51話 ようこそ、僕たちの家へ
次話は1時10分投稿予定です
「ダンジョンでの探索は、右も左も分からず手探りだった……でも、幸いなことにボクは最初から強力なスキルを複数所持してた上に、アルファ星人の超能力まで行使でき、それが通用してくれたんだ」
ラクシィは少し落ち着いた様子で話を続ける。
「パパの助けもあって、ボクは面白いようにどんどん強くなっていった。手に入れた素材はパパに渡して、お金に換えてもらってたんだ。全部順調にいってたよ」
「親子で、頑張ってきたんだな……」
「うん……その内、パパの勤めている製薬会社が国と提携してアース・セイバーズという組織を立ち上げたんだ……マンガみたいな話だけどね……」
「た、確かに……」
なるほど、本来は製薬会社だったが、持ち込んだ素材を起因として組織を立ち上げるまでになったのか……。ラクシィが強い権限を持ってるのもそういう理由なんだな。
「オブリオンとして力を高め、素材を収集する一方、地球にスキルを持ち込めるボクは、地球内部の資源の探索や危険地域の調査をする仕事を任されていた、そんな矢先……」
「ワタシたちの……存在を知ったというコトカナ……?」
イルミはラクシィの思いを察し、言葉を繋げた。
「そうだよ、イルミ……君たちに接触して欲しいと上から頼まれたんだ。でも、それがまさかシーちゃんだったなんて、夢にも思わなかったよ」
「なんか、うんめいっていうのをかんじるね……」
ローザは手を組みながら嬉しそうにしている。
「ボクも、そう感じずにはいられなかったよ、シーちゃんとは、また会うべくして会えたんだと……」
ラクシィは少しだけ表情を曇らせ、僕を見ながら話を続ける。
「でも、不安だった……変わり果てたボクを変わらず受け入れてくれるだろうか……宇宙人だと知ったら怖がっちゃうんじゃないかって……でも、ガルドの事を聞いて、改めて思ったよ……」
ラクシィは僕を目を真っ直ぐ見ながら微笑む。
「自分を殺そうとした相手すら助けるシーちゃんは、絶対にそんなことしないってね」
「だ、だから、僕を買い被りすぎだって……」
僕は両手を突き出し、首を左右に振る。ただ寝覚めが悪かっただけなんだけどな。
「そして、悪霊ですら懐かせて庭に住まわせてるなんて、シーちゃん相当ぶっ飛んでるよ……本当に驚いた……。その時……思ったよ……ボクは……何を、悩んでたんだろうなって……なんで……ボク……信じ……」
「ラクシィちゃん?」
「……ラクシィ……アナタハ……」
ラクシィは言葉を詰まらせ、今にも号泣しそうな顔で僕に抱きついてきた」
「うわっ! ラ、ラクシィ!?」
「ごめん! ごめんよ! シーちゃん! もっと……もっと早く会いに行けば良かった! そうすれば、殺されそうにならずに済んだんだよ! でも、ボクが臆病だったから……信じ切ることが出来なかったから……うわああああああああああん!」
ラクシィは僕の耳元で号泣している。思わず僕はそっとラクシィを抱きしめ返す。
「……こんな時、何て言ってやれば良いのか僕には分からない……でも、分かっていることがある……だからこそ……僕はみんなと出会えた……与えてもらえた……。運命だと、会うべくして会えたと言ったじゃあないか……僕とラクシィが今日、再会したこと……それこそが……最良の導きだった……僕はそう信じてる……」
思考するよりも先に言葉が流れ出してゆく……。
「シーちゃん……」
「だからさ、自分を責めないでやってくれ……そして僕からは、この言葉を贈らせてもらうよ……」
「うん……?」
僕はラクシィへの抱きしめを優しく解き、少しだけ下がり右手を差し出した。
「ようこそ、僕たちの家へ!」
新たな同居人を加え、僕たちの生は続いてゆく……。
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