表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
デュラハンJKのVRMMO活動記  作者: とあるアルパカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

1 亜人だってゲームしたい

 亜人。

 人であり、人ならざる者。


 吸血鬼、雪女、妖狐……そんな名前を聞けば、だいたい想像がつくだろう。

 人の姿をしているけれど、ちょっと普通じゃない特性を持った存在たち。


 だが――私は違う。


 私は、デュラハンだ。


 首を小脇に抱え、漆黒の馬にまたがって現れる死の騎士。

 ゲームやアニメなら中ボスか、四天王ポジションに必ず一人はいるような、あの種族だ。

 カッコいい? 怖い? うん、だいたいそんなイメージだろう。


 そんな強そうなデュラハンの末裔――それが、私。


 **九首見奏くすみ・かなで**である。


 ……と、ここまで言うと「おお、親もきっとすごい人(?)なんだろう」と思うかもしれない。

 が、残念ながら私の両親はふつうの人間だ。

 どうやら隔世遺伝というやつらしい。


 とはいえ、私はまだ十六歳の女子高生だ。

 「死の騎士」だの「首なしライダー」だの言われても、そんなことより友達とゲームがしたいお年頃なのだ。


 最近はVRMMOが流行っている。

 私もやってみたい。みんなでダンジョンに潜って、ボスを倒して、ドロップアイテムに一喜一憂してみたい!


 ――しかし、ここで大きな問題がある。


 私みたいな亜人に対応しているVR機器なんて存在しない。


 まあ当然だろう。亜人なんてもの、そもそもこの世界じゃ「都市伝説」レベルなのだから。


 私だって、仲のいい友達以外には自分がデュラハンだってことを隠している。

 普段は首元を隠せるパーカーやマフラー必須。

 そのためだけに制服が自由な中学、高校を選んだくらいだ。


 ――だけど、私はあきらめない。


 この首、どうにかしてVR機器に対応させてみせる!


 なにせ私は、生まれてこの方デュラハンなのだから。


なんて思っていた時期もありました。


「よし……作るか」


 私は工具箱をドンと床にぶちまけた。

 ネジ回し、ハンダごて、配線、ペンチ。ついでに昨日のお菓子の袋も。


 ――目の前にあるのは最新型VRヘッドセット《ネクスギア》。

 このままじゃ装着できない。


 なぜなら――


「私、首が外れるからだ!」


 ガシッと自分の首を引き抜き、力説する私。

 ……ちなみに、横で動画を見ていた家の猫がドン引きした顔をして逃げた。


「逃げるな! お前だって私の努力の証人だぞ!」


 叫んでも猫は戻ってこない。

 仕方なく私は、独りきりの深夜改造に戻った。


「まずは……分解!」


 パキッ。

 VRゴーグルの外装が外れる。


「次に……センサーを延長!」


 ビリッ。

 なぜかコードが火花を散らす。


「……まあ大丈夫、大丈夫。まだ慌てる時間じゃない」


 ※既にかなり慌てている。


 そして二時間後――


「ははははは!! 完璧だ!!」


 机の上には、ケーブルが三倍に伸び、謎のパーツが盛り盛りに接続された《ネクスギア(改)》が鎮座していた。

 ついでに、横にはハンダごての焼け焦げと私の指の絆創膏が転がっていた。


「見ろ、この勇姿……!」


 私は右手に自分の首、左手にゴーグルを構え、勝利のポーズを取った。


「これぞ――デュラハン専用VRギア――」


 言い終わる前に。


 ――ボンッ!!!


 机の上で、謎の基板が白い煙を吹き上げた。


「ぎゃあああああああ!!!!!」


 思わず首を落とす。

 頭はゴロゴロと転がり、机の下で止まった。


「……」


「……まだ、直せる」


 床に転がったまま、私はかすれ声でつぶやいた。


 さらに一時間後。


「……で、できた……」


 机の上には、さっきよりさらにゴツくて不安そうな物体が鎮座していた。

 外装はガムテープで補強。

 中身は配線がスパゲッティ状態。

 もはや科学というより呪術の産物だ。


「これで……私も……ゲームの世界に……!」


 震える手で、私は自分の首を抱え直し、ヘッドセットを装着。


 センサーがピピッと光り――


『――ログイン準備完了』


「……っしゃあああああ!!!」


 そう叫んだ瞬間、


 ――バチバチッ!!!


「ぎゃあああああああ!!!(二回目)」


 煙がモクモクと上がった。

 ……でも、ゴーグルは起動した。


こうして、命を削りながら作られたデュラハン専用VRギアが誕生したのであった。



『――ログイン開始します』


 視界が一瞬、白に染まった。

 無重力に放り出されたような感覚。体の輪郭が、世界から溶けていく。


 ……そして、目を開けると――


「――ここが……ゲームの世界?」


 目の前に広がっていたのは、まるで異世界ファンタジーの街。

 石畳の広場、空に浮かぶ城、道を行き交うプレイヤーらしき人影たち。

 鳥肌が立つくらい、リアル。


 思わず、抱えていた首を見下ろす。


「あっ……首、持ち込み成功」


 どうやら、現実の体型そのままでログインされる仕様らしい。

 つまり――私はゲームの世界でもデュラハン。


「いやまあ……デュラハン専用VRギアだしね」


 感心していると、目の前に半透明のウィンドウが現れた。


《キャラクターメイキングを開始します》


種族を選んでください


ヒューマン


エルフ


ドワーフ


ビーストマン


「……いや、デュラハンがないんだが!?」


 叫んでしまった。

 エルフの尖った耳も、ビーストマンのしっぽもあるのに、首なしはない。


「……まあ、そりゃそうか。普通いないもんな……」


 しぶしぶヒューマンを選択。


《外見設定を行ってください》


 鏡のようなホログラムに、自分の姿が映し出される。

 現実と同じ、首のない私の姿――


「……あれ?」


 次の瞬間、ホログラムの中の私の首が、ふわっと胴体につながった。


「ちょっ、勝手に首つけないで!?」


《デフォルト設定では全種族、安全基準により首が接続されています》


「安全基準って何!? 首が取れるとCERO:Zなの!?」


 さすがにゲーム運営も、プレイヤーが首を持って走り回る事態は想定してなかったらしい。


「でも……このままじゃ、私のアイデンティティが……」


 私は悩んだ末、外見設定の項目を延々とスクロール。


 そして見つけた。


アクセサリ設定 → 特殊エフェクト → “コスチュームギミック”


 そこにあったのは、

【ヘッドデタッチ:ON/OFF】


「……あったああああああ!!!」


 私は即座にONに切り替えた。


 バシュッと音がして、アバターの首が――


スポーン!


 軽快に外れた。


 抱きかかえる形になった瞬間、ようやく落ち着く。


「これだよ、これ……!」


 こうして私は、公式設定では首の取れないヒューマンでありながら、

裏技的にデュラハン仕様に成功したのだった。


《キャラクター名を入力してください》


「名前か……」


 悩む。

 でも、ここはあえて――


Kanadeカナデ


 シンプルに本名をローマ字にして入力した。


《キャラクター登録完了――ゲームをお楽しみください!》


 視界が一瞬暗転し――


「よし、いざ冒険のはじまり――」


 そう意気込んだ瞬間、


「――あれ、地面が……高い?」


 ふと気づくと、私の体は馬にまたがっていた。


 黒く、屈強な、あの――


「ちょっ、最初から黒馬召喚してるんだけど!?」


 ……どうやら、

デュラハン仕様VRギアは、

運営の想定を軽々と超えていたらしい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