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148/338

その148

 今日は色々と疲れちゃったね、でも凄く楽しかった。充実した一日、ってやつだね。

 お風呂で手足をシアさんに、たまにくすぐられたりからかわれたりしながらもしっかりと揉み解してもらい、さっぱりとしたところで談話室へ。

 眠くなるまで本でも読もうかなと思ったが、折角今日は色々な所を巡って来た事だし、メイドさんズとお話でもしよう。


 シアさんと一緒に談話室へと入ったら、メアさんとフランさんは軽いおやつの用意を、キャロルさんは部屋の隅で正座をさせられていた。


 ふむ……、面白そうではないか……






 目線でそろそろ許して欲しいと訴えかけてくるキャロルさんを軽くスルーし、シアさんの引いてくれた椅子へと座る、筈だったのだが、何故かシアさんに後ろから持ち上げられてしまった。

 そのまま椅子へ座るシアさん。なるほど、一緒に座りたかったんだね、ふふふ。


「クレアに聞いたけど、なんか、面白い人だったんだって? ある意味料理人には堪らない人だったとかなんとか……、竜人種族じゃなければここに招待して貰うんだけどねー。いやー、残念残念」


「うんうん、残念だよね。すっごく美味しそうに食べる人でね、ふふふ。何て言うんだろう……、カッコいいのに可愛い行動の綺麗な人?」


「へえ、カッコ可愛い美人か。たった一日で姫にそこまで好かれるなんてよっぽどの人だったんだね。さすがシアの友達をやってただけはあるかな」


 うんうん、言葉の意味は分からないけど納得させられてしまう言葉だね。


「どういう意味ですか……。まあ、確かに私が友人と呼べる数少ない内の一人ですからね、それなりの人物ではありますよ。それでも暫く会っていなかったので、姫様には私が実際に会って確認後に紹介する予定だったのですが……」


「うにゅうにゅ、にゅにゅにゅ……。ごめんねシアさん……」


 ほっぺをグニグニと、伸ばされたり潰されたり……。何この優しすぎるお仕置き! キャロルさんが羨ましがって……、はっ!? キャロルさんにこれを見せ付けて、さらにお仕置きとしているのか!?

 どうやら私はただ可愛がられているだけらしい……、怒ってもいいと思うんだけどなー。


「ふふふ、怒ってなどいませんよ。逆に姫様を不安にさせてしまっていた様で、申し訳なく思っています。やはり簡単にでも説明してから出かけるべきでしたね。しかし説明してしまうと……」


「だね。姫の好奇心に火を点ける結果になってたと思うし、一緒に行くか後で合流するかの違いでしかなかったんじゃない? ルーディン様とクレアにも紹介できたんだし、いい結果になったと思うよ、私はね」


 ふ、二人ともよくお分かりで……

 確かに『閃光』の二つ名持ちのSランクの冒険者の友人に会いに行ってきますね、なんて言われちゃった日には、ついて行きたいと我侭を言い出していた気がする。

 そうなるとシアさんとキャロルさんを困らせてしまっていたかもしれないし、メアさんの言うとおり、本当にいい結果になったんじゃないだろうか?


 違うよ……、多分運が良かっただけだよ……。ショコラさんが悪い人? になっていた可能性もある訳だからね、今回もしっかりと反省しなければ!



「にしても、結局『閃光』の意味は分からなかったんでしょ? レンは知ってるの?」


「え? ええ。まあ、いいじゃないですかそんな些細な事は」


「あ、そうだね、忘れちゃってた……。ソフィーさんが手を火傷させられちゃった時に一瞬光ったとか言ってたような……」


「火傷? 光って火傷かー……、うん? え? ソフィーってソフィーティアさんだよね? 姫の友達の。友達を傷付けられたのに姫が怒ってないなんて、どういう事?」


「ソフィーティアって、確かアレでしょ、変態の。んで、ガトーショコラさんってクレア並の美人だったんだよね?」


「あー、なるほどね。や、火傷で済んでよかったねその人……」


 私がいつもソフィーさんの恥ずかしい行動の数々を話しているので、どうやらメアさんフランさんの中でもソフィーさんイコール変態になってしまっているようだ。だが、合ってるから問題無し。


