93話 カラスが料理する光景はシュールだ
「お肉や野菜の切り方は、こんな感じでどうでしょー?」
「ま、また、器用に足で包丁を使いこなすんだなー……しかし、やっぱりシュールだ、カラスが料理する光景ってのは……」
少なくとも、僕はカラスが料理をするシーンはアニメっでもゲームでも見たことがなく、あまりにも異質な光景に戸惑いを隠しきれない。面白いのは面白いんだけど。
「包丁とかもソウダケド……人間が使う前提で作られてるから、使いにくくナイ……?」
イルミはウンブラを眺めながらつぶやく。
「それでも、やはりカラスの体はとても馴染みがありますー、この体でおれは人間の道具を使いこなして見せますよー」
「ウンちゃん、すっごいやるき〜」
もうすっかりウンブラはパーティのマスコット的存在が板についてきた。
「そして材料を鍋に入れて炒めましてっとー」
今度はくちばしでおたまを食わえて炒め始めたぞ、器用にもほどがある。このままじゃあ、ウンブラにまで料理の腕を越されるかもしれないな。
「んじゃ、おつぎは、おみずをいれてっと〜」
「煮込むのに……少しダケ時間がかかるネ……アニメでも見よっか……」
「良いね〜、それじゃ、タイマーをセットしてと……」
具が煮えるまでの間、僕たちは後部座席のソファーに座りアニメを見ながら雑談する。
「しかし、今更ですが、この車はとても快適ですねー、動く家と言っても差し支えはありませんよー」
「あっはは、でしょう。超技術を詰め込んでカスタマイズした自慢のホワイト号さ、しばらく留まって探査することもあったから居住性を優先してみたんだ」
ラクシィは誇らしげにホワイト号の自慢をする。確かにコンパクトでありながら車内は動きやすく造られており、居住性は快適だ。
しかし、名前はもう少し何とかならなかったものかなー。それとは別件で僕はラクシィにたずねる。
「そういえばラクシィ、探査の仕事から特殊任務に完全に移行したと聞いたけど、この車はそのまま使っても大丈夫なのかい?」
「うん、データはもう充分取れたし、量産型の製造が始まったから、これはそのままボクにくれるってさ」
「オオ……アース・セイバーズって、気前が良いんダネ……」
イルミは僕に寄りかかり、ウンブラは僕の膝の上で座り込んで羽繕いをしている。
「ボクも全てのことを把握してるわけじゃないけど、資金は相当持っていることは間違いないよ」
「確かに……富士山の噴火を阻止したとはいえ、僕たちに30億もポンっとくれるくらいだもんなー」
ダンジョンの資材を真っ先に利用した製薬会社。それを母体とし民間組織を立ち上げ、国とも提携し警察以上の権限まで与えられている。今聞いても凄すぎるな……どんな社長さんなんだろう。
「あ、そろそろ、にえたみたいだよ〜、ルーをいれよ〜、ルーを」
ローザはタイマーのスイッチを止めカレーのルーを鍋に放り込む。
「おお、もうすぐ出来上がりですな」
ご飯も炊けており、僕たちは皿にご飯を盛り、カレーを食べる準備をする。
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