穴が多いと思ったらそういう事か……。まあ、うん、本当に楽しそうだな」
「あ、ショコラさん。昨日食べたケーキとアップルパイ、ナタリーさんがくれたんだよ?」
「何……? おいやめろバレンシア」
ショコラさんの静止に、ナイフを投げる手を止めるシアさん。ナタリーさんは綺麗に壁に貼り付けにされている。ちょっとよそ見をしていたらなんという面白い状況に……
遠巻きに見ていた他のテーブルの人達も拍手喝采50点コールだ。それ死んじゃうからね……
「助かった! 私生き残った!! でも動けないんですけど!! 服には刺さってないけど動いたら切れそうで怖い! 誰かコレ抜いて!! ソフィーは来るな! 揉むなー!!」
「次は服を刻んでいこうと思っていたところなのですが……、まあ、いいでしょう。ああ、ナタリーさん? 刃は落としてありますからそう簡単には切れないと思いますよ」
「何……? おい続けろバレンシア」
「ライナーさん!? もう! ライナーさんもやっぱり男の人だね。ショコラさんの前でそんな事言っちゃってもいいの?」
「んあ? 別に構わんさ。コイツも若いんだから、どこかで発散はさせてやらにゃ」
「はいそこまで」
「その役目是非私に!!」
「はいそこまで!」
「あ、私もOKッスよごめんなさい!! そのナイフ刃、落としてなくね!? 死ぬ! 死んじゃうから!! 落として無くても刺さったら死んじゃうけど!!」
「あはは。今日はシアさん大忙しだね」
「この二人はやっぱ置いて行きましょうか? あ、エディ、アンタはどうする? これから奥でお昼食べるんだけど」
「ん? んー、どうしたもんかな……。それじゃ、ソフィーが行くなら俺も行くよ。邪魔じゃなければ、だけどさ」
「あ、よろしいのですか? 嬉しいです。お邪魔なら言ってくださいね」
「くそう、そう言われると来るなとは言えない……」
「料理の品数によっては邪魔になるかも知れんな。まあ、その時はその時だ、ライナーを追加を買いに走らせよう」
「俺がかよ!? まあ、いいけどな」
「凄え……、Sランクすげー。『鋼爪』を使いっ走りにするのか……、ってその時は俺とソフィーが行くよ」
「そうか? ま、何でもいいさ、早くメシにしよう、行くぞバレンシア。……シラユキは動き難そうな服だな、私が抱き上げて行こうか?」
「へ? あ、いいの?」
「おお、やっぱりシラユキちゃんが一番凄いか。!? あ、ガトーさんガトーさん、バレンシアさんが殺さんとばかりに睨んできてるんだけど」
「何!? シラユキに触れたらアウトか? ま、まあ、機嫌を損ねては不味い、バレンシアに任せよう……」
「バレンシアさんがやっぱ色んな意味で一番凄え!!」
「ちょっ、私も行くって! 誰かナイフ抜いて!! あ、ソフィーは来るな!! 揉むな!! ちょ、感じちゃうから優しく揉まないでー!!」
ぞろぞろと大人数で冒険者ギルドの奥へ。ミランさんが羨ましそうに見てたからデザートは一つ残しておいてあげようと思う。
しかし、三人増えて八人か……。シアさんは私のお世話と配膳、キャロルさんも今日はそれに近い行動を取るだろう。ライナーさんは食べる事に集中するとして……、ふむ。ツッコミはエディさんだけか……? ナタリーさんも一応、ノリがいいだけでツッコミもできる万能選手なんだけど……、期待はでき無さそうだ。
私? 私はシアさん自慢のお姫様としてそんなはしたない真似はしませんわ、おほほ……。に、似合わないっ!!
