96話 賑やかな1日の始まり
気がつけば、いつの間にか朝になっていた。車の窓から朝日が射し込み、僕は女の子3人に抱き枕にされた状態で目を覚ます。
イルミとラクシィは左右から僕を抱きしめ、ローザは僕に覆い被さるように抱きついてスヤスヤ眠っている。
柔らかい感触やら金髪、銀髪、水色髪のサラサラ、ワサワサとした感触とかが、またもや僕の理性を壊滅させようとしている。
「お……重い……」
握力数1000トンを超えておいて何を言うかと思われそうだけど、通常時は普通の人間の感覚で体を動かせるため、そのように感じてしまうんだ。
僕はそっと女の子たちの抱きしめから抜け出し、シンクで顔を洗い、コーヒーを淹れる。
「おはよーございますー、シオンさん」
ウンブラはイスを1つ陣取り、コーヒーを飲みながら本を読み、僕におはようを言った。また器用にページをめくってるぞ……。
「おはよう、ウンブラ、何の本読んでるんだい?」
「これですかー? マンガです、ドラゴンスフィアとかザ・サバイバルとか、みなさんが読み終わったのを借りて読んでるんですよ、面白いですねー」
「おお、僕も読んだことあるよ、読み始めると止まらなくなるよなー」
マンガの話でウンブラと盛り上がり、楽しく語らう。
「でしてねー、ローザさんが恋愛物で、イルミさんが日常ギャグ、ラクシィさんがバトル物と、好みが千差万別なのも面白いですねー」
「へえー、みんな意外な物が好きだよなー」
ラクシィがバトル物が好きなのは少年時代が存在したから分かるとして、ローザは恋愛物なんだな、てっきりギャグマンガが好みと思ってたが、イルミの方がそうだったとは……。
「う〜ん、よくねたぁ〜」
ローザは起き上がるとペタンコ座りをしながら伸びをし、首を左右に大きく揺らしポキポキ言わせている。完全に脱力した笑顔は愛らしいが、やっぱりギャグマンガが似合いそうな感じだった。
「ン……オハヨ……ミンナ……」
イルミは眠そうな目をこすりながらゆっくりと起き上がり、僕たちを見回す。サラサラとした胸まである水色のツーサイドアップが揺れ動き、それを手でとかす仕草は、やはり可愛い。
「おはよ〜、シーちゃん、みんな」
ラクシィはいつの間にか起きており、僕の首に腕を回して肩を組んできた。肩まであるフワフワしたセミロングの銀髪が僕の顔にあたり、良い香りが漂う。。
「うおお、朝っぱらからラクシィ大胆だな、なんて破壊力だ」
僕はクールを装い、ラクシィを見ながら頭を撫でてみる。
「えへへ……シーちゃんに頭撫でてもらっちゃった」
ラクシィは顔を赤らめホニャーっとした笑顔になる。
「あ〜、ラクシィちゃん、ずる〜い、わたし、わたしも〜」
ローザは満面の笑顔で羽ばたきながら僕に飛びついてきた。
「うわーっ! 車内で羽ばたいたらほこりが舞うからダメだー!」
「えい、空調換気最大出力ポチッと」
ラクシィはエアコンのスイッチを操作すると、舞ったほこりが凄い勢いで吸い込まれていく。
「オオ〜、スゴイ……あっという間にホコリがドッカ行ったヨ……」
イルミは目をまん丸くし、パチパチと手を叩いていた。
「ぬははー、この賑やかしさ、おれたちの1日が始まったって実感させてくれますねー」
「はは、そうだな……」
僕とウンブラは並んでコーヒーを飲み干した。ウンブラは羽繕いをしながら陽気に喋り、ローザとラクシィはじゃれ合っている。
イルミはみんなを見ながら微笑み、僕と目を合わせるとサムズアップをしてみせてくれた。僕はイルミにサムズアップを返し、つぶやく。
「今日も……よろしくな」
僕はウンブラを撫でながら、今日の始まりを噛みしめる。
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