第8話:銀河すら俺の庭
俺が玉座に座った瞬間、この惑星の重力が俺の意志に同調した。
指先一つ動かすだけで、大陸が動き、海が割れる。
「アルス様……! どうか、どうかお許しを……ッ!」
足元で額を地面に擦り付けているのは、かつての近衛騎士団長だ。
だが、今の俺にとって、この世界の人間はアリ以下の存在でしかない。
「許す? そんな安い言葉で俺の『一億回の死』が贖えると思っているのか?」
俺はふと、夜空を見上げた。
そこには無数の星々が輝いている。
かつては遠い存在だったそれらも、今の俺には「手の届く玩具」に過ぎない。
「……目障りだな」
俺は夜空に向かって、軽く手を開いた。
「【万象掌握:星辰操作】」
ググ、と空間が軋む。
次の瞬間、夜空の星々が、俺の指の動きに合わせてダンスを始めた。
数光年先にあるはずの巨大な恒星を、俺は「チェスの駒」のように動かし、銀河の配置を書き換える。
全人類が、空を見上げて絶叫した。
空に輝く星座が、俺の名前――『ARUS』という文字に並べ替えられたのだ。
「ひ、ひいいっ! 星を……星を動かした……!? あいつ、本当に人間なのか!?」
ゼノンが腰を抜かし、泡を吹く。
そんな彼らの頭上に、俺は『絶望の贈り物』を召喚した。
「ゼノン、プリシラ。お前たちが住むための『新しい星』を用意してやったぞ」
俺が指差した先――空の一部が歪み、ドロドロに溶けたマグマと針の山だけで構成された「地獄の惑星」が、月と同じサイズで出現した。
「お前たちはあそこで、永遠に死んでは蘇るループを繰り返せ。……俺が奈落で味わった地獄を、宇宙規模で体験させてやる」
俺が指を弾くと、二人の体は光の速さでその惑星へと射出された。
悲鳴すら、真空の宇宙には届かない。
「……さて、この銀河も少し狭くなってきたな」
俺のステータスは、今この瞬間も『1秒間に9999兆倍』のスピードで成長し続けている。




