第13話:時空の番人、文字通りの「瞬殺」
宇宙の外側に広がる「虚無の回廊」。
そこには、全次元の時間を管理する十二人の『時空の番人』が鎮座していた。
「止まれ、特異点アルス。これ以上の干渉は、全宇宙の因果を崩壊させる。我ら番人が、貴様の時間を『誕生前』に巻き戻――」
「巻き戻す? やってみろよ」
俺は番人の一人に向かって歩み寄る。
彼らが必死に時間の歯車を逆回転させるが、俺の周囲1ミリの空間だけは、時間の概念そのものが俺の魔力によって「固定」されていた。
「な、何だと……!? 時間が……効かない!? 奴は時間の流れよりも早く進化しているのか!」
「惜しいな。正解は、俺が『時間の主』になった、だ」
俺が右手を横になぎ払う。
【事象切断:クロノス・スラッシュ】。
ただの手刀。だがそれは、番人たちの「過去」と「未来」を物理的に切り離した。
十二人の番人は、自分が誰であったかも、これから何を成すかも忘れた「虚無」へと変わり、次元の彼方へと消えていく。
「……番人なんて名乗る割には、脆すぎる」
俺は回廊の最奥にある『大時計』に手をかけた。
これが全ての宇宙の時間を刻む装置。
「【時間改変:永遠の今】」
大時計を素手で握り潰すと、全宇宙の時間が俺の意のままになった。
俺を裏切った者たちに与える苦痛は「永遠」になり、俺の復讐は「永遠」に続く。
ふと、背後の宇宙を見る。
そこでは、地獄の惑星に送ったゼノンが、ちょうど一兆回目の死を迎えていた。
俺は指先を動かし、彼の時間を0.00001秒だけ戻す。
「……よし。もう一兆回、楽しんでこい」
俺は虚無の回廊を抜け、さらに上の階層――『作者』の領域へと視線を向けた。




