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その114

「うわ、ホントに泣き止んで帰ってきたよ……。エネフェア様凄いなあ……」


「ま、女王様以前にシラユキのお母様だからね。くうう! でも、ちょっと悔しいな。私たちじゃ全然泣き止ませられなかったもんね」


「ええ、本当に。素晴らしいお方ですよね、エネフェア様は。さすがは姫様のお母様、としか言い様がありません」


「ふふふ。母様を褒められると私も嬉しいな」


「さすがは、姫様の、お母様。姫様が基準です。つまり私は今、姫様を褒めたのですよ?」


「言い方からそんな気はしてたよ……」






 すっかりと泣きやんだ私は、シアさんと談話室へと戻って来た。もっと母様に甘えていたかったのだけど、あれ以上は本当にただのお仕事の邪魔でしかなくなってしまうからね。

 

 部屋に入った私の顔を見て、メアさんとフランさんはとても安心した顔をしていた。また余計な心配を掛けちゃったみたいだね。


 勿論まだ寂しさは消えたわけじゃない。でも、母様のおかげで心が少しだけ軽くなった気がする。寂しさ悲しさともう一つ、自己嫌悪の気持ちか? そっちは大分薄れたね。

 メイドさんズの言うとおり、さすが私の母様だね。


 しかし、いつも甘えさせてもらってる三人には少し申し訳ない気持ちに……


「あ、また変な事考えてるねこの子」


 少し黙り込んでしまった私にフランさんが反応する。


「うん。今のはシアじゃなくても分かるよね。まったく、姫は私たちに気を使いすぎだよ」


「それだけ私たちのことを想ってくださっている、と何度も言っているでしょう? 姫様のお気持ちを素直に受け取りなさい。ふむ……、ですが、姫様がお気に病まれる事など何もありませんよ?」


 またあっさりバレてるよ……

 しかも今回はメアさんフランさんにもだ。二人のメイドスキルが上がってきているという事なのか!?

 それは大変だ! このままでは私の考えを全て見通してしまう恐ろしいメイドさんズが出来上がってしまう!!


「ん? また変な、ホントに変な事考えてる?」


「ふふ、元気になってよかった。さ、おやつにする? 今日はプリンだよシラユキ」


「プリン!? ……はっ!? 恥ずかしい……」


 くそう! プリンに釣られてしまった!! でも嬉しい!!


「ふふふ。本当に可愛らしい……。今日は私が用意を。二人は姫様のお側にいてください。姫様、少しだけお待ちくださいね。それでは、失礼します」


「へ? あ、シア?」


 シアさんは二人の返答を待たずお辞儀一つ、部屋の外へと出て行ってしまった。




「うーん、気を使わせちゃったかな。レンも変わったね」


「あー、そんな感じだったね今のは。前までは、こういう時の姫の側から離れるなんて絶対しなかったもんね」


 気を使った? 今のシアさんが?

 確かにちょっと強引と言うか、不自然だったけど……、どういう意味だろう?


「メアさん、フランさん。気を使ったって、シアさんが? どういう事なの?」


「あれ? 分かんない? んーとね、私たち三人に気を使ったんだよ。ね、フラン」


「うんうん。レンは町に行く時とか、よくシラユキと二人で行動してるでしょ? さっきだってエネフェア様の所へ行ったのもレンだけだったしね。ま、こっちはおまけ、ついでの様なものかな? 本命はシラユキだね」


 なるほど。いつも一緒に、二人に比べて一緒にいる時間が長いから、っていう事か。ふむふむ。でも、それはついで? 本命は私?


