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孤高の才女は毒に溺れる  作者: kuroyomi4


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4/32

 ピピピピ...ピピピピ...ピピピピ...ピピ


 スマホに手を伸ばしてアラームを止める。


「ねむ......」


 部屋を出て階段を降りると東野が朝食の準備をしていた。


「おはよう、東野」


「おはようございます、敦那様。もう少しお待ちください、もうすぐで出来ますので。」


「ありがとう」


 私は椅子に座って待つ。


 少しすると東野が朝食をテーブルに運んできてくれる。

 白米と鮭の塩焼き、卵焼きに味噌汁。

 ザ・日本の朝食みたいな献立だ。


「いただきます」


「東野って本当に料理上手よね、何作ってもおいしいわ」


 東野の料理は優しい味付けだ。

 ほかの人は味が薄いというだろうが私にはちょうどいい。それに、私の体を気遣って濃い味付けにしていないのだろう。

 それでもおいしいと感じるのは料理が上手だからだろう。


「ありがとうございます。味は薄くありませんか?」


「私にはこれくらいのほうがちょうどいいわ」


「ならよかったです」


「今日の予定についてですが、放課後にピアノのレッスンがあります」


 習い事は今まで書道、そろばん、華道など多くやってきたが、やりすぎて私のキャパを越えてしまい体調を崩したため今はピアノだけやることになっている。それ以外にも理由はあるが。


「ごちそうさま。支度してくるわね」


「お粗末様でした。今日もいつも通り8時に出発でよろしいですか?」


「ええ、おねがい」


 支度を終えて玄関に行くと東野が傘を持って立っていた。


「さきほどから雨が降ってきましたので、傘を。足元にお気を付けください。」


「ありがとう」


 傘をさして車まで向かう。

 傘に当たる雨音が重い。


「結構降ってるのね」


 車で送迎しててもらってよかった。

 こんな雨の中、歩いて投稿するなんて最悪だ。


 家の敷地から道路に出る。

 その時、視界の端から誰かが走ってくるのが見えた。

 金髪の私と同じ制服を着た女の子。

 身長も私と同じくらい。

 あの子は......


「東野、今日の登校は遅れそうよ。私の友達が傘もささずに走って登校してるの」


「かしこまりました、タオルの用意をしてきますね」


 そう言って東野は戻っていった。

 私はびしょ濡れになりながら走る彼女に声をかける。


「ちょっと、前は見て走ったほうがいいわよ」


「うわ!ご、ごめんなさい!ってしののん?」


「そうよ、あなた傘はどうしたの?」


「いやー、降ると思ってなくってさ~。天気予報も曇りだったから傘おいてきちゃったんだよね~」


「折り畳み傘くらい常備しておきなさい」


「は~い」


「あなた、今日は遅刻するけど構わない?」


「?なんで?」


「なんでって、そんな濡れた状態で学校には行けないし風邪をひくわよ、東野がタオルとか用意してくれてるからこっち来なさい」


「え!?しののんやっさし~ありがとう~」


 そう言って抱き着いて来ようとするのを手で止める。

 自分が濡れているということを忘れたのか。


「ちょっと、自分が濡れてるってこと忘れてるわよ、やめて」


「あ、ごめん」


 そう言って後ろに下がる。


「早く行くわよ。あ、あと」


「あと?」


「雨に濡れるのなら前は隠したほうがいいわよ」


 私は振り返り、来た道を戻る。


「え?」


「あ!」


 言われた意味を理解したのだろう。後ろが騒がしい。

 玄関の前まで行くと東野がタオルを持って待っててくれた。

 ここまで来る途中ずっと後ろで「わ~」とか「すご~」などと聞こえてたがずっと無視してきた。今も「うひょ~」とかいう意味の分からないリアクションも取ってる。


「はじめまして、私は東野と申します。この家で敦那様の身の回りの世話をしております」


「あ、はじめまして!私、橋本 茉莉って言います。しののんの友達です!」


 東野からのあいさつに畏まって返事をする。


「茉莉様ですね、こちらをどうぞ。あと、中にお入りください。」


「ありがとうございます。お邪魔しまーす」


「どうぞ」


 私、彼女、東野の順番に家に入る。


「お風呂の用意もできてますがどうしましょうか」


「そうね、どうせ着替えないといけないのだから入らせてあげて」


「かしこまりました」


「え、そこまでしてもらわなくても大丈夫ですよ!それに私、へっっくしょん!」


 断ろうとするがくしゃみをしてしまって恥ずかしくなったのか顔を赤らめて下を向いてしまった。


「どこが大丈夫なのよ、いいから早く行きなさい。東野、案内してあげなさい」


「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」


「それでは茉莉様、私についてきてください」


 東野が彼女を連れて行ったのを確認した後、私はスマホを手に取り電話をかける。学校に遅刻の連絡をしないといけない。


 学校に連絡した後は彼女の着替えになる服を探すために部屋に戻った。

 彼女は私より発育がいいので緩めのサイズのものを用意した。

 下着は新品を用意したがサイズが合うか分からない。


 着替えをもって洗面所に向かうと東野が廊下で待っていた。


「東野、着替えを持ってきたわ。あと、彼女の制服は洗濯するわ。うちの乾燥機、高校の制服乾燥できる?」


「できると思いますよ。しかし、いろいろ設定しないといけないので私がやりましょうか?」


「いいえ、私がやるからやり方を教えて。知らない男性に自分の制服や下着を触られるのは嫌でしょうから」


「失礼しました。では、口頭でお教えしますね」


 東野から教えてもらった後、着替えをもって洗面所に入る。


「着替え、ここに置いとくわね。下着は新品だから」


「しののん?ありがとう!」


「着替えが終わったら東野に私の部屋に連れてきてもらって」


「は~い、もうちょっとで出るからね~」


「じゃあ、廊下で待ってるわ」


 洗面所を出て東野に暖かい飲み物を用意してもらうように頼む。

 10分ほどたった後、彼女が洗面所から出てきた。


「しののん、着替えありがと~サイズ丁度だったよ~でも、キャミだけサイズが合わなかった」


「それは良かった。私からしたらちょっと大きいくらいのサイズなんだけどね」


「あー、そっかー。うん、ありがと!」


 なんだその全身を見た後、胸をもう一回見る目の動きは。

 私の胸を見た後に自分の胸を見るな。


「もういい」


「わー!ごめんってしののん!」


 助けるんじゃなかった。

 そう思いながら自分の部屋に戻る。


 彼女が来ただけで家がにぎやかになる。

 いつも冷たい家が今は暖かく感じた。

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