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その120

 シアさんとキャロルさんは夕方過ぎに帰って来た。

 何をそんなに買ったのか、キャロルさんが文字通り山のような荷物を背負って? 担いで? でも全く重そうな顔をしていないのが印象的だったね。キャロルさんはやっぱり凄い人だ。シアさんが荷物を何一つ持っていなかったのが気になったが、突っ込まないでおいた。

 今日一日シアさんとのデートを楽しんでもらえたみたいでよかったよ。ちょっと疲れた表情をしてるけど嬉しそうだね。


 疲れた表情をしているのは、多分服装のせいだと思う。

 シアさんはどこへ行くにもメイド服だし、キャロルさんもきっとメイド服での外出を強制させられたんだろう。勿論ネコミミも付いたままだ。可愛い。


「あははは。私も一緒に行けばよかったかな? うーん、その時のみんなの反応、見てみたかったなー」


 多分私がされるのと同じくらいに子供扱いされて可愛がられたんじゃないかな。


「シラユキ様……。本当に恥ずかしいんですよこれ。シア姉様、着替えるのが駄目ならせめて通常のメイド服にしてくださいよう……」


「ふむ……、私の作ったカチューシャはともかくとして、ユーフェネリア様にお選び頂いたメイド服が気に入らないと? あなたも言う様になりましたね」


「ちちち違いますよ!! はあ……。リズには大好評だったし、いいかな……」


 リズさんも可愛い物好きで、さらにキャロルさん大好きだからね。相当喜んでくれたんじゃないかなと思うよ。


 うーん、やっぱり私も見てみたかった!






「そうだ! シラユキ様! あのソフィーティアとかいうエルフ、一体何なんですか!! 聞くとシラユキ様のご友人だとか言うじゃないですか」


 買って来た荷物など全て片付け終わり、談話室へと戻ってきたキャロルさんが思い出したように聞いてきた。


 あ、ソフィーさんに会って来たんだね。それは何と言うか、お疲れ様だ……

 なるほど、服装のせいもあるけどそっちが主な原因だったのか。確かに、慣れた私でもあの人とのお話は結構疲れさせられるよ。初対面なら尚更だと思う。


「あ、うん、と、友達だよ。ソフィーさん綺麗な人だよねー。や、優しいし、丁寧な話し方で、ええーと……、悪い人じゃないよ?」


 うん、悪い人じゃないんだ、悪い人じゃ。


「悪いです! シラユキ様の教育に悪いです!! なんでにこやかにお尻撫でてくるんですかあの人は!! あまりにも自然すぎて反応ができませんでしたよ! シラユキ様の友人でなければ蹴り飛ばしてたのに……」


 おお、そんな言い方もあったか……。確かにそういう意味でなら悪い人だね、うんうん。



 ソフィーさんとは、最近リーフサイドへやって来た冒険者の人。珍しいエルフの冒険者だ。ランクはCでそんなに強い人じゃないらしい。経緯は端折るが、ちょっとした事があってめでたく私のお友達になってくれたのだ。

 性格は親切丁寧、物腰穏やか、とても優しい。見た目は金髪ロング、碧眼の、清楚で可憐なお嬢様っていう言葉がよく似合う人だね。……見た目はね。問題の中身は……、ナナシさんを数段パワーアップさせた感じかな……


 何故かエディさんがお気に入りで今は行動を共にしている。ラルフさんのお弟子さんなだけあって、そういった人を引き寄せてしまうのだろうか?

 エディさんに紹介されたその日、私もお尻を触られそうになったが、シアさんに本気で殺されてしまいそうなのでエディさんが全力で止めてくれたんだ……


 見た目はお嬢様。中身は男でも女でも人外でもどんと来いな変態さんだ。そう、変態と言う言葉がしっくり来るね……



「ちょっと変わった人だけどいい人だよ? 確かに疲れる人ではあるけどね。多少強めのツッコミは喜んで受ける人だけど、蹴り飛ばしたりはしないであげてね?」


「変態じゃないですか!! どこがいい人なんですか!! ああ、もう……、シア姉様はなんであんな輩を放置しているのか……」


 なんという酷い言われようだ。うーん、慣れると面白い、いや、慣れても疲れる変態さんだけど、本当にいい人なんだけどなー。


「え? その方が面白いからに決まっているでしょう? あ、いえ、なんでもありませんよ姫様」


 こっちにも酷い人がいた!!


