第15話:第四の壁を握り潰す
『運命の書』を書き換えた俺の前に、奇妙な「透明な壁」が現れた。
この世界の住人には決して見えず、触れることもできないはずの境界線。
だが、今の俺には、その向こう側で俺の物語を「消費」している存在たちの視線がはっきりと見えていた。
「……なるほど。お前たちが、俺を『物語』として眺めている奴らか」
俺が指先をその「虚空」へ突き立てる。
バキィィィィィィィィッ!!
現実には存在しないはずの音が響き、物語の枠組みそのものがひび割れた。
「ひっ……!? あ、アルス、何をしているの!?」
足元で絶叫するプリシラを無視し、俺はそのひび割れに手をかけ、力任せに抉じ開けた。
流れ込んできたのは、この世界の物理法則とは全く異なる「多重情報の濁流」。
「【次元超越:観測者の拒絶】」
俺がその「壁」の向こう側へ魔力を流し込むと、物語を支配していたはずの『因果のシステム』が逆流を始めた。
俺はもう、誰かに書かれる「主人公」ではない。
俺が俺を書き、俺が世界を規定する。
「この物語の結末は、俺が決める。ハッピーエンドか、バッドエンドか……。いや、そんな安い言葉では括らせない」
俺はひび割れた世界を、今度は内側から「補強」し始めた。
俺にとって都合のいい、俺を裏切った奴らが永遠に這い蹲り、俺が無限に高みへ登り続けるための『永久機関』としての新宇宙。
「ゼノン、プリシラ。お前たちはこの世界の『礎』になれ」
俺が指を弾くと、二人の肉体は原子レベルで分解され、俺が座る玉座の「装飾」へと変わった。
彼らは死ぬこともできず、ただ宝石の一部として、俺の圧倒的な魔力を永遠に感じながら、その重圧に押し潰され続ける。
「……さて。これで折り返しだ」
俺は、もはや「宇宙」という概念すら超えた空虚な空間で、自分自身のステータスを再び更新した。
【通知:全事象の支配を確認。これより、全次元を『アルスの記憶』として統合します】




