38話 想定外の収入3500万円
次話は24日の7時10分投稿予定です。
「お待たせしました、合計で3500万円になります。どうぞ、ご確認ください」
ブローカーは札束の収まった黒いケースを僕に見せ、確認をとる。
「え……?」
僕は一瞬思考が止まり、唖然とした表情と声で立ち尽くす。待て、クールに冷静に!
「す、凄い値段で買い取ってくれましたけど、何かレアな素材が混じってたとか……?」
僕は引きつった笑顔と声でブローカーに聞いてみる。
「はい、レインボウ・ストーンが2個ありまして、今の相場だと、これほどの値となります」
そ、そうか……きっと砂漠で入手したんだな、あまりにも素材が多すぎて手当たり次第に放り込んでたから、うっかり気付かなかった。
「ソウイエバ、キレイな石を2つ拾ったけど……アレガ、レインボウ・ストーンダッタノカモ……」
イルミは僕の横から顔を覗かせ、僕を見上げながらつぶやく。
「イルミが拾ってくれたのか、凄いよ! おかげでこんなにお金をもらえたんだ、大活躍だな!」
「エヘヘヘ……モット、褒めて……」
イルミは顔を赤らめ、頭をズイッと僕に向けてきた。お、おそらく、これは頭を撫でてという意味だよな……? よ、よし……。
「え、偉いぞイルミ、良い子だ……よしよし……」
うわぁ、なんて偉そうなんだ僕。自分で言ってて寒気がしてきた。にしても、イルミの髪はとても柔らかく、暖かい。
「ハフウゥゥゥゥゥ〜……」
イルミはトロンとしたアホ顔になり、気持ちよさそうにしていた。ぐぅっ、か、可愛い……。
「ああ〜っ、イルミちゃんだけずる〜い、わたしもがんばったんだから、なでてよシオンく〜ん」
ローザは甘え声で僕にすり寄ってきた。またもや凄く可愛いが、人目がめっちゃ気になるので手短にと……。
「よしよし、ローザも頑張ったな、凄く偉いぞ……」
僕はローザの頭を優しく撫でてみる。ボリュームのある金髪に僕の手は覆われ、暖かいというよりは少し熱い。ローザの体温は高いのかな、陽気だし。
「うへへへ……シオンくん、きもちいい……」
「ちょっ! うへへへは却下! 微妙に怖いんだけど!」
僕は思わずローザの頭から手を離し、うろたえる。
「んじゃ、でへへへ……っていうのは〜?」
「そ、それなら可愛いと思うよ……」
「でしょ♪」
あ、マズい……ブローカーや他の人の視線が痛くなってきた、早いとこ店を出よう。いや、その前に確認したいことがあったんだ。
「すいません、さっき売却した素材の中のモナ……いや、スキル結晶に、何て言うか……ミニオンを完全に独立させるようなスキルって無かったですか?」
「ミニオンを独立? 残念ですが見あたりはしなかったですね。そもそも、そんなスキルは聞いたことが無いもので……」
「そうですか……ありがとうございます」
やはり、そうそう見つからないか……発見されてないとすると、やはり41層以降に存在すると考えた方がいいかもな……。
僕はイルミとローザを連れてそそくさと店をあとにする。
それにしても、3500万円か……実感は沸かないが、今、僕たちは凄い大金を手に入れたんだな。これも、イルミとローザのおかげだ……本当に有り難い。
「よし、まずはアパートに帰ろう」
「ウン、ソレジャ、シオン、手を出して……」
「あ〜っ、またさきこされた〜、イルミちゃん、なかなかてがはやいね、これはうかうかしてられないよ〜」
「は、はは……本当に、イルミとローザは賑やかだな……」
2人を見ていると本当にホッコリするな。僕も、いつの間にか口数が増えた気がする。少しは賑やかになれたのだろうか……分からないけど。
僕たち3人はお互い手を繋ぎ、時空間転移を発動させアパートへと帰ることにした。
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