「握手に見せかけておっぱい鷲掴みにしたんだって。ショコラさんもいきなりでビックリしちゃっただけで、後でちゃんと謝ってたみたいだよ」


 まあ、私も全然怒っていなかった訳ではない、ソフィーさんは大切なお友達だからね。おやつを食べながらのお話で軽く聞いてはみたんだけど、そんな感じだったらしい。


「姫様はソフィーさんにも会われていたんですね……。まさか、癒しのまほ、能力をお使いになられたのではないでしょうね……?」


「つ、使ってないよ!! 使おうとはしたけど……」


 ソフィーさんが遠慮しなかったら使う気満々だったんだけどね。


「ふう……。まあ、私が一緒でなくてもルーディン様が止めてくださったでしょうし、気にしすぎましたか、すみません」


「あ、でも……、傷跡が残っちゃったら……、いい、よね? その、そのときは止められても多分使っちゃうと思う……」


 ソフィーさんの右手の甲、あんな目立つ所に傷跡なんて……、絶対に残ってほしくはない。


「え、ええ……、ですが、絶対に私の前でお願いしますね。心配です……」


「うん……。姫はちょっと……、優しすぎるよね。もっと自分の体の事も考えないと駄目だよ? ね?」


「前のときだってそうだったでしょ? いきなり目の前で気絶されるとか……、しかも自分が原因でだよ? そんな事になってまで自分の体が治っても誰も喜ばな……、あ! 怒ってないから!! ななな泣かないで!! ご、ごめーんシラユキー!!」


 しゅーんとしてしまった私に慌てて謝ってくるフランさん。


 そう、だよね……。もっと相手のことも考えなきゃ駄目だった。

 自分の傷跡が綺麗に消えた。でも、消してくれた友達がそれが原因で倒れました。とか、私だったら絶対に自分を許せない。


 そっか、今までの私の考えは多分、ただの自己満足でしかなかったのか……


「うん……。ありがとう、シアさん、メアさん、フランさん。ごめんね? 自分勝手で我侭なお姫様で……」


「あああああ。泣いてないのは安心だけど、自分を責めないで……。うーん、ごめんねシラユキ、ちょっと言い過ぎちゃったよね……。ねえ、レン、ちょっとシラユキ貸して」


「ええ、すぐに返してくださいね」


 おお、久しぶりの物扱いだ。

 シアさんは座ったまま私を軽く持ち上げ、フランさんに手渡す。手渡されたフランさんはそのまま私をギュッと抱きしめてくれる。胸が押し付けられて苦しいよ……。くう、もげろ!


「あー、フランずるい。次は私ね」


「はいはい。……こほん。ね、シラユキ? 自分を責めなくてもいいからね? 全部シラユキの優しさから出ちゃった行動なんだから、ね? ただ……、うん、私らに、家族みんなにまずは相談するようにして欲しいだけ。シラユキ一人で抱え込むような事はしなくてもいいの。ね?」


 抱き上げた私を優しく抱き締め、そう優しく諭してくれるフランさん。


「うん……、うん! ふふふ、ありがとうフランさん……。大好き!!」


 か、感動してしまった。もう……、フランさん大好きすぎるよ。


 あまりに嬉しすぎるので、こちらからも抱きついて、フランさんの頬にキスをする。


「ふふふ。シラユキかーわいい! んー」


 お返しにと思いっきり唇にキスされ返されてしまった! 恥ずかしい!


「!? フランずるい!! 姫姫、私にもキスしてー!!」


「ああ、うん。私は堪能したからいいよ。はいパス」


 ああ! さらに物扱い! でも楽しい!!


