第19話:宇宙全土に響く絶叫
システム・コアを掌握し、文字通り「物語の全権」を手にした俺は、まず一つの命令を下した。
「【因果律反転:全人類共有】」
その瞬間、全宇宙の、あらゆる次元にいる人間たちの脳内に、俺の過去――奈落で味わった地獄と、ゼノン・プリシラによる裏切りの記憶が直接叩き込まれた。
「な、なんだ……この凄まじい痛みは……!?」
「裏切り……アルス……様……!?」
銀河中の人々が、俺の「怒り」を自分のこととして追体験し、恐怖で地に這いつくばる。
そして、その「全人類の憎悪」の矛先が、一点に集中した。
「あ、あああ……嫌、見ないで! そんな目で見ないでぇぇ!!」
玉座に埋め込まれたプリシラの魂が、宇宙中の生命体からの「軽蔑」と「憎悪」の視線にさらされ、精神が焼き切れるほどの羞恥に震える。
かつて自分が「無能」と見下していた全ての人間に、自分たちの醜態を永遠に観賞される。これ以上の屈辱はない。
「見ていろ。これが、お前たちが欲しがった『注目の的』になった姿だ」
さらに俺は、システムのコードを指先で弾いた。
「【法則:無限の序列】」
新世界において、ゼノンとプリシラのステータスは『-∞(マイナス無限)』に固定された。
彼らは、道端の石ころ一つに触れただけで、宇宙が爆発するほどの苦痛を感じる。呼吸をすれば肺が焼け、まばたきをすれば眼球が潰れる。
だが、俺の支配下にある彼らは、どれほど破壊されても一瞬で再生し、死という「救済」には一生届かない。
「殺して……お願い、アルス……もう、殺して……!」
「殺す? 違うな。お前たちは今、ようやく俺に『生かされている』んだ。……さあ、次の次元を迎えに行こうか」
俺は、もはや「無」となった階層から、この物語を創り出した『原初の闇』へと腕を伸ばした。




