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137/338

その137

R15くらいの表現があります。

ええ、例の人です……




 今私は、シアさんと手を繋いでちょっと久しぶりな気がする冒険者ギルドに向かっている。

 エディさんもソフィーさんも特にお休みの日とかは決めてなくて、事前にいつお休みなのか聞いておかないと中々会えないんだよね。ソフィーさんには森に入る許可を出してしまおうかな? いや、危険か。森に猛獣を解き放つようなものだ、やめておこう。

 実際今日も約束があって来た訳じゃない、ただのついでだ。たまたま近くを通りかかった、と言うか、お買い物ついでにミランさんにお菓子の差し入れにやって来たのだ。


 か、勘違いしないでよねっ、別にミランさんに会いたくて来た訳じゃないんだからねっ! とか言ってみようかなとも思ったけど、ミランさんは本気で落ち込みそうだからこちらもやめておこう。


 ミランさんは私の間食禁止令を律儀に守り、今は決まった時間、おやつの時間にしかお菓子を食べてはいない。

 最初は本当に辛そうで、よくペンを齧りながら私の方を縋る様な目で見つめてきていたのだが。やっぱりそこは禁酒禁煙と同じ、慣れてしまえば後は楽みたいで、肌荒れがあまり気にならなくなったと喜んでいた。そういえば煙草って吸ってる人見かけないな……。まあ、どうでもいいか。

 禁止令を出した直後くらいに手を少し触らせてもらったんだけど、全然荒れている感じはしなかったんだけどね。見えない部分で何かしらあったのかもしれない。

 まあ、もう過去の話だ、今思い出して悩んでも仕方が無い。そんな考えを頭の隅に追いやり、ギルドの中へと入ると……


 ソフィーさんがカウンターの前で正座をさせられていた。



 ……嫌な予感がする。なんでちょっと嬉しそうなのソフィーさん……






「ミランさんソフィーさんこんにちわー。はい、ミランさんこれ、お土産だよ。おやつの時間に食べてね」


「わあ! ありがとうございますシラユキ様!! お姫様から差し入れを貰うギルドの受付なんて私くらいですよね。ふふふふ」


 おお、ミランさん嬉しそう。これは遠回りしてでも寄りに来た甲斐があったね。誰かに嬉しそうにして貰える事は私にとっても嬉しい事だ。ふふふ。


「挨拶を返しなさい挨拶を。不敬罪で国外追放ものですよ?」


「すすすすみません!! シラユキ様、バレンシアさん、こんにちは!!」


 シアさんの一言に大慌てで挨拶を返すミランさん。大きな声だったので注目を集めてしまった、恥ずかしい。でも挨拶は大切だね!


「はいこんにちは、お元気そうで何よりです。ところで……、ソフィーさんはどうしてその様な、面白そうな状態になっているのですか?」


 さっきから一言も喋らず、にこにこ笑顔で正座しているだけのソフィーさんが気になったのか、指を差しながらミランさんに尋ねる。


 あー、折角嫌な予感がしてたから放置してたのに。後、人を指差しちゃ駄目だよシアさん……。私もつい最近したような気がするけどね。

 黙ってにこにこと正座してれば誰だって気になっちゃうか……。私も嫌な予感がしていただけで気になってはいたところだし、よしとしよう。


「あ! そうだ! 聞いてくださいよシラユキ様! ソフィーさ……、やっぱり聞かないでください」


「なんで!? そんな言われ方したら余計に気になっちゃうよ……」


 聞いて聞いてと言われて、でもやっぱり聞かないでとくるとは、ミランさんやるな!