 シアさんは、ソフィーさんとのお話で私が慌てたり恥ずかしがったりしてるのが面白いから、敢えて手を下さなかったんだね……。そうなんじゃないかとは思ってたさ……

 それでもちょっと酷いというか、いやらしすぎる話になった場合はちゃんと止めてくれる辺りがシアさんらしいと言うか何と言うか。ふふふ。


「本当にシラユキ様の教育に悪いと思いますよ? アレは。シラユキ様もその時は遠慮なく私に言ってくださいね。すぐに処理に向かいますから」


「処理!? 怖い! 珍しくキャロルさんが怖い!! でも見た目は可愛いからそこまで怖くないや」


「冒険者は怖いんですよー? なので、できたらギルドの訪問はお控えになってくださいね。後、シラユキ様のほうが何倍も可愛いです!!」


 褒められてしまった!!


 冒険者の人は怖い人もいるけど、シアさんさえいれば安心だからね。しかし、キャロルさんも基本的に私の事は子供扱いなんだなあ……。実際子供だからいいんだけど、なんか複雑だよ。


「まあ、どっちも可愛いって事でいいじゃない。見てて微笑ましいわこれは……。キャロルも暫くなんて言わないでもうずっとここでメイドしない? レンと一緒にいれるし、シラユキもその方が喜ぶと思うよ」


「そうそう、それがいいって! あ、でもさ、姫のお付は譲らないからね。キャロルは強いから館全体の警備にでもなるのかな? まあ、姫と遊ぶのが一番の仕事になると思うけどね」


 ここで二人から素晴らしい提案が舞い込んできた。


 中々話に加わってこないと思ったら、私とキャロルさんとのやりとりを見てニヤニヤしてたなこの二人め……。あ、シアさんもか!

 しかしその提案は私の口からはあまり言ってはいけない事なんだよね、許そうじゃないか。


「うん、ここはホントに居心地がいい国だよね、私もそう思っちゃうよ。でも、まだ冒険者は続けるよ。自分はSランクに上がる実力が持てるのか、それとも所詮この程度が限界なのか、まだまだ試してみたいからね。ま、限界を感じちゃったら護衛として、メイドとしてでも雇ってもらっちゃおうかな。あはは、逃げてくるみたいでなんだけどさ」


 そう、照れくさそうに話すキャロルさん。


「キャロルさんってやっぱり大人の人だよね。見た目はこ、その、可愛い人なのに」


 見た目は子供って言いそうになってしまった! 危ない!!


「うんうん。見た目はホント子供なのにねー。姫と並ぶと可愛すぎて微笑ましいったらないよ」


「見た目は子供で中身は大人っていうのも中々いいものだよね。こう、小さな子が無理して大人ぶってる感じがしてさらに微笑を誘うね」


 人が気にして言い留めた事をこの二人はあっさりと!!


「ふふ。まあ、見た目こんなでも色々と経験してるって事よ。あ、シラユキ様もお気になさらずどうぞ。子供扱いは慣れていますから」


 お、お、大人すぎる!! 違和感が凄いよ!!


 キャロルさんは三百五十歳以上だったっけ。お、大人だよね……

 私の周りの人と比べてみると、カイナさんクレアさんと同じくらいで、メアさんフランさんよりもずっと年上なんだよね。

 やっぱりしっかりしてる大人の人なんだなー。自分のやりたい事に向かって自分の足で進んで行く、っていう感じがしてカッコいいね。見た目が可愛すぎて違和感は拭いきれないけどね。




「そうですね。姫様も将来同じ悩みを抱く事になりますし、ここで一度見本を見ておくのもいい経験になるのではないでしょうか? しかし、キャロの様に軽く流すのは姫様には少し難しいかもしれませんね……。しかし、ご安心ください。私がいつも、いつまでも隣でお支え致しますので……」


「あ、うん、嬉しいな。私もずっと一緒に……? !? またさりげなく言ってくれちゃってー!! 伸びるもん! キャロルさんより大きくなるもーんだ!!」


「姫可愛い! これが本物の子供の可愛さだよキャロル」


「シラユキ可愛いすぎる!! うん、キャロルも見習わないとね。またシアに可愛がってもらえるかもしれないよ?」


「ええ!? くっ! やってみるか……? ……む、無理! 子供扱いは慣れても子供のふりは無理だって!! くうう……、シラユキ様可愛いなあ……。私も膝の上で甘えられたいなあ……」


「……ふむ。それもまた見てみたいものですが、残念ながら見習いでは姫様を膝に乗せる権利は与えられません。精進なさい。ああ、後、あなたが言うと性的な意味に取られてしまいますよ?」


「え!? きゃ、キャロルさん……?」


「シア姉様!? ち、違いますよシラユキ様!! 私はシア姉様一筋です! シア姉様を愛していますから!!」


「大声で何を言うんですか! まったく……、? 姫様?」


「ごめんなさいシア姉様! え? シラユキ様が何か?」


「……愛していますから、だって! きゃー!」


「なんという可愛らしい反応……。ふふ、まあ、許しましょう」




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