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その12

「うー……。トイレトイレ……」


 夜中、トイレに行きたくなって目が覚めた。明かりをつけてベッドから降りる。


 うーん、眠いわ……。トイレまでの廊下にはベンチは無いから安心、と意味不明なことを考えながら部屋の外に出る。


「姫様? おトイレで、……?」


 廊下に出るとシアさんがいた。私お付のメイドさんズは、夜の間も交代で私の側に必ず一人はいる様に決められてしまっている。

 そんなお姫様扱いしなくてもいいのに、と思ったのだが……、私お姫様だよ! といういつもの脳内ツッコミが炸裂している間に決定されてしまったのだ。


 いくらお仕事とはいえ、夜中中寝たり起きたりは大変なんじゃないだろうか……。ん? シアさん何か固まってない?


「ふわ……。うん……」


 あー、眠いわ。最近魔法の練習ばかりしてて精神的に疲れが出てるのかもね、さっさと用を足してまた寝よう。ふむ、シアさんを抱き枕にするのもありかな……。ふっくら柔らかないい枕になってくれそう。


「ええと……、姫様? それは……?」


 シアさんにしては珍しく歯切れの悪い話し方だな。それ? それってなんだろ?


「それって……?」


「あ、やっぱり無意識なのですね。ふふ、さすがは姫様。っと、失礼しました」


 無意識? ちょっと吹き出しちゃったくらいで失礼も何も無いのに。まったくシアさんは真面目なんだから。


「ええとですね、その、姫様が手に持っているといいますか、出しているといいますか」


 手? 右手を見る。 



 ああ、これね。明かりじゃん、明かり、ライトボールの魔法だよ。便利だよねこれ。ああ、廊下は少し明るめだし、必要無いか。

 夜、廊下の壁に飾られているお花が薄く光る。名前はそのままランプの花。種類によって光の強弱があって、コーラスさんが言うにはリーフエンドの森にしか咲かない特別な花なんだそうだ。


 うーん、これこそファンタジーよ、ファンタジー。幻想的だわ、綺麗だわー。



 パッと光の玉を消す。さ、お花に見とれてないでトイレトイレ。


「廊下だといらなかったね。それじゃ、行こう?」


「ふふっ、ふふふふ。は、はいっ。ふっ、ふふっ」


 何よもう、さっきから……。でもシアさんがここまでにこやかに、声を出して笑うなんて珍しい事だからいっか。いい物を見れたと思っておこう。




 おトイレを済まし、部屋の前まで戻ってきた。すっきり。……今のはちょっとはしたないか? 心の中でなら問題はないだろう。うん。


「あ、姫様。お部屋の中は暗いままですよね? また明かりを点けたほうがよろしいかと」


 ドアを開けると中は真っ暗だ。私は寝る時は、やっぱり暗くないと寝れないよ派なので、部屋においてあるランプの花は数が少なく、寝る前にに全て覆いを被せてしまっている。


「うん、そうだね、ベッドに入るまでに躓くのやだし」


 右手を少し前に出し、手のひらを上に向け、その上に小さな光の玉を魔法で出現させる。目に悪いのでランプの花よりも抑えた光量に調節。


「!? こ、この年で詠唱破棄ですか……。さすが王族、いえ、さすがは姫様と言うべきでしょうねこれは……」


 何かよく分からないが、シアさんに驚かれてしまったみたいだ。


 これくらい誰だってやってるじゃない。まったくみんな過保護というか、過剰に持ち上げるんだから、いい気になっちゃうよ?


「シアさんおやすみなさーい。あ、一緒に寝る?」


「! ……いえ、とても魅力的なお申し出なのですが、私は姫様の警護、というお仕事を続けなくてはならないので。申し訳ありません」


 おっと、謝らせてしまった。気軽に変な提案するもんじゃないね。


「これくらいで謝らなくてもいいのにー」


 そう言ってドアを閉め、ベッドまで歩き出す。


 いやこれホントに便利だわ、前の世界でも欲しかったね。重さも無いし、これくらいの魔法じゃ疲れることも無さそう。ああ、駄目だね。魔法は人を堕落させていくような気がするよ……。



 ベッドに入り、明かりの魔法を消す。


 明日もまた練習しなきゃね、せめてライトボールくらいは使えるようにならないと。これ実際使ってみて超便利だし。


 ベッドに入り直したら一気に眠気が戻ってきた、考えるのは明日にして寝てしまおう。



 おやすみなさーい。






 じゃないよっ!!!!


 がばっと起き上がる。

 


 右手を前に! 手のひらを上に! ……点け!!


 パッと光の玉が出る。うおっ、まぶしっ。



 消えて!


 パッと消える。しーんと真っ暗な静寂。



 え、……え?




 頭が混乱しているので、何も考えずにもう一度光の玉を出し直し、ベッドから飛び降りドアまで走り、廊下に飛び出す!


「あら? どうされました? 姫様」


 やっと気付きましたかうふふとニヤニヤしているシアさんに、光の玉を突きつけるように見せる。


「言ってよ!! 教えてよ!!! もうシアさん嫌いきらーい!!!!」


 何で言ってくれないのよ! あれ? 言ってた? 遠まわしだけど言ってたね。


「言ってたよ! でもストレートに聞いてよ!! 後嫌いじゃないよ大好きだよ!!!」


「ああ……、よかった。姫様に嫌われてしまったら、もう死を選ぶしか道は残されていませんでした」


 簡単に死のうとしないで! 怖い冗談だなぁホントに。



「できた! できてたよ! 普通に使っちゃってたよ!! 使えるようになっちゃったよ!! 達成感も何も無いよ!!!」


「落ち着いてください、姫様可愛すぎます。今にも押し倒してしまいそうなのでもう少し抑えて頂けると大変助かるのですが……。どうしましょう? ご家族の方、起こして参りましょうか?」


 押し倒す!? おっと、落ち着こう。


「ふう……。うーん、別にいいや。明日起きて使えなくなってたら意味無いしね。明日にしよっと」


「一度でも成功させさえすれば大丈夫かと。でも、そうですね、姫様の仰せのとおりに」




 さて、もう一度寝なおそう。成功に興奮して寝られないとか無さそうだよ。なんだかなあ……。







2012/8/5

全体的に修正しました。

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