81話 個人的な考察
82話は3日の21時10分投稿予定です
このあと、みんなと遊んだり食事したりと自由に過ごした。
クニヒロさんの件についてはラクシィも関心を持ったらしく、アース・セイバーズに頼んで資料を集めてもらったり調査をしてもらいたいと言っていた。
そんなことまで頼めるんだなー、ラクシィの権限はかなり自由が効く上に相当強いのだと改めて思った。
「今日も、あっという間に終わったなー」
僕は寝間着に着替え、布団の上に寝ころんで天井を見つめる。古風の白電灯は趣っていうのかな、そういうのがあって、なんか良い。
「しっかし、僕がクニヒロさんの生まれ変わり、かぁ……」
その可能性が高いだけで確信は無かった。だが、無関係とは確かに思えない。
「むう……分かってるのは、クニヒロさんは次元上昇を望み、富士の樹海に向かい、消息不明になったってことだ……」
2018年の同時期に複数の人間が樹海に向かい、肉体だけが消失するという怪現象が起こった。
「次元上昇した場合、肉体以外のものは置き去りになるとローザは言ってた。衣服や治療部品が遺されたのは、そのためか……」
だが、次元上昇なんて超常現象は普通の生活をしている人間が起こせるとは考えにくい。変な例えだが、オリンピック選手を差し置いて一般人が優勝するようなもんだ。
だが……外部からの干渉があったとしたら……? 個人では不可能でも、謎の超常存在がそうなるように手引きしたとしたら……。
「有り得ない話では、なくなるよな……」
部屋には怪しげなCDが放置されてた、詳しくは見てないが、脳を活性化させるというような内容だった気がする……。
超存在の干渉を受けやすい脳になってしまい、さらに、干渉しやすい時期と場所があると仮定し、それが2018年の富士の樹海だった……。
「そうなると、超存在に導かれ次元上昇させてもらい、その存在が待つ世界へと旅立ったと考えても良さそうだよな……」
ちょっとロマンチックに考えすぎかな、だが、そう考えると、やっぱりなんで戻ってきたんだろう?
「何か目的があったのか……はたまた、生まれ変わりでは無い……でも、波長が同じ……うーん」
思考を巡らせ、僕はしばらく唸りつづける。
『肉体以外の物は、置き去りになるよ〜』
僕は思わずハッとした。
「魂は……全て次元上昇出来たのか……? 実は魂の一部は地球に残されて、それが生まれ変わって僕になったんじゃあないか……?」
僕はトンデモ発想をしてしまう。だが、それならクニヒロさんは生まれ変わらず、僕が同じ波長を持っている理由にはなる……か?
理屈も理論もあったものではないけど、僕としては、この仮定で納得してしまった。だが、ここで追い打ちをかけるように次の疑念がフッと沸いてきた。
「50層のウルティウム・ドラゴン! あれと連動して富士山が噴火しそうになったんだ! クニヒロさんが次元上昇した、あの場所で!」
僕は上体を起こし、大きめの独り言をつぶやいてしまう。ゲート、ダンジョン、富士の樹海、クニヒロさんの消失、何もかもが関連してるのではないかと思ってしまった。
……知りたいと思った。緊急性や必要性は無い……あくまで好奇心とか、そんな感じの感情だ。
でも、僕の存在や力の根本に関わる事柄かもしれないと思ったら、やはり、もっと知りたいという欲求が心の底から沸いてくるのを感じる。
「富士の樹海に、何があるんだろう……?」
疑念や好奇を胸に抱きながら僕はつぶやいてると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「シーちゃん、今、良いかな〜?」
ラクシィがやってきたみたいだ、なんの用なんだろう?
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