「はいありがと。んー、姫ー。あー、今日の姫は一段と可愛く見える……。舌入れてみていい?」


「だだだだだ駄目!!」


「あはは、冗談だよ。はー、おっかしい。ふう……、私、姫とならホントにできそう……。試してみようか……」


「え!? め、メアさーん?」


「あ、うん、私もシラユキなら全然イケるわ。旦那と別れても惜しくない」


「ふふふフランさん!? し、シアさん助けてー!」


「はいはい二人とも、姫様をからかうのはそれくらいにして……。では、本日のメインイベントを始めましょうか」


「ちょっとやりすぎだったかな? ごめんね姫。でも舌入れても平気そうなのは本当だよ」


「あはは。私はシラユキとなら最後まででもOKよ? キャロルにヤり方教わっておこうか?」


「ひい! 二人とも舌なめずりはやめて!! う? メインイベント?」




 メアさんに抱き抱えられたまま、四人でキャロルさんに近付く。キャロルさんはイチャイチャと楽しんでいた様を見せ付けられて、床にのの字を書いていじけてしまっている。


 ごめんねキャロルさん、存在自体忘れちゃってた……


「さて、キャロル、反省はしましたか?」


「はい! しました!! メイド見習いなのに何も手伝いをせず、すみません!! 冒険者仲間との荒い、はしたないやり取り、すみませんでした!! 私にもシラユキ様を抱かせてくださいいいいい!!」


「ビックリした!! うん、キャロルさんも一緒にお話しよ?」


「シラユキ様ぁ……」


「うわあ、半泣きだよ。もう許してあげなよ、シア」


「ええ……、ちょっとやり過ぎましたか……。キャロ、悪かったですね。足は……、どうですか?」


「え? あ! シア姉様は何も悪くはありません!! ……足? あ、はい、ちょっと痺れちゃってて、立ち上がれそうにな……、抱き上げてくれるんですか!?」


「おお、凄い食いつき。レンもたまには優しいところあるんだね」


「何を馬鹿なことを……。ここからが面白いところなのですよ? さて、キャロ? 今から行う仕置きに耐え切ったとき、そうですね……、今日、姫様がお休みになられるまでの間ですが、限定的に姫様の椅子になれる権利を授けましょう」


「しししシラユキ様を膝抱きに!!? た、耐えます! 耐え切って見せます!! お、おお、おおおお!!!」


「な、なんという気合の入れよう……。シアさん、何する気なの? あんまり痛いことや酷い事は駄目だよ?」


「いえいえ、そんな事は決して。……思い出しませんか、姫様? 正座、冒険者ギルド、ソフィーさん、お仕置き……」


「!? し、シア姉様!? そ、それだけは……、それだけは……!!」


「あー、少し前に遊びに行ったときの話ね。あれは聞いてて面白そうだと思ってたのよねー。ぐふふふふ」


「うんうん! 姫がすっごく楽しそうに話してたもんねー。ぬふふふふ」


「ささ、姫様、存分にお楽しみください。ああ、フランとメアもどうぞ」


「ご、ごめんねキャロルさん。でも、これはお仕置きだから! 仕方のない事だから!!」


「そうそう、お仕置きだからね、しょうがないよね。さーてどこから……」


「ご丁寧に裸足だし、ふふ、くすぐってもいいんだよね? さあ、覚悟!」


「あ、ちょっ、まっ、!!!? ひゃわあうわ!! ややややめ、!? た、耐えなきゃ! 耐え切らなければ!! ちょっ、くすぐるのは反そひあああああ!!! こらフラン! スカート捲るな!!」




 数分後、地獄から生還したキャロルさんは、私を膝の上に乗せ、幸せそうに燃え尽きていた……






 キャロルさんは結構小柄な人だからちょっと不安定になるかとも思ったけど、全然大丈夫だね。


「あー……、シラユキ様可愛いー、柔らかいー、いい匂いー。あ、シア姉様と同じシャンプーですよね? うあー、手も足も細……、? ちょっと細すぎません?」


 私の手や足を撫でながら髪の匂いを嗅いだりと、残り少ない時間を全力で堪能しようとしているキャロルさん。


「くすぐったいよキャロルさん、ふふふ。そんなに細い?」


「ええ、はい。私の二十の頃って、もう少しありましたよね、シア姉様? ……シア姉様?」


「あ、シアならさっきエネフェア様とユーネ様呼びに行ったよ」


「な、なんでお二人を? え? さすがに見習いの分際でこれは不味くない?」


「見習いとかはレンが勝手に言ってるだけだからそこまで気にしなくてもいいんだけど……。まあ、そのままで大丈夫よ。ふふふ、これは見せたくなるわよね……」


「へ? フランさん今なんて」



「ここね!! うわっ! 可愛い!! 何これ!!」


「ゆ、ユー姉様、何これって……」


「こーら。ユーネ、はしたな可愛い!! 何この可愛らしい組み合わせ!! キャロル、貴女うちの子になりなさい!!」


「えええ!?」







長い一日、もう一話だけ続きます。

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