77話 部屋の探索
78話は30日の21時10分投稿予定です
「うっわぁ〜、ほこりだらけだよ〜、ちょっと、まどをあけるね〜」
「ウン……ジャア、ワタシはあっちを……」
イルミとローザは部屋の窓を開ける。
「んじゃ、つぎは〜、おへやのものを、ふっとばさないように、ほこりだけをぶっとばして〜と、バ〜タバタバタバタ〜!」
ローザは羽根をバタつかせ風を巻き起こし、ほこりや虫を部屋から外へと吹き飛ばしている。ゴキブリやカナブン、クモとほこりの塊が庭にある雑草の生い茂った花壇へと追いやられ、部屋の中がスッキリとした。
「オオ〜、キレイになった……ヨシ……サッソク探索開始ダヨ……」
イルミはクニヒロさんの部屋にある本棚に向かい、眺めている。ローザはベッド周辺をうろつき回り、ベッドの下を覗き込んでいる。
「う〜ん、なにもないなぁ〜」
「ベ、ベッドだけを調べても大したものは出ないんじゃあないかなーと。僕はテレビの方を調べてみるかな」
僕はそう言いながらテレビ周辺を調べてみる。
……クニヒロさんもゲーム、好きだったのかな。
だいぶ古いナンバリングだが、僕の聞き覚えのあるタイトルが数本目に付く。
「ファイナルクエスト……スーパーマシンウォーズ……ドラゴンスフィア……メタル・ウルティム……RPGメーカー?」
最後のゲームは知らないが、全体的に僕と好みは似ていて、さらにシンパシーを強めることとなった。
さらにメタル・ウルティムという戦車も使えるマイナーなRPGまで所有してるなんて、ますます僕そっくりだ。なんか思わず嬉しくなる。
「ネエ……シオン……」
イルミは本を持ちながら僕に話しかける。
「何か見つけたのかい、イルミ?」
「次元上昇って、ナンダロ……?」
僕は、またしても全身の細胞がザワつく感覚に陥る。なんで……その単語がここで……?
「確か……ローザが言ってた気が……有機械惑星セブンで巨大戦艦を消し飛ばした技……アセンション・レイの解説で、次元上昇って……」
僕はおぼろげながらも記憶を掘り返し、思い出してみる。
「おお〜、よくおぼえてたねシオンくん〜、よし、かいせつしてあげるね、次元上昇ってのはねっ、三次元世界の存在が高次元の存在へと昇華する現象のことを指すんだよ〜」
ローザは指を立てながら得意げに解説してくれる。いつもは天然っぽいのに、解説の時は妙にシャキシャキと喋るんだなー。
「高次元の存在?」
「うん、原子と霊子で構成された半霊半物質の体を持つ不死身の超生命体のことでね、わたしも分類上それに入るの〜」
ローザは自身を指差しながら誇らしげにしている。その知識の出所はどこからなんだろう。
イルミはアース・レコードを操作して調べ物をしており、僕は腕を組みながらつぶやく。
「なんで、クニヒロさんは、こんな本を……?」
普通に生活し、テレビゲームを趣味としている人としては若干、不可解な内容の本だと思った。
「どこかのタイミングで霊的な事柄に関心が芽生えたと考えるのが無難ですねー」
ウンブラは手をヒラヒラさせながら軽い口調で答えるが、どこか考えてる節が見受けられた。僕はローザに再び聞いてみる。
「ところでさ、ローザはどうやって高次元の存在になったんだい?」
「ん〜、それは、わかんないかな〜、きがついたらダンジョンの最下層にいたし、一部のちしきも、なんでもってるのか、わたしじしんもしらなくて……」
ローザは頭をカリカリかきながら自信なさげにしている。さっきまでの自信はどこいったんだ?
「な、なるほど……じゃあさ、普通の人間が高次元の存在に進化する方法はあるのかい?」
「ん〜、そうだね〜、超存在と接触して力を与えてもらう事例しか、わたしはしらないかな〜、あ、そうそう、シオンくんとイルミちゃんみたいな感じで」
「超存在と接触、か……」
つまり、そのために富士の樹海に向かったんだろうか? 憶測の域を出ないけど。僕がつぶやいてるとイルミは口を開いた。
「モウ、トックニ過ぎてはいるけど……2012年に次元上昇が起こる……という噂が一部であったみたいダネ……」
2012年……謎はさらに深まるばかりだった。
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