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デュラハンJKのVRMMO活動記  作者: とあるアルパカ


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12/12

12 合同会議

ギルド対抗イベント《覇群戦線》。

 本戦前、唯一の合同会議が開かれた。


 場所は中立都市・円卓ホール。

 各陣営の代表が、等間隔に着席する。


「……では、議題に入ります」


 司会役のGM代理NPCが、

淡々と告げた。


「本戦における想定外事象への対策について」


 空気が、少しだけ張り詰める。


 誰もが思っている。

 想定外とは何かを。


 スクリーンに映る一枚の画像。


・湖畔

・釣り竿

・レイド級モンスター


「……」


「……釣り、ですね」


「釣りです」


「……釣りですね」


 秩序派アーク・オーダーの代表が、咳払いをした。


「まず前提として」


「釣り竿でレイドボスを釣る行為は、再現性がありません」


「……はい」


「ですが」


「ゼロではない」


 会場が、静まる。


「……」


「実例が、すでに一件あります」


 全員の視線が、部屋の隅へ。


 そこに――


「……え?」


 私は、丸椅子に座っていた。


 名札。


《Kanade(初心者)》


「なんで私、ここにいるの……?」


「参考人です」


「やめて!!」


 黒ローブ代表が、

真剣な顔で言った。


「我々の分析では」


「釣りによるレイド誘導は、以下の条件が重なった結果です」


 ホログラムが展開される。


特殊イベント下


象徴級プレイヤー存在


水域と戦場の隣接


偶発的ヒット


「……」


「条件、全部Kanadeさんでは?」


「偶然だからね!?全部偶然だからね!?」


 別ギルド代表が、腕を組む。


「つまり」


「再現を狙うなら、象徴級を用意する必要がある」


「用意しないで!!」


 秩序派代表。


「仮に、釣り戦術を採用する場合」


「釣り人は、前線に出さず」


「安全圏から水域にアクセスさせる」


「……」


「釣り竿の耐久管理」

「釣りスキルの事前育成」


「やめて!育成しないで!」


 別陣営。


「レイドを釣れなかった場合でも」


「“釣ろうとしている”というプレッシャーが、敵陣に心理的負荷を与える」


「心理戦!?」


「優秀です」


 誰かが、

ホワイトボードに書いた。


《対策案》

・水辺立入禁止

・釣り竿持ち込み制限

・湖の事前干上げ


「干上げないで!!」


 司会NPCが、私に振る。


「参考人、

 何か意見は?」


「……えっと」


 私は、深呼吸した。


「……釣れませんよ?」


「……?」


「普通は」


「……」


「私、ただボタン間違えただけなので」


 沈黙。


 誰かが、

真顔で言った。


「ボタン間違えは、再現性のある事故です」


 GM代理NPCが、

まとめた。


「釣り戦術は――」


「“理論上可能だが、実用は推奨しない”」


「ただし」


「Kanadeさんが戦場にいる場合を除く」


「除外しないで!!」


《 会議ログ》

・釣り竿戦術:研究対象

・Kanade:例外扱い


 会議が終わる。


 各陣営は、

それぞれ思った。


(……釣り竿、対策は必要だ)


 私は椅子から立ち上がり、小さく呟いた。


「……本戦、出ないって言ってるのに……」


 だが、

誰も聞いていなかった。


 彼らの視線は、

すでに水辺マップに向いていた。

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