前にライナーさんから謝罪を受けた部屋へと入る、懐かしいねここも。ライナーさんと目が合うと苦笑いを返された。考える事は同じだったらしい。
八人でも充分座れる広さだけど、やっぱり少し手狭に感じてしまうね。実際に座るのは六人と考えるとそうでもないかもしれないが。
「姫様、一つ一つ、体の違和感を確かめながら、ですよ? では、お願いします。皆さんは座って待って貰って結構ですよ。キャロは手伝いなさい」
「はい! お昼抜きかー……。メアリーとフランが摘んでおけって言ってたのはこういう事ね、なるほど」
「ふふ、キャロルさんも食べていいからね。もちろんシアさんもだよ? それじゃまずは、食器とか乗ってたのから……」
まずは一つめ、テーブルのセッティングに必要な色々が乗せられていたカートを思い浮かべ、揺らさないよう細心の注意を払って私の影の上に出現させる。
おおー、と驚くみんなの声。ふふふ、ちょっといい気分。出すときも影から出している訳ではなく、私の影のある位置ならどこにでも、という感じだね。
一つめのカートを受け取ったキャロルさんがテーブルのセッティングを始める。ソフィーさんとナタリーさんが自然に手伝いに入ってるね。まあ、キャロルさんの身長だと色々と大変そうだからね……
続けて、主に料理が乗せてあるカートを慎重に一つ、二つ。これで三つ、だ、ね……? 後二つ!!
「姫様!!」
シアさんが私を止めようと抱き上げるが、静止を振り切り残りの二つを出してしまう。この魔法は影さえあれば、私自身はどんな状態でも使えちゃうからね。
ふう。一息つく。あー、怒られるなこれは……
「おい、どうした? 姫さん何かあったのか?」
「シラユキ可愛さに我慢ならなかったんじゃないのか? まあ、気持ちは分からんでもない」
「シラユキ様? ……まさか!」
キャロルさんも気付いたみたいだね。いやー、どうしたものかなこれは……
「ごめんねシアさん。ちょっとだけ……、疲れちゃった……、かも」
「姫様……。キャロ、椅子を一つこちらへ。それと、申し訳ありませんがソフィーさん、ナタリーさん、お二人にも配膳のお手伝い、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「はい! ……どうぞ。だだだ大丈夫ですかシラユキ様?」
「うん、大丈夫。ちょっと疲れちゃっただけだから。ありがとねキャロルさん」
シアさんの言葉に即座に椅子を一つ持ってきてくれるキャロルさん、心配そうだ。
シアさんは私を抱えたまま椅子に座り、私の負担にならないよう慎重に体の位置を整える。横抱きの状態でシアさんの体に持たれ掛かる感じだね。お友達の前だとこれはちょっと恥ずかしいな……
症状は、前にプラズマボールを消した時と比べれば全然軽い。息切れもしないし、普通に歩き回れそうだ。少し気だるい感じかな?
「シラユキ様は……、魔力疲れでしょうか? 大丈夫ですか? バレンシアさんはどうぞそのままシラユキ様の介抱を、こちらは私にお任せくださいね」
「うーん? やっぱ凄い能力だけあって消費も大きいのかもね。いいよいいよ、二人は休んでて。このウエイトレスさんに任せなさい!」
「おお、普段が普段なだけに違和感が凄いぞこの二人……。ま、シラユキちゃんはバレンシアさんにたっぷりと怒られて甘えてな。俺も手伝うよ二人とも」
むう、さりげない配慮、さすがエディさん。こういう細かいところで自分から動けちゃうのがモテる秘訣なのかもしれない。
「見たとこかっるい魔力疲れだろ? 俺たちで言う竜化疲れか? 大袈裟な……」
「心配そうにチラチラ見ながら言うセリフか阿呆。お前も手伝って来い」
「師匠だって座って踏ん反り返ってるだけじゃねえか!! その子供みたいにナイフとフォーク持って待つのはやめろって……、可愛いなチクショウ……」
おお、またあの子供みたいなキラキラした目で料理が並ぶのを眺めてるね。ショコラさんはホントにこういうところが可愛い人だなー。ライナーさんは完全にやられちゃってるね、ふふふ。
「姫様、今日こそはエネフェア様にきつく叱って頂きますからね。やはり昨日今日と立て続けで使える魔法ではありませんでしたか……」