「おやつの用意なんて十分も掛からないんだけどさ、私たち三人で用意しに行ったら、姫一人になっちゃうからね。そしたら姫、また泣いちゃうんじゃない?」


「う、そうかも……」


 さらになるほど。私を一人にさせないためか……

 誰か一人残る場合、こんな時はシアさんが残りそうだしね。メアさんかフランさん、どちらかを残すかを考えるより、二人とも残ってもらって自分一人でおやつの用意をしに行けばいい。フランさんの言うように、ついでに近い考えかもしれないけどね。ふーむ、そういう事か……


「最近のレンってさ、あんまり自分が自分が、って前に出て来なくなったよね。ちょっと前まではシラユキのことは私に全部任せろー! っていう感じだったのに。それが変わった、っていう意味よ」


「え? そう……かな? うーん……?」


 ああ、ちょっと前に話したアレか。気を許してくれてるっていうアレ。

 うんうん、いい事だね。シアさんも私ばっかりじゃなく、家族みんなともっともっと仲良くしてもらいたいもんね。


「あはは、嬉しそうな顔しちゃって。さっきまでスンスンぐずってたのにね。やっぱりエネフェア様は当たり前だけど、シアもちょっと特別だよねー。うーん、妬けちゃうよ」


 メアさんはそう言いながら、私のほっぺをグニグニとしてくる。


 シアさんが特別?

 確かに特別変な、謎なメイドさんだよね……。そういう意味じゃないって。うにゅにゅ……


「そんな事無いよ? メアさんも、もちろんフランさんも。カイナさんもクレアさんもみんなみんな、大好きだよ」


 ふふふ、ちょっと恥ずかしい事言っちゃったね。

 メイドさんズはみんな、みんな大事な家族に決まってる。それに順番なんて付けられないよ、付けるなんて事できないよ!!


「ひ、姫……。可愛い! 嬉しい! ちょっと抱き締めよう……」


「ああ! メアずるい!! 私も私も! くうううう、ホントに可愛い事言ってくれちゃってこの子はー!!」


「うわ! わ! くすぐったいよ二人とも!!」


 メアさんフランさんに取り合うように抱き締め、撫でられ、頬擦りなどなど。揉みくちゃにされてしまう。


 し、幸せすぎる……、が。


「ちょ、フランさん! キスするのはやめて!!」


 キスはいいとしても唇はやめて!!


「フランずるい! 私もしよう。んー……」


 メアさんにもされてしまう。当然のように唇にだ。


「んー!! んっ。もう! 恥ずかしいよ二人とも!! 嫌じゃないんだけど、その、恥ずかしいよ!!」


 嫌じゃない、全然嫌じゃないのだ。むしろ嬉し、あ、あれ? やばくね私……


「ううう……。女の人とキスするのがそこまで嫌じゃなくなってるよ……。嬉しいとさえ思っちゃってるよ……。あ! 家族だからだよね! うんうん! そうだよね!!」


「あらら、ちょっとやりすぎちゃったかな? ごめんね姫、ちょっと調子に乗りすぎちゃったみたいだね。大丈夫、私たちのキスは親愛の証だよ?」


「うん、他意は無いって。レンはありそうって言うか、他意しかないと言うか……。気をつけなくちゃね、そのうち舌入れて来るようになるよアレは……」


「舌!?」


 シアさんとキス。それは恥ずかしいけど、それ自体はもうあんまり抵抗は無い。一緒に寝るようになってからお休みのキスとか、おはようのキスとかしてるしね。あ、勿論頬にだよ?

 唇にされることもたまにはあるが、恥ずかしいだけで嫌には感じないね。でも、舌を入れられるのはちょっと……。い、いやらしいよ!! どんな感じなんだろう……


 ……うん? ちょっとおかしくないか私? シアさんとキスするのに全く抵抗を感じなくなってる!?

 あ、いや、いいんだよそれでも。シアさんはノーマルだってはっきりと言ってくれたじゃない。私ったらもう、またシアさんを疑うような真似を……。やっぱり悪い子だよね私は。


「今はまだシラユキも子供だから大丈夫だと思うけど……。もうちょっと大きくなったら、生理来たら絶対本気出して襲って来るよアレは。まあ、変な男にちょっかい出されるよりかはレンの方が安心かもね。ルーディン様かレン、シラユキはどっちとHすることになるのかな? それともウルギス様? ふふふふふ……」


「なっ! なんてこと言うのフランさん!! ええええHするだなんて、!? 言っちゃった! 恥ずかしい……」


 うううう、このエロフ、じゃない、エロエロフめ!!

