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孤高の才女は毒に溺れる  作者: kuroyomi4


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意味

「_________。これが私の計画よ。」


 私はこれからの計画を事細かに説明した。


「ちょっと待ってね。いろんな情報が一気に来て、頭がパンクしちゃいそう」


 彼女は額に手を当てて、情報を整理しようとしている。

 東野は何も言っていないが、私が話している最中に何かにメモしているような音が聞こえていた。


 少しすると彼女が顔を上げた。


「よし、大体は理解できたはず」


「じゃあ、何か質問はある?」


「いえ、私は何もございません」


「私も今の所ないかな~」


 ふたりとも特に質問はないらしい。


「じゃあ、今から作戦を本格的に開始するわ」


「は~い」


「かしこまりました」


 今から始まる。

 私が自由になるための戦いが。


「では、私はお父様と敦那様が会えるように手配して来ます」


「頼んだわ」


 東野との通話を終了する。


「ごめんなさいね。アニメを見るって言ってたのに」


 スマホの画面には08:30と表示されている。

 東野と通話を開始して1時間も経っていた。


「いやいや、大事な事だったししゃーないよ」


「今から見ましょうか」


「いいの?」


「大丈夫よ。父と会わないと話が進まないから」


 私は彼女にリモコンを渡す。


「じゃあ、見よっか」


 彼女が選んだのは学園青春系アニメだった。

 ふたりの女の子が入学式で出会って友達になる。

 一緒にお昼ご飯を食べて、勉強して、遊んで。

 時には喧嘩して泣いて、仲直りして笑って。

 そんな普通の学園生活を送るアニメ。


 私もこの計画が上手く行ったら、こんな生活を送れるのだろうか。

 みんなのような普通の女子高生としての日常を。


「しののん。また、遊びに行こうね」


 彼女は私の心を読んだかのようにそう言う。


「テスト期間になったら勉強教えてね」


「この女の子達みたいに楽しいこといっぱいしようね」


「ええ、そうね」


 彼女も私と同じことを考えてくれていたらしい。


「しののん」


「どうしたの?」


 あの日、私の家で映画を見たときは彼女はこんなに喋らなかった。

 自分の家だからかもしれないが、何か思っていることがあるような声色だ。


「私は何もしなくていいの?」


「え?」


「私はしののんの計画の中にいなかったから、私は何もしないほうがいいのかなって......」


 彼女は寂しそうな表情で、徐々に言葉を小さくしながら話す。

 どうやら、私の計画の話の中に彼女が入っていなかったのが気になっていたらしい。

 そもそも、あなたがいなかったら私はこの計画を立てれなかった。

 私は彼女が味方でいてくれるだけで十分だったので、特に何かしてほしいとは思っていなかった。

 しかし、彼女が何かしたいと思うのなら。


「そんなことないわよ。あなたには私の手をずっと握ってもらう大事な役目があるんだから」


 私は彼女の手を握る。

 彼女の手を握ると、心が落ち着く。


「それだけでいいの?」


 彼女は不思議そうに私を見つめる。

 いつも元気な彼女がしおらしくなっている姿が私の中の何かを掻き立てる。


「それがいいの」


 手を握っていると自分が一人じゃないと感じる

 一人じゃないから、何でもできると思える。


「わかった」


 彼女も手を握って何か感じたらしい。

 さっきの寂しい雰囲気は消えて嬉しそうに握った手を見ている。


「よし!お腹すいたからご飯作ろう!しののんはお腹すいてる?」


 壁に掛けられている時計を見ると針は12を指していた。

 いつの間にかお昼になっていたらしい。

 お昼だと分かると、急にお腹がすいてくる。


「私もお腹がすいてきたわ」


「じゃあ、今からパパっと作るから待ってて~」


 彼女はキッチンに向かい、料理を始める。

 私も何か手伝えたら良いのだが、絶対にやらかす自信しかないためおとなしく待つしかない。


 20分ほどするとキッチンから出来たよ~と言われたので、席に座る。


「じゃ~ん。今日のお昼ご飯はチャーハンで~す」


 普通のチャーハンとは違って、レタスが入っている。


「「いただきます」」


 チャーハンは脂っこいイメージがあるため、食べてこなかった。

 彼女に限ってそんなことは無いと思いつつ、チャーハンを口に運ぶ。


「っ!」


「どう?美味しい?」


「ええ、美味しいわ」


 イメージとは違って、さっぱりしていて食べやすい。

 レタスが入っているのもあるが、もう一つあるような気がする。


「良かった~。レタスだけじゃなくてポン酢も入れてみたんだよね」


「とても食べやすいわ。ありがとう」


「初めて作ったから心配だったけどね~」


 彼女は、私が食べやすいようにちゃんとアレンジしてくれている。

 彼女の料理スキルの高さには本当に感心する。


「「ごちそうさまでした」」


 私は黙々と食べて、腹を満たした。


「じゃあ、アニメの続き見る?」


「そうね、あと数話で終わりみたいだったし見ましょうか」


 プルルルル...プルルルル...


 ふたりでソファに座り直し、アニメを再生しようとすると、私のスマホが鳴った。

 東野からの電話だ。


「もしもし」


「敦那様、お父様と会うことが可能になりました」


「良かったわ。父はいつ会えるって?」


「敦那様がよろしければ、今すぐにでもと言ってくださりました」


 なるほど、これは思ったより早く進むかもしれない。

 善は急げと言うし、この機会を逃すわけにはいかない。


「分かったわ、2時に会いたいと伝えてくれないかしら。私達も準備しないといけないから」


「かしこまりました。迎えはお父様の部下の方が来てくれるらしいです」


「こちらの住所を伝えるわね」


 彼女に家の住所を言ってもらい、東野がメモをする。


「ありがとうございます。では、また追加の情報がありましたらLONEでお伝えします」


「ありがとう」


「しののん、お父さんに会うのは私もいていいの?」


 東野との通話を終了すると彼女が質問してくる。

 昼飯を食べる前の会話をもう忘れたのだろうか。


「当たり前じゃない。言ったでしょ」


 私は彼女に手を差し出す。


「まかせてよ!」



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