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69話 アイン・ソフ・オウル

次話は21時20分投稿予定です

『アイン・ソフ・オウル──極小のビッグ・バンを引き起こす光弾を創生する超常の力。移動しながらのチャージが可能。対象のエネルギーを減退させ無力化する効果を有し、爆発範囲を小さくするほど威力と効果が高まる性質を持つ。ジーベン・ゲバウトの所持者のみ使用可能』


 10個目のモナドが埋められてゆく。ビッグ・バン……一体どれほどの威力なのだろうか……。


 そして相手を無力化か……確かに不死身でもエネルギーが無くなれば動きを止めざるを得ないはずだ。


 僕は光弾を撃つためのチャージを開始する……。光線の応酬が終わり、ローザは少し間抜けな顔をしながらつぶやく。


「ア……アセンション・レイうつの、つかれたよ〜……こうなったら、スターゲイザーでポコポコにしちゃうぞ〜」


「接近戦ダネ……全力でビームを撃つと、疲れて再使用に時間がかかるから、ソレマデ殴り合おう……」


 ローザとイルミはドラゴンに突撃し、一進一退の攻防を繰り広げる。


 極光星雷拳、スターライト・レイとスターゲイザーの乱舞が飛び交い、ドラゴンは隕石のような火炎弾を乱射し、尻尾の乱打を繰り出す。


 周囲の大地や火山が消し飛んでゆき、いつ終わるともしれない激戦が続く。ラクシィは中距離から電撃や冷凍弾を放ち、時折光剣ジェネシスで斬り込み2人を援護している。


 まだチャージまで時間がかかる、僕は再び光刃を100メートルほどの長さで保ち、ドラゴンに突撃し斬りかかる。


「みんな、新しいモナドを手に入れたんだ! 一斉に光線を撃つときは僕も一緒に撃つから、合図を頼む!」


 僕はドラゴンにギャラクシオン・バスターを連続で叩き込みながら大声で叫ぶ。


「ウン……分かった、シオン……」


「ほわっ? シオンくん、いつのまに? よし、じゃあ、そのときいっしょに、ぶっぱなそ〜」


「了解だよ、シーちゃん」


 それから10分ほど激戦は続く。お互い不死身とはいえ、戦いが長引けばエネルギーを消耗し疲れてゆく。そんな中、先手を取ったのはウルティウム・ドラゴンだった。


 上空に飛び上がったあと口を開き、先程のとは比べものにならないくらい巨大な真紅の光球を創生し、僕たちに向かって撃ち放ってきた。


 あらゆる存在を焼き尽くすほどの爆発に巻き込まれ、人智を超えた轟音と温度の中で僕の意識は薄れてゆく。半径2000キロにも及ぶ爆発は、惑星を破壊しかねないほどの威力を有していた。


 焼けて欠損した僕の肉体が再生する……僕は意識を取り戻し、周りを見回す。イルミもローザもラクシィも怯む様子を見せていたが、良かった、みんな無事のようだ……。


 抉られた惑星の奥から溶岩が吹き出てくる。辺りはたちまち溶岩の海となり、火柱が立ち上り地獄のような様相をさらに際だたせる。


 そんな中、ローザはドラゴンを見上げ、長い金髪を揺らしながらVサインを目の前で真横にしながらポーズを決める。


「よ〜し、エネルギーはたまったよ、こんどはわたしたちのばんだね!」


「ウン……コレデ、決めてみせる……ワタシの全力を……」


「みんなと一緒なら、必ず勝てるよね、次のアカシック・フレア……ボクの全エネルギーを込めた……とどめの一撃だよ!」


 イルミは自信たっぷりの笑顔でサムズアップを決め、ラクシィは腰に手を当てて胸を張り、ウルティウム・ドラゴンの真横へとみんなで飛翔する。


 僕たちは光線を……光弾を撃つ構えをとる。ウルティウム・ドラゴンも再び真紅の光球を創生し、光線を撃ち放つ準備をしている。


 エネルギーチャージが完了し、ほぼ同時にお互いの大技が撃ち放たれる。


「これでおわりだよ! アセンション・レイ!」


「いっけぇ〜っ! アカシック・フレア!」


「アナタとの手合わせ……楽しかったよ……マタネ……」


 黄金白色と蒼の輝く超巨大なエネルギー波と太陽のような火球が真紅の巨大光線とぶつかり合い、空間を歪ませるほどの力場を発生させ、色とりどりのスパークが生み出される。


 そしてドラゴンとローザ、イルミ、ラクシィの技が対消滅を引き起こし、大爆発を発生させ、虹色の粒子が周囲に降り注ぐ。


 僕は手を合わせるように前方へ腕を突き出し、手と手の間に光弾を創り出す。エネルギーが臨界点に達しようとしたその時……。


「ここまで導いてくれて……ありがとう……」


 誰に対して言ったわけではなかった……それでも、僕は言葉を漏らしていた……。


「この場に僕なんかが居合わせたのは……本当に奇跡だ……」


 まさか、こんな最終決戦のような場面に、リアルで参加するとは夢にも思わなかった……。


「あなたが何者なのか……何を望んでいるのか……僕には知る由もない……」


 それでも……。


「僕は……生きていく……これからも、この子たちと一緒に!」


 そう……これからも……ずっと……。


「アイン・ソフ・オウル!」


 瞬間、白く輝く光弾が僕の手の中から発射され、ウルティウム・ドラゴンに命中する。そして銀河系を思わせるような大爆発が引き起こり、白く輝く粒子が乱舞し、あとには真紅に輝くコアが残された。


 そして真紅のコアは蒼い輝きを放つモナド結晶へと姿を変え、イルミに引き寄せられていった。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

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