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58話 47層、寒冷惑星ユルジス

次話は12時10分投稿予定です

「ソウダ……両手を合わせ……エネルギーを集中……前方に発射……」


 イルミは両手を輝かせ、目の前の巨大モンスターに対して両腕を前方に突き出した。


「イクヨ……極光彗星波きょっこうすいせいは!」


 イルミの両手から蒼く輝く巨大なエネルギー波が放たれ、相手から撃ち出された無数のミサイルごとモンスターを消し飛ばした。


「なっ……!? イルミ、いつの間にそんな僕の知らない技を覚えたんだ?」


 まだ、10個目のモナドは埋めてない。イルミが自力で覚えたのだろうか?


極光星雷拳きょっこうせいらいけんを両手で出そうとして、その場で前方で放ったら出来たんダヨ……ナントナクでしかなかったケド、結果オーライってヤツダネ……」


 イルミは僕にサムズアップしながら得意げにしている。


「イルミちゃんがビームおぼえちゃった! これは、わたし、じみにピンチ!」


 ローザは両手を頬に当てて狼狽えている。いくらローザが高ステータスといえど、どんどん戦い方が上手くなっていく今のイルミと手合わせしたら不覚をとるかもしれない。


「にしても、この星は寒いね〜、機械型のモンスターにとっては都合は良いのかもだけど、そもそもロボットが出て来たことにボクはビックリしたよ」


「だな、まさか機械の敵が出てくるとは……」


 この47層は寒冷惑星ユルジスというみたいだ。惑星一面が雪で覆われ、ドーム状の建物が点在し、ポツポツと木や草が生えている極寒の星だ。


 出てくるモンスターは、なんと機械で小型のドローンや8メートルほどの人型機動兵器、戦車や戦闘機の形をしたモンスターがミサイルや破壊光線、大砲を乱射してくる。


 今の僕たちの耐久力と再生力の前には大したダメージにはならないものの、四方八方から撃ちまくられるとサイズ差の都合上よろめくし、気分的に痛い。


 そんな中、ラクシィは強気な様子で口を開いた。


「よ〜し、ボクの大技も見せてあげるよ、アカシック・フレア!」


 ラクシィは上空に飛び上がり片手を上げると、その手の平から恒星を思わせる巨大な火の玉を創生し、僕たちに向かってミサイルを乱射してくる数キロ先のロボットの群に投げ込んだ。


 ミサイルを飲み込みながら火球が地面に着弾すると、隕石が落ちたような凄まじい爆炎と地響きが発生し、直径数キロはあるクレーターを作り出した。


 そのクレーターからは巨大な火柱が吹き出し、僕たちに熱風を吹き付け、周囲を溶岩へと変え続けている。


「せ……世界が……燃えてしまう……」


 僕は思わずつぶやいた。これ地球で使用したら絶対にヤバい技だ。


「どう、シーちゃん? ボクも中々のものでしょう?」


 ラクシィは腰に手を当てて、にこやかな笑顔を僕に向けている。


「いや……中々どころじゃあないって……これ本気で放ったら地球吹っ飛ぶぞ……なんでこの火力を持っててザウルで足止め食らってたんだ……」


「いや〜、モンスターが集まってくると、ボク1人じゃいくらなんでも捌ききれなくてさ〜、乱発すると疲れるし」


「さすがに1人では多数の再生能力持ちはキツいか……でも、アース・セイバーズ部隊長って言ってなかったっけ? 他の隊員は?」


 ラクシィは口ごもり、目が少し泳ぎだす。


「な、何言ってるんだい? シーちゃんとイルミとローザがいるじゃないか〜」


「そ、そんな事だと僕は思った」


 ラクシィは僕とイルミの首に腕を回し、ガッチリと組みかかってきた。


「隊員……? ナニソレ、美味しいの……?」


「イチゴあじかな〜、それとも、メロンあじかも〜」


「そ、そもそも、食べ物じゃあない……」


 気が抜けそうな会話をしながら僕たちは素材を回収し、先へと進む。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます!

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