36話 ローザは超神というデタラメな存在
次話は18時10分投稿予定です。
「おおっと、ごめんね、シオンくん。わたしったら、つい興奮しちゃっておもいっきりギュ〜ッてしちゃった」
全く悪びれない笑顔でローザは抱きしめの力を緩める。
「まったく、なんて怪力だ、僕も相当強くなってるはずなのにな。裏ボスだけあってステータスは10万超えてるわけ?」
「うん、わたしのちからは30万!」
「うおっ! 僕の3倍だと? どうりでバカ力なわけだ」
単純に考えて握力は1500トン……もはやバケモンだ。一体、どんなモナドを持っているんだろう? ちょっと聞いてみようかな?
「そして、わたしの細胞頑強力は63万! すなわちねっ、ローザよローザ♪」
「お……おう……そ、そうか……それは、うん、凄いな……」
僕は引きつった笑顔で答える。63万は凄いと思ったけど、自分の名前との語呂合わせは、少し引いてしまった。
「ローザって……ドンナ、モナドを持ってるのカナ……ナンカ、聞いてみたい……」
あ、イルミに先を越された、ま、まあ、良いや、どちらが聞いても変わりはないだろうし。僕はローザの言葉を待ってみる。
「よっし、みせてあげよう、わたしのモナドを! イルミちゃんとシオンくんに」
ローザは左手をタッチしてグラマトンを展開し、ステータスとモナドを開示する。
『超神──人智を超えた力を有する不死身の超生命体。破壊不能の光り輝く霊的コアを体内に持ち、肉体が消滅しても10秒ほどで完全に再生するため絶対に倒されることがない。また、あらゆる次元において力を失わずに活動可能な性質を有し、様々な行動でステータスが永続的に上昇していく。高次元エネルギーで構成された羽根を持ち、宇宙空間すら自在に飛翔することが出来る。ちなみに飢餓や窒息状態に陥ることがない』
『スターライト・レイ──高次元エネルギーを凝縮し無数の光球を創生。そこから熱光線を放つ超常の力。完全に自動追尾で創生数に限界が無く、同時に数10万の対象をも攻撃することが可能』
『ステータス──筋力30万。細胞頑強力63万。運動性20万。超常力40万。幸運63万。知力6』
「も、もうすでにバケモノじみたデータしかないな……」
まだ全部見てないが、恐ろしい強さだということだけは分かった。ん……? 知力6……?
「……普通の人の知力は10で、僕も10だったはずだから……」
僕はローザを見ながらつぶやく。
「わ、わたし、バカじゃないもん、じつは、すんごくあったまいいんだ、ほんとだよ〜」
ローザはベッドの上で正座して腕と羽根をパタつかせ必死に弁明している。
マズい……もうすでにバカっぽい……いや、薄々気付いてはいたんだけど。
「ワタシは、確か17ダッタカナ……ツマリ、ローザの3倍は物覚えが良いということなんだね……」
イルミはローザに勝ち誇った笑みとドヤ顔を向ける。
「ふえぇ……ま、まけないもん……い、いつか、知力63になって天才になるんだから……」
ローザは泣きそうな顔で負け惜しみを言っている。うっ、こう思っちゃあ悪いけど、可愛いと思ってしまった。
「き、きっとなれるさ、僕はそう思うよ、うん」
うわぁ、自分で言ってて白々しい……もっと気の利いた言葉は出ないのか……。逆効果にならなければ良いんだけど。
「でしょ〜、シオンくんもそうおもってくれるよね〜、もっ、シオンくん、だいすき〜」
ローザは再び僕に飛びかかり抱きついてくる。今度は手加減を覚えたのか痛くなく、柔らかい感触が僕の全身に広がっていく。
「うおわぁっ! こ、このままでは、僕の理性が! イルミ、ローザ、嬉しいんだけど、いったん組みかかりを外してくれると助かるな!」
僕は目を見開き、大汗をかきながらイルミとローザに懇願する。
「んも〜う、しかたないね〜、そこまでいうのなら、こんかいはシオンくんをひとまず解放して、あげよう!」
「あげようとか言ってるよ! なんて恩着せがましいんだ、この子は!」
ローザは、あげようを強調してニヤニヤしている。
「ン〜、嫌がってはいないみたい……デモ、ナンカ困ってはいる……不思議ダナ〜……」
イルミは口元に指をあてて不思議そうにしている。と、とりあえず助かった……。
僕はもっとクールで理性的に行動するべきだ。イルミとローザの誘惑には屈しないぞ!
もうすでにアホっぽい決意を胸に抱き、僕はあさっての方角に頑張りを向けるのだった。
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