第9話:多次元の支配者
ゼノンとプリシラを地獄の惑星へ追放した俺は、もはやこの「世界」という箱庭に興味を失っていた。
俺の力は膨張し続け、ついにこの宇宙の限界値を突破する。
「……なるほど。外側にも『ゴミ』が散らばっているのか」
俺が視線を向けると、現実の壁がガラスのように割れ、無数の「並行世界」が姿を現した。
ある世界では俺が死に、ある世界ではあいつらが幸せに暮らしている。
「気に入らないな。俺が苦しんだ全ての可能性を、今ここで『正解』に書き換える」
俺は右手を虚空に突っ込み、隣の宇宙の「概念」を直接掴み取った。
「【多次元干渉:因果律の統合】」
パキパキパキッ! と、数千億の宇宙が悲鳴を上げる。
あらゆる次元、あらゆる時間軸にいる「アルス」の絶望を吸い上げ、同時に、あらゆる世界にいる「ゼノン」と「プリシラ」を、俺の足元へと強制召喚する。
ドサドサドサッ!!
「な、なんだ!? ここはどこだ!?」
「私は王女なのよ! 離しなさい!」
玉座の間に、数えきれないほどの「裏切り者たち」が積み重なっていく。
どの世界の彼らも、傲慢で、浅ましく、俺を嘲笑ってきた奴らだ。
「……壮観だな。これだけの数が集まれば、少しは退屈しのぎになるか」
俺は、無数に集まった彼らに対し、指を一本立てた。
「【概念破壊:永遠の断罪】」
俺の影が生き物のように伸び、全ての次元の「裏切り者」たちを飲み込んでいく。
彼らは消滅しない。ただ、俺という「神以上の存在」を全細胞で理解させられ、永遠に懺悔を繰り返すだけの「現象」へと変えられたのだ。
「これで、全ての宇宙の俺が救われた。……さて」
俺は立ち上がり、虚無の空間を見据えた。
俺のステータス上昇は止まらない。
もはや「文字」や「数字」で表すことすら不可能なその力は、ついにこの物語の「枠組み」すらも歪ませ始めていた。
「……次は、俺を創った『運命』そのものを、殴りに行こうか」




