85話 イルミとの考察
86話は7日の21時10分投稿予定です
「正直ネ……役に立つ情報かは分からないケド……衣服だけを遺して消滅した人は7人で、全員男の人だったってコト……」
イルミはアース・レコードを指差しながら僕の顔を見る。
「全員が男性……いや、充分じゃあないか、ハッキリとした指向性が垣間見えるよ!」
僕は思わずイルミの頭を撫でまくる。
「エヘヘ……褒められちゃった……」
イルミは気を良くしたのか、僕に抱きつき、顔をグリグリ僕の胸に押しつける。おおう、とんでもない破壊力だ。僕の理性が悲鳴を上げるが、今は情報の方が気になるな。
「つまり……男性7人を次元上昇させた超存在は……僕が思うに多分なんだけど、7人とも女の子なんじゃあないかな」
根拠はほとんど無いが、多分を付けとけば、まあ大丈夫だろう。
「ナルホド、ナルホド〜、エネルギー的な理由で、ソレハ、有り得そうダネ……」
「エネルギー的?」
僕はイルミに聞き返す。実はイルミの方が心当たりがあるんだろうか。
「ウン……ナンテイウノカナ……男の人と女の人では……ソウダネ、属性ってのが違うんダヨ……闇属性と光属性って感じで……」
「属性かー、なんかゲームっぽいな。ちなみに僕の属性は?」
「ウン、闇属性……」
「ああー、やっぱりー……言葉の並び順から嫌な予感はしてたけど、当たってしまったかー」
確かに黒は好きだが、ハッキリと闇属性だという事実を目の当たりにすると少しヘコんでしまう。
「フフ……アクマデ、エネルギー的な話であって、闇属性が悪いってことじゃないんダヨ……」
イルミは抱きつく形で僕の背中をポンポン叩いてくれる。ま、まだ理性は持ちそうだ。
「ち、ちなみに、イルミとローザ、ラクシィの属性は?」
「モチロン、光属性……♪」
「じ、自分のことを迷いなく光属性と言い切れるのは羨ましいな……」
イルミは微笑み、僕は引きつった笑顔で答える。そこまでの自己肯定感が僕も欲しいぞ。
「イヤァ……ソレホドデモ……」
イルミは顔を赤らめ照れながら笑顔で僕を見上げる。めっちゃ可愛くて理性が吹っ飛びそうだが、多少ギャグ成分が混ざってる状況のため、ある意味均衡が保たれてるような気がする。
「ところでさ、同属性だと何か問題でもあるのかい?」
「ン〜……問題自体は無いんダケド……エネルギーが生み出せないんダヨ……」
「え、そうなのか?」
一見、相性良さそうだけど、エネルギーが生産出来ないとは……。
「陰と陽の循環の際……理屈自体は知らないケド、エネルギーが生まれてね……ウ〜ン……良い例えとしてはネ……」
「ふむふむ……」
僕はうなずき、イルミの言葉を待つ。
「闇属性は、アイされたい……光属性は、アイしたい……お互いの望みが満たされて幸せエネルギーが溢れてハッピーって感じ……カナァ……?」
イルミの天然な例えと、すっとぼけた挙動に僕は思わず吹き出しそうになる。
「う、うっかり吹き出しそうになってしまった……だけど、面白い例えだし、何となく僕は分かった気がするよ」
「フフ……上手く伝わってくれて良かったヨ……」
イルミは首を傾げながら微笑んでいる。
「つまり、超存在の目的は、適正のある男性を自分と同等くらいの存在に進化させて自分のところに居てもらい、エネルギーを創り続けたかったのかもな」
「ダネ……ソレト……好きな人も欲しかったトカ……?」
「ははは、分かりやすくて良いな、それ」
僕とイルミはお互いを見つめ合い、笑い合う。
真相は分からない、でも、そう考えても変じゃあないし、そっちの方がやっぱりロマンがある。
きっと、次元上昇した7人の男性は、今もなお、超存在の元で幸せに暮らし続けているのだろう。
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