46話 交番での取り調べ
次話は20時10分投稿予定です
僕たちはお巡りさんに交番に連れて行かれ、事情を聞かれることになってしまった。
「で……大山さんは、コスプレをした女の子2人とこの青年に殺されそうになったと?」
「おう! この3人はバケモンだ! 早く牢屋にぶち込んで二度と出られないようにしろ! 日本が侵略されるぞ!」
ガルドは被害妄想に囚われ、お巡りさんに食ってかかる。お巡りさんは頭を押さえながら呆れたようにため息をつく。
「君の持ってた、このバットはなんだ? 何を思い切り殴った?」
「あの真っ黒いコートを着たシオンっていう人間の形をしたバケモンだ! 俺は全力でぶっ叩いたんだ! それがこのザマだ!」
ガルドはひん曲がった金属バットと僕を指差しながら叫んでいる。
お巡りさんは呆れを通り越して哀れみのこもった目でガルドに向かってため息をつく。
「そ、そんな可哀想なヤツを見るような目で俺を見るんじゃねえ!」
「ところで、松武さんたちはどうして大山さんに組みかかってたんですか?」
食ってかかるガルドをあしらいながら、お巡りさんは今度は僕の方に話を振ってくる。
「僕たちの……あることないことを……言いふらすって言うから……やめてもらうように……説得しようと思って……」
ああ……マズいな……今度は何を聞かれるんだろう……。僕は内心ヒヤヒヤしながら目を泳がす。
イルミとローザはキョロキョロしたり髪や服ををいじったりしながら大人しくはしている。
「その子たちは?」
「僕の親戚です」
僕は即答で返す。ダンジョンから連れ帰ったとか、口が裂けても言えないよ。ボロが出る前に返してくれないかなあ……。
「名前を聞かせてくれますか?」
ゲ……マズい……。
「んんっ、わたしはローザ」
「ワタシはイルミ……」
「外国人の親戚、ですか……名字も伺っても?」
僕の顔は汗だくになってゆく。
「ま……松武ローザと松武イルミですよ! ハーフなんです!」
く、苦しすぎる……これ以上は誤魔化せそうもないぞ……。
「少々、おまちください」
お巡りさんの1人が奥の部屋に引っ込んでいった。もはや嫌な予感しかしない……。数分後にお巡りさんは戻ってきて僕に問いつめる。
「松武さん、その子たちの戸籍が存在しないのですが、どういうことか説明してもらっても良いですか?」
僕は顔を伏せ、貝のように口を閉じ黙り込む。いっそ、正直に全部言ってしまうか? ダメだ! 言ってしまえば取り返しはつかない!
だが、これ以上誤魔化すのも難しい……こうなったら、黙秘権ってのを行使するしかない! 僕は大汗をかきながらうつむき黙り込みを続ける。
「シオンくん、すごいあせだよ! ど〜したの? ちょうしわるいの?」
「シオン……ドウシテホシイ……? ワタシに今、出来ること……アルカナ……?」
ありがとう、心配してくれて……だが、情けないことに、この場を切り抜ける方法が思いつかない。ガルドに会った際、すぐに逃げれば良かったのかも……。
「はい、赤鳥交番です……え……? は、はい……分かりました!」
電話……か……何か慌ただしかったようだけど、なにかあったのか?
「松武さん、失礼致しました。少しの間、みなさんで奥の休憩室でお待ちいただけますか?」
「え……? は、はい……」
な、なんだ? どうなってる? 様子からして悪いようにはならないみたいだけど。
僕たちはお巡りさんに案内され、和風の休憩室でくつろがせてもらう。
「よし、テレビつけよ〜、テレビ」
「お菓子がタクサンあるね……お茶も飲んで良いのカナ……?」
「はい、ご自由にお食べください。それでは」
お巡りさんはそそくさとその場を去る。
「と、とりあえず、ゆっくりさせてもらおう……」
僕はイスに腰掛け、気を緩める。
「お、おい、ESが迎えに来るって、あの人たち何者なんだ!?」
「な、なんだって!? ただのコスプレイヤーじゃなかったのか!?」
な、なんだって!? ……は僕が言いたい! ESってなんだ!? マジで何がどうなってんだ!
勘弁してくれ……こっちはのんびりスローライフってのを送りたいだけだというのに……。僕は頭を抱えながら心の中で悪態をつく。
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