 ちょっと怒ってるみたいだし、多分ソフィーさんがまた何かいやらしい事でも仕出かしたんだろうけど、これは気になっちゃうね。


「察するに、姫様にはお聞かせし辛い内容の様ですね。では、まずは私が聞きましょうか。姫様はソフィーさんの足を突付いてお待ちください」


 そう言うとシアさんは、ヒラリと一飛びカウンターの中へ。普通に歩いて入ろうよ……



 ふむ……

 チラリとソフィーさんを見てみると、もの凄くキラキラとした期待の眼差しを私に向けている。だからなんで嬉しそうなのよソフィーさん……


 まずは近寄って観察してみよう。床の上に直接じゃなくて、何か布を敷いてその上に裸足で正座させられてるね。それでもちょっと痛そうだ、ミランさんは厳しいね。

 いつからさせられているのかは分からないが、正座というものは毎日して慣れている人でもない限り足が痺れてしまうもの。正座が珍しくない日本でもそれは変わらなかったね。ましてやここは、正座こそはあるが、主に反省させる用途にしか使われていない世界だ。間違いなく今のソフィーさんの足は痺れていることだろう。


 ふむふむ、ふむ。実に面白そうじゃないか……


 ソフィーさんのすぐ横にしゃがみ込み、とりあえず足首の辺りをツンツン。


「あふんっ。……あ、失礼しました」


 何今のいやらしい声!? ハートマークが付きそうな声だったよ!


 ソフィーさんは声を出さないように言われているのか両手を口に当て、私の次の行動を期待の眼差しで待っている。


 いやらしい声が出ないのならちょっと安心かな。さすがに突付くたびに変な声を出されては私の心が持ちそうに無い。



 気を取り直して同じ辺りをツンツンツン。

 突付く度にビクビクと体全体で反応するソフィーさん。


 なにこれ楽しい。


 足首の辺りだけではなく、踵、足の裏や指先の方も突付いていく。さすがのソフィーさんも断続的に突付かれては辛いのか、肩を揺らし、首を横に振りながらビクビクと耐えている。

 たまにくぐもった声で、んっ、とか、ふっ、とかちょっといやらしい声が聞こえてきちゃったりして、私の方もそれなりのダメージは負っているのだけど、楽しくてやめられない。



 数分間、こんな楽しくも恥ずかしい時間を堪能し、ソフィーさんの顔を改めて見てみると……、!? 涙目!?


「ご、ごめんなさいソフィーさん!! や、やりすぎちゃった?」


「え? あ、いえいえ! とっても気持ち良かったですよ? どうぞもっともっと私で、私の体でお楽しみください。くすぐって貰っても、抓ってもらっても構いませんよ? それとも、足先だけでは物足りないですか? あ、スカートは捲ってしまいますね。是非太腿の内側を姫様の可愛らしいお手でくすぐって頂きたいです。そのまま足の付け根の方へ手を進めて頂けるともっと嬉しいですね。うふふ。少し乱暴なくらいに弄ってくださっても……、そうだ、下着も脱いでしまいますね」


「やめて!! ごめんなさい! 謝るからやーめーてー!! わあ! 下着見えちゃってるから! 戻して戻して隠して!!」


 立ち膝でスカートを捲り、裾を口に咥えて固定し、下着に手を掛けて脱ごうとするソフィーさんを必死で止める。


「こらー!! ギルド内で何やって……、本当に何やってるの!? いい加減にしなさいよソフィーさん!! シラユキ様もそんないやらしい人相手にしちゃ駄目ですー!」


「申し訳ありません姫様、楽しそうにしていられましたので止めるのが遅れました。ああ、まずはお手を。他人ひとの足の裏など触ってはいけませんよ? 注意が足りず、申し訳ありませんでした」


 私には止めることが無理だと感じたのか、ミランさんとシアさんがカウンターから出て来てソフィーさんを止めてくれた。


 助かった、終わったと思ったよ……。あのままだったら無理矢理色々な所を触らされていたかもしれない……。ソフィーさんはいろんな意味で怖い!!




