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22話 わたしもつれてって〜♪

次話は12時20分投稿予定です。

「わあっ、ど〜したの? イルミちゃん」


「ン〜、ナンカ、モヤモヤして、ローザの邪魔をしたくなって……デモ、理由が分からない……」


 イルミは自身の行動を不思議に思っている。


「あ、わたし、わかったよ。イルミちゃんはきづいてないみたいだけど、イルミちゃんもシオンくんのことが好きなんだよ、きっと」


 ローザはイルミの方に向き直り、嬉しそうに顔の横で人差し指を立てている。


「ワタシも……シオンが……スキ……?」


 イルミは顔を赤らめ、ローザの顔を見つめたあと僕の方を見る。僕は少し照れてしまい、照れ隠しで頭をかく。


「うんうん、これはもう、まちがいないねっ、よしっ、わたし、きめちゃった」


 ローザはイルミの手を引き、僕のところまでパタパタ歩いてきた。


「もともとは感覚にまかせて、剣とコートを取り返しにきたつもりだけど、それあげるね。かわりにわたしをつれてってほしいな〜」


 ローザは屈託のない笑顔で僕に頼んでくる。


「えええっ! つ、ついてくるの? マジで?」


「ふぇっ! その反応、もしかしていやなの〜?」


 ローザは涙目で僕の目を見つめてくる。


「うっ……か、かわい……じゃなくて、嫌ではないんだけど、少し順を追って説明してくれると助かるな。正直、状況を全く把握出来てなくてさ」


「いま、わたしをかわいいっていおうとしたぁ〜♪」


 ローザは急に満面の笑みに変わりご機嫌になる。


「うわあああ! 話が全く進まない! 頼むから少し大人しくしてくれーっ!」


「マアマア、シオンも少し落ち着こう……」


「は……はい……」


 イルミになだめられ、僕もローザも一呼吸おき、とりあえず10層の中継地点へと向かうことにした。


 10層の様相は広い空間になっており、湖の側にはヤシの木が生えており、サラサラとした砂地が特徴の中継地点だった。


 一見、夜の野外のように見えるが、上を見上げると星空のように光る天井が存在するのが確認でき、また、5層のように複数の建物と畑や牧場のようなものも散見された。


「ココモ、不思議な場所だね……」


「うん、まるで夜の砂漠のようだ」


「シオンくん、イルミちゃん、しってる? おほしさまにみえるのは星ゴケっていってね、くらいところで色とりどりにひかる、おもしろいコケなんだよ〜」


 ローザは僕とイルミの前に回り込むと、楽しげに上を指さしている。


「星ゴケって言うのか……ダンジョンは本当に不思議なところだ」


「キレイなコケ……持って帰ろうかな……」


 とてもダンジョンの中とは思えない。深層に行くほど空間が広くなっていってる気がする。


 まずは、10層のブローカーに素材を買い取ってもらう。査定はすぐ終わり、なんと20万円で買い取ってもらうことができた。確かに道中のモンスターはかなりの数を倒したものな。


 この調子で稼いでいければ、本当に有り難い。僕たちはブローカーの店を出て次の行き先を考える。


「とりあえず、話したいこともたくさんあるし、宿に行こう」


「シオン、宿ってナニカナ……?」


 イルミは僕を見上げながら首を傾げる。


「食事と寝床を提供してくれる場所だよ、今日はそこで休もうと思ってね」


「わあ〜、たのしみだなぁ〜、シオンくんとイルミちゃんとわたし3人でおんなじおへやでお泊まり、わくわくするねっ」


 ローザは羽根をパタつかせ、はしゃいでいた。


「えっ、いや、部屋はさすがに別にしようかと……」


「ン〜、ワタシはミンナ一緒が良いかな……」


「おおう……多数決で押し切られてしまった……ま、まあ良いか」


 僕たちは案内板を見て宿の場所を確認し、歩き出した。


 ……会ったばかりで素性もハッキリしないというのに、当たり前のように僕たちはローザと一緒に行動している。


 警戒心が足りなすぎると言われればグウの音も出ないが、話した感じ、明るく元気な女の子で、悪い子だとは思えない。


 僕の主観はアテに出来ないとしても、イルミもローザに対して心を許してるように見える。なら、大丈夫だと思いたい。


「ン〜ト、ココガ宿ってとこだね……」


「だよ、イルミちゃん、ささ、はいって、はいって♪」


「ロ、ローザの家じゃあるまいし、入っては変な気が……」


「んんっ、だいじょぶだよ、もんだいなし!」


 僕のツッコミをあっけらかんと笑い飛ばし、ローザとイルミは宿に入っていく。僕も宿に入り、宿泊の手続きをすることにした。



ここまで読んでくれてありがとうございます。

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