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デュラハンJKのVRMMO活動記  作者: とあるアルパカ


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3/12

3 ち、違うんです!

「――改造?」

 GM:Ordisの目がすっと細くなった。


「い、いや! 悪い意味じゃないです! ただ、首が外れる仕様に合わせて……その、ちょっと配線をこう……」


「ちょっと、という割に、あなたのギアは《馬を勝手に召喚》し、《首を外せる仕様》にし、《街を炎上寸前》にしたのですが」


「…………」

 返す言葉がなかった。


 黒馬が、誇らしげにフンッと鼻を鳴らす。

(いや、お前のせいでもあるからな!?)


「……まあ、今のところ害は確認されていませんし」


 GM:Ordisが小さくため息をつき、魔法の杖を掲げる。


「特例として、あなたのプレイを許可します。ただし」


 ピコンッ、とシステムウィンドウが開いた。

 《 監視タグ《特例観察対象》が付与されました》


「え、監視って!?」


「あなたの挙動は常に記録され、必要に応じて再び私が現れます」


「いやもう来ないでぇぇぇ!」


 GMが淡々と光の柱に包まれ、空へと消えていく。

 広場には沈黙が――……訪れなかった。


「今の、やばくない? 5分でGMにタグ付けされたぞ」


「監視タグとか伝説じゃん」


「動画撮った! 切り抜きにしてバズらせよ」


「やめてぇぇぇぇぇ!!」


 Kanade(私)は頭を抱えた。文字通り、自分の頭を抱えた。




 その後、プレイヤーたちにジロジロ見られながらも街を脱出。

 私は黒馬と共に街道を歩いていた。


「……はあ。初ログインで、こんな注目浴びるなんて思わなかった」

「ヒヒン」


 黒馬は当然のように横を歩いている。名前もまだない。


「……とりあえず、あんたの名前、いるよね」


 悩んだ末、私はぽつりと呟いた。


「“クロ”でいいや」


「ブルルルッ」


 黒馬が満足げに鳴いた。


(単純だな……)


 さて、ゲームの基本を確認しよう。


 《チュートリアルクエスト:街道沿いのスライムを3体倒そう!》


「……チュートリアル、今さらかーい!」


 とりあえず剣を抜き、黒馬の横で構える。

 スライムがぷよんぷよんと跳ねながら近づいてくる。


「よし、やってやる――!」


 剣を振り下ろそうとしたその瞬間。


 ドゴォォォォン!!!


 クロ(黒馬)が前足を地面に叩きつけ、炎のようなエフェクトをまき散らした。


 スライム、蒸発。


「おいおおおおおい!!!」

「ヒヒィィィィィン!!」


 威嚇するクロ。残骸すら残らないスライム。


 《チュートリアルクエスト達成:EXP+50》


「私、何もしてないんだけど!?」


 黒馬がどや顔でこちらを見た。

(……チュートリアル、私いらないのでは?)


 とはいえ、街道を進むとクエストが更新された。


 《メインクエスト開始:森の奥に潜む盗賊団を討伐せよ!》


「おっ、ついに冒険っぽい!」


 私はワクワクしながらクロにまたがり、森へと進んでいく。


 ――しかし、道中で出会うモンスターは。


 ゴブリン「ギャギャギャ――」

 ドゴォォォォン!!(※クロの前足)

 ゴブリン:蒸発


 狼「グルルル――」

 メラァァァァッ!!(※クロの目が光って炎)

 狼:消滅


「ちょっとぉぉぉ!! クロ!!!」


 完全にラスボス級の火力を持った黒馬のせいで、

 私の初冒険は無双ゲーと化していた。


 でも、そんな中で――

 森の奥から、ふと声が聞こえた。


「……助けて……!」


 小さな廃小屋の前。

 縄で縛られた少年NPCが、こちらを見ていた。


「やっと……プレイヤーが来てくれたんだね……!」


 彼の後ろには、怪しげな盗賊団が十数人。

 リーダー格がギラついた剣を構えている。


「おい、あの首なし騎士……報奨金が出るって噂の――」


「待て! 私まだ賞金首になってないから!!」


 盗賊たちが一斉に襲いかかってきた――その瞬間。


 クロの蹄が再び地面を踏み鳴らした。


 炎と轟音。


 盗賊団、全滅。


 少年NPC「……(口ぽかーん)」


 私「……」


 クロ「ヒヒィィィィィィィィン!!!!」


「いやいやいや……」


 私の頭(物理的に)を抱えつつ、ため息をつく。


「私、まだ剣一回も振ってないんだけど……」





「まさか……もうレベルが10になってる?」


Kanadeは画面のステータスを何度も確認した。

開始からたった10分で、スライム相手のチュートリアルを無双し、盗賊団も一掃。

そのおかげでEXPが爆発的に上がり、レベル10に到達していたのだ。


《レベルアップ!スキルポイント3獲得》

《特別スキル『黒馬の怒り』解放!》


「スキルポイント? なんだろうこれ……」


メニューを開くと、選択できるスキルの一覧がずらり。

その中に『黒馬の怒り』が光っている。


《説明》

「黒馬クロの力を一時的に解放し、周囲に火炎の嵐を巻き起こす」


「……やっぱりクロ、ただの馬じゃない……」


クロは鼻息を荒げ、地面を踏み鳴らした。

辺りに熱風が漂い始める。


「この子の正体……いったい何なの?」


そんなとき、画面に突然メッセージが現れた。


《警告》

「プレイヤーKanadeの行動が規定値を大幅に超えました」

「監視タグが強化されました」

《次回の監視者出現まで、残り3分》


「……ええええ!!?」


「まさか、運営が本気で来るの!?」


心臓がバクバクする中、目の前に見慣れないキャラクターがぽつんと現れた。


「私はGMランク3、NPCコード:ミラベル。あなたの行動を監視するために派遣されました」


「はじめまして……じゃないですよね!?」


Kanadeは深呼吸し、覚悟を決めた。


「もういっそ最恐になってやる! どんなトラブルもかかってこい! これが私の冒険の始まりなんだから!」


そして、クロの目が赤く光る。

「ヒヒィィィィィン!」


バランスブレイカーJKの超展開冒険譚、幕を開ける。

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