 シアさんに念入りに手を洗わされて、いつもの席へ三人で座る。ソフィーさんがテーブルに着くまでの一歩一歩毎にいやらしい声を出していたのが恥ずかしかったね。

 三人とは言っても、私、ソフィーさん、それとシアさんが座っている訳じゃなく、ミランさんだ。今日も相変わらず暇そうだし、誰か来るまではここにいてもいいかなと思うね。私もその方が嬉しい。


「ええと、バタバタしちゃってごめんなさい。それで、シアさん、私が聞いてもいいお話だった?」


 ソフィーさんをツンツンするのが楽しくて忘れちゃってたね。ソフィーさんが正座させられていた理由は何だったんだろう?


「少し難しいですね……。できることなら姫様にも聞いて頂いて、その上でソフィーさんをお叱りして頂こうと思っていたのですが……。心優しい姫様のことです、真剣にお怒りになられて、最悪ソフィーさんを嫌ってしまうのではないかと思いまして……」


「それは半分言っちゃってる様なものじゃ……。っと、シラユキ様? それだけ許せない事を仕出かしたんですよこの変態は。もし当たっていたらと思うと……」


 当たる? ……おっと。

 私がソフィーさんを嫌いになってしまうくらいの酷い事? うーん、聞かない方がいいのか、それとも聞いて怒った方がいいのか……。でも、私が絶対に許す事のできない内容だったとしたら……

 でも、ソフィーさんは変態だけど基本は優しいいい人なんだよね。どんな事をしてしまったかは全く分からないけど、そんなに酷い事をしてしまう人には見えない。ここは、聞いてみた方がいいかな。


「うん。シアさん、ミランさん、聞かせて? ソフィーさん、ちょっと怖いけど、ソフィーさんのことを嫌いになりたくないから聞くの。その、怒って酷い事言っちゃったらごめんね?」


 私だって怒る時には怒る、と思う。カッとなってソフィーさんに酷い事を言ってしまうかもしれないので、先に謝っておく。


「シラユキ様……。あの、私が、私からお聞かせします。いいでしょうか?」


 いつものにこやかな表情とは違う、真剣な顔つきでシアさんにお願いをするソフィーさん。

 自分でもいけないことをした、という自覚はあるみたいだね。さっきのお仕置きは逆に嬉しくてお仕置きになっていなかっただけで……。難しいなこの人は!


「ええ、覚悟の上でしたらどうぞ。ですが、私が止めたら即座に口を閉じること。これは約束してくださいね」


「はい、約束します。ありがとうございますバレンシアさん。……では、シラユキ様、お話しますね」


 シアさんにお礼を言い、ソフィーさんは私の方へと向き直る。真剣な表情だ。私も真剣に聞かなければ……


 さっきまでツンツンして楽しく遊んでいただけに、まだこの空気の変わりようについて行けてないんだけどね。



「実は、その……。少し前の、たった一晩だけの事なのですが……、今晩もエディ君にたっぷりと愛してもらおうと思って準備をしていたんです」


「いきなりアウトに近い!! あ、ごめんなさい。つ、続けて……」


「アウト、ですか? 一体何が……。すみません、続けますね。ええと、そう、避妊薬の買い置きが無くなっていたことを思い出したんです。毎晩使っていますから消費も早く、つい買い足しを忘れてしまっていたんですね。ですが気付いたところでもう夜遅く、調薬ギルドも開いてはいない時間。でも、心と体の準備はできてしまっていたんです。この疼きは指と舌くらいでは到底満足でき」


「はいそこは飛ばしましょう」


「? は、はい。あ、回りくどかったからですね、分かりました。結果だけを言いますと、避妊をしなかった、のです。ええと、中に出された回数は……」


「そこまでー!! あー、シラユキ様真っ赤……。だ、大丈夫ですか? シラユキ様にお話しするにはやっぱり早過ぎますよこんな話。ええと、人間種族とエルフの間ではそう簡単には子供は出来ませんからね、つい軽く考えてしまったんだろうと思います。ですけど、だからと言って絶対出来ない訳じゃないんです。ソフィーさんはもっと、自分のことも、エディさんのことも、もし出来てしまって生まれてきてしまう子供のこともしっかりと考えないと。まだ若いからって軽く考えすぎよ、ホントにね」


「はい……。今は本当に反省しています……。あの、もしかしたら妊娠してしまうのでは、という状況で中に出される快感、まさに脳を焼くような」


「はいそこまで」



 すすすす凄い話を聞かされてしまった!! ああ、もう! 恥ずかしい!!

