第4話:絶望のカウントダウン
「や、やめろ……! 私はこの国の第一王子、ゼノン・フォン・グランシアだぞ! 私を傷つければ、父上……国王陛下が黙っていない!」
腰を抜かし、無様に這いずり回るゼノン。
かつての「親友」の姿はどこにもない。ただの、震える肉の塊だ。
「国王? ……ああ、あそこに座っている、あの男のことか?」
俺が指差したのは、玉座に深く腰掛けたまま、泡を吹いて気絶している国王だった。
俺が放った『ただのプレッシャー』に耐えきれず、一歩も動けぬまま白目を剥いている。
「ひっ……父上!? 嘘だろ……我が国最強の魔導師でもあった父上が、戦わずして……!?」
絶望が、広間に充満する。
俺は、震えるプリシラ王女の髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。
「アルス……お願い、許して……! 私、あなたの子供を産むわ! だから、殺さないで……!」
涙と鼻水で汚れた顔。
かつて高潔を気取っていた王女の、あまりに浅ましい命乞い。
「お前との子供? ……反吐が出る」
俺は彼女をゴミのように放り投げ、床に転がした。
死なせるのは簡単だ。だが、それでは足りない。
俺が奈落で味わった「存在を全否定される絶望」を、この国全体に味わせてやる。
「……【概念干渉:ステータス奪取】」
俺がパチンと指を鳴らした瞬間。
王城にいた全貴族、全兵士、そしてプリシラとゼノンから『力』が消えた。
剣を握る筋力も、魔法を紡ぐ知力も、すべて。
彼らは、自分たちが馬鹿にしていた『無能な村人』以下の存在へと成り下がった。
「な、なんだ……!? 体が重い……魔法が使えない……っ!?」
「私の魔力が……消えた……!? 嫌ああああ!!」
叫び声が響く。
だが、これはまだ序の口だ。
「安心しろ。まだ殺さない。……お前たちが一番嫌っていた『無能な平民』として、この国が崩壊していく様を特等席で見せてやる」
俺がそう告げた瞬間、王城の天井が巨大な圧力で弾け飛んだ。
見上げた空には、俺が呼び寄せた『星をも砕く魔力の嵐』が渦巻いている。