 そういえば、最近は私の元気が無いから抑えてたんだねきっと。ここぞとばかりにからかいに来たか!!


「ルーディン様はユーネ様一筋だし、ウルギス様だってそうだよ? エネフェア様一筋。そうなるとやっぱり……、シアしかいないんじゃない? ま、シアならいいかな。ふふ、シアと結婚しちゃう? 姫?」


 シアさんと結婚!? お、恐れていたことを実際に口に出されてしまった!!!



 その時、入り口の方から金属の何かが床に落ちる音が聞こえた。

 その音に顔を向けると、いつの間に戻って来ていたのか、シアさんが固まっていた。何故か微動だにしない。



 うん? どうやらスプーンを落としちゃったみたいだね。珍しいね、シアさんらしくないミスだ。あ、それで固まっちゃったのかな? まったく気にしすぎだよシアさんは……


「シアさん? スプーンならまた洗えばい」


「ついに私の想いにお応えして頂けるのですか!? 式はいつになさいますか!? ああ、すみません、これだけは言っておかなければ……。必ず幸せにします!!」


「シアさん!? 何言ってるの!?」


「ぷっ、くっ、くくく……。あはははは!!」


「レン、ナイスタイミングだよ! ぶっ! あははは!!」


「笑いすぎだよ二人とも!! もう!! ふふふ」


 メアさんもフランさんも大爆笑。お腹を抱えて笑い出してしまった。

 それにつられてか、私も自然と笑いが出て来てしまったね。ふふふ。






「まったく二人とも、姫様の結婚の話など後五千年は早いですよ」


「五千年!? 私そんなに長生きするの!?」


 あ、お爺様とお婆様は三千歳以上だっけ? 私もそれくらい生きるのかもしれないね……


「あはは、それくらいは余裕で生きれるんじゃない? でも結婚まで五千年は無いよ……」


「まあ、順当に行けば、次に結婚するのははメアなんじゃないの? んー? メア、どうなのよ?」


 シアさんは、その、アレだけど、フランさんはちゃんと結婚して旦那さんがいるんだよね。

 確かに次はメアさんの結婚する番になるのか? ほうほう?


「ど、どうなのよって、そんな相手いないんだけど……。これが夫持ちの余裕か……」


「メアはルーディン様に初めてを貰って頂きたいと言ってましたよね? 愛人狙いですか」


 !!!?


「ちょっ、シア!! 姫の前で……。あ、姫? 違うよー?」


「え、あ、う……、ゆ、許します!!」


「許しちゃ駄目だよ!! 完全に混乱しちゃってるね、姫」


「まあ、冗談半分だよね。でも、メアの胸なら不可能でも無いんじゃない? って話してただけだから、安心してね」


「うんうん。たまに揉みたそうにしてるよねルーディン様。まだ実際揉まれた事は無いんだけど、食い入るように見つめてくる時あるよね」


「安心できないよそれ! メアさんも、フランさんも気を付けてね!」


 あのおっぱい星人兄様め!! メアさんに手を出そうものならひどいんだからね!!


 後二人とももげろ!!


「姫様? わ、私には……?」


「え? し、シアさんは狙われないんじゃないかな……」


 シアさんに何かできるのは父様か母様くらいしかいないよ……




「なるほど。私の胸などその程度、と仰りたいのですね。これは思ったよりショックが大きいですね……」


「ち、違うよ? 違うからね! シアさんも大きいからね!!」


「ふふふ、冗談ですよ、ご安心ください。あ、揉まれますか?」


「揉まないよ!?」


「シラユキって一緒に寝てるとき揉んできてるよ?」


「あ、私も揉まれてる。可愛いよね」


「ええ、幸せですよね……」


「嘘!? 私そんな事してるの!?」




 姫様巨乳大好き説の代わりに、姫様おっぱい星人説が……!!




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