 これはミランさんが怒るのも、シアさんが、私がソフィーさんのことを嫌いになってしまうかも、と思うのも無理はないか。

 私としては、ソフィーさんを嫌いになるほどでもないけど、やっぱりちょっと怒っちゃうね。寿命の違う種族の間で、さらに望まれぬ子供が出来てしまったとしたらと考えると、怖いとかそういう次元の問題じゃない。ミランさんの言うように、ソフィーさんはもっとしっかりと考えなきゃ駄目だね。


 エディさんとソフィーさんなら大丈夫、とも思えてしまうだけに、やはり嫌いにはなれない、が。結婚して子供が生まれて数十年後、残されたソフィーさんを襲う絶望を考えると涙が出て来てしまいそうだ。

 ソフィーさんは本当に、心から反省しているみたいだから今回限り許してあげようと思う。知らない人から見たら、全然そう見えないところが悲しいね……




「どうやら姫様もそこまでお怒りになられていない様子。命拾いしましたね、ソフィーさん。姫様の一言で今日その命を終わらせる事ができる可能性もあっただけに、少し残念です」


「極刑!? シアさん怖い言い方はやめて!! 私がそんな事言う訳無いからね! ソフィーさんも、ええと、気をつけてね。何に、とは恥ずかしくて言えないけど……」


「はい、絶対に。シラユキ様のお言葉、心に刻みます。できる事ならきついお叱りを、激しい仕置きを頂きたいのですが。……やっぱり脱ぎますね」


「なんで脱ぐのよ! 本当になんで!? シラユキ様に何させる気なのアンタは! はぁ……、バレンシアさん、この変態が堪えるお仕置きって何か無いですか? 正座させて放置しても喜びますし、手が付けられないんですよ……」


「多少の痛みを快感に感じてしまうのなら、それ以上の苦痛を与えてみては?」


「だからシアさんは怖い言い方はやめてー!!」


「それも考えたんですけど、女性にそんな、傷を残すような怪我をさせる訳にはいかないですからね。エディさんならどうとでもできちゃうのに……」


「ミランさんはやはり怖い人だった!! あ、エディさんで思いついたよ! ソフィーさんはええと、一ヶ月でいいかな。今日から一ヶ月……、はっ!? 言えないぃ……」


「一ヶ月、何ですか? 姫様。さあさあ続きをどうぞ」


「からかっちゃ駄目ですよバレンシアさん。シラユキ様、いい案だと思いますよ。ふふふ」


「お、お許しください! それだけは、どうかそれだけは……。私の体でしたら好きにしてくださって結構ですから、あ」


「わあ! 泣かないで! 脱がないで!! もう! 一週間、一週間禁欲生活ね! もし破ったら嫌いになっちゃうんだから! 分かった?」


「い、一週間も……。シラユキ様は優しくも厳しいお方なのですね……。分かりました、必ず耐え切って見せます……!!」


「うん! 頑張ってねソフィーさん!!」




「でも、一週間後、エディさん干乾びちゃうんじゃないですか?」


「え……? え? ……はっ!?」


「姫様、ただお預けさせてしまっただけかもしれませんよ。はたして干乾びるのはエディさんだけで済むのでしょうか。ふふふ、楽しみですね」


「どういう意、味?」




 もしかしたら私は、とんでもない事をしてしまったんじゃないだろうか……


 一週間後に解き放たれる、この優しくて綺麗な野獣の牙にかかる人たちのご冥福を心からお祈りしたいと思う。






嬉しい…! やっぱり…感じちゃう! ビクンビクン!!


なにそれこわい。


今回も短めにと思っていたら、いつの間にか結構長めな文章になってしまいました。

どうしてこうなった!!

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