私の額と頬に手を当て熱を測り、胸に手を当て、多分心音と呼吸を確認しながらシアさんは話す。
「あ、そっか。昨日も合わせるとえーと……、いっぱい使ってるね。ご、ごめんねシアさん。やっぱり、帰らなきゃ駄目?」
昨日はお店で貰ったクッキーとケーキの箱、オレンジジュースの出し入れ。その後バスケットも五個出し入れしてたね。あ、バスケットは家に帰ってからもだった。
な、なるほど、使いすぎだったのか……。今日のシアさんはやけに気遣ってくると思ってたらそういう訳だったんだね。言ってくれればよか……、よくないか。言われても絶対に無理して使っちゃってたよ。結果は同じだったのかもね。逆に先に言われていたら変に緊張して大きな失敗をしていたかもしれない。なにこのメイドさん凄い……
残念ではあるけど、三人も私のお友達が乱入してきてるんだ、ここで二人抜けちゃっても大丈夫だろうと思う。大人しく帰って休むとするかな……。寂しいな……
「いいえ、そこまでする程では……。ですが、私の膝から降りない、そうお約束して頂けますか?」
「いいの!? うん! 約束するね! ありがとうシアさん!! 大好き!!」
丁度いい位置にシアさんの顔がある。シアさんの優しさに我慢ができなかったので頬に軽くキスをする。
「ふふふ、ありがとうございます姫様。できましたら唇にして頂きたかったのですが、それはまた後程……」
「あ、やっぱお前らそういう仲か」
「何? キャロルの次はシラユキか? この節操無しが。私がいつでも嫁に行くと言ってるだろ? 私にしろ」
「ショコラさんもそっちの人だったの!? って違うからね!! キスはしてるけど家族に対する」
「姫様、落ち着いてください。ライナーもガトーも、今の姫様を興奮させるような真似はやめてくださいね。次は……、ありませんよ?」
「お、おお、悪かった……。睨むな怖え」
「ふむ……。シラユキはバレンシアの逆鱗か、これは気をつけないと、な。ああ、シラユキ? 私の今の言葉は本気だぞ? バレンシアにならいつ娶られてもいい」
「ショコラさんホントにそっちの人なんだ……。シアさんはなんでそんなに女の人にモテモテなの? あ、ライナーさん……」
「哀れみの目で見るなよ姫さん……。まあ、男も女も関係ねえんだ師匠は。師匠が今まで生きた中で自分の舌に一番合う料理を作れたのがバレンシアらしいんだよな。バレンシアが作る以上に美味いモンもそれを作っちまう奴も、山とあるし、いるんだがな。つー訳でバレンシアは俺のライバルって訳だ」
「はんっ。強さは勿論料理の腕はからっきし、何から何までシア姉様に負けてるくせによく言うわ」
「てめえだってバレンシアにもう相手にされてねえくせにな! 俺にはまだ、先があるんだよ!! つかこんないい女同士くっ付けてたまるか勿体無え」
「ぐふあっ! 痛い所を……。これが、若さか……!!」
「あはは、二人とも仲良いね。でもキャロルさん、鼻で笑うとかはしたないから後でシアさんからお仕置きね」
「お任せください姫様。覚悟しておきなさい、キャロ」
「はっ!? 私って奴はまた……! 今度は何されるんだろ……。後で一緒に怒られましょうシラユキ様」
「私も怒られる側だった!!」
「ねえねえ、エディ、ソフィー。今聞いた事他に漏らしたら、どうなるの?」
「死ぬだろそりゃ。何言ってんだお前?」
「軽い!? あっちゃー、来るんじゃなかったか……。でもこの空気は正直楽しいのよねー、これがまた。ま、夢にまで見たシラユキちゃんのお友達、やめるつもりはさらさら無いけどね!」
「ナタリーさんが口軽く噂を流すような方ではないことをバレンシアさんも分かっていますから。それに、あの方たちにとってみればどうとも無い、他愛も無い話かもしれませんよ? ……これで終わり、ですね。さ、準備が整いましたよ皆さん。あ、口移しが必要な方がいらっしゃいましたら私に」
「いねえよ!!」「なんで口移し!?」
「ふふ、あははは。それじゃ、シアさん?」
「ええ、私たちも……。キャロ、また椅子をお願いしますね」
「はい! ああ、楽しいなコレ。とりあえず今はお仕置きの事は忘れて楽しもっと!」
昨日に比べると約2倍の文字数になってしまいました。
さりげなく出て来ているナタリーの紹介はまた次回にでも。