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1話 地の底で出会った少女

 僕はただ立ち尽くし、恐怖のあまり動けないでいた。

 そして水色に輝く球体は僕の眼前でピタッと動きを止める。


「……ヨウコソ……」


 今、確かに声が……まさか、この球体が?


「その通りだよ……アナタの目の前に存在する球体、それがワタシだよ……」


 ……っ! まさか、僕の心を読んで……!


「ソウ……完全では無いにしろ……アナタの心を読んでいる……」


 僕を……殺すのか……?


「コロス……? イヤ……コロシはしない……ワタシは……アナタに力を与えることが出来る……」


 僕に、力を……? でも、そんなことを言われても信じられないし、理由が分からない……。


「……ワタシも……全てを把握してるわけではない……タダ……アナタに力を与えることが……ワタシにとってもメリットが存在する……ソレデ……納得はしてくれないかな……?」


 メリット……?


「コノ……永遠に続く……暗黒の世界から……出ることが出来る……カタチある存在として……」


 ここで……ずっと……?


「ウン……ココデ……眠りと目覚めを……繰り返していた……」


 なぜ……?


「ハッキリとは……ワカラナイ……ワタシを創造した存在に……そう宿命づけられたのだと思う……」


 ……。


「タダ……」


 ただ……?


「アナタを……認識した……その時に思った……ヤット……来てくれたのだと……」


 ……!


「同意が無ければ……ワタシはアナタに……力を与えることが出来ない……」


 同意……力……。


「ワタシは……タダ……アナタの意志に委ねるしかない……」


「……僕も、ここに来てしまった以上、選択肢が他にない……怖くないと言えば嘘になる……それでも……」


 僕は光球に向かって言葉を初めて紡ぐ。


「どうか……この僕に……力を与えてくれ!」


 ……その瞬間、暗黒の世界は真っ白な光に包まれ、僕は意識を失った。


 ──どれくらい意識を失っていたのだろう。

 夢と現実の混ざり合う微睡みの中で、僕は目を覚ました。

 銀河が、恒星が、星が見える……僕は、宇宙空間に浮かぶクリスタルの床の上で横になっていた。


「目が……覚めた……?」


 声のする方に振り向くと、そこには少女が座り込んでいた。

 胸まである水色の髪をツーサイドアップにし、パッチリとした水色の瞳を持ち、白いブラウスと水色のミニスカートを履いた愛らしい少女だった。


「君、は……?」


「ワタシだよ……さっきまでアナタと接触していた存在……」


 まさか、この子が?


「……コレガ……ヒトのカタチというものなんだね……動きやすくて……心地良い……」


 透き通るような綺麗な声と、たどたどしい口調で少女は続けた。


「アナタの名前……教えて欲しい……」


 そういえば、確かにまだ名乗ってなかったし、心の中で自分の名前を思うことはしなかったな。


「シオン……松武子温まつたけしおん


「シオン……ソレガ……アナタの名前……」


 少女は両手を胸にあて、言葉を続ける。


「ワタシの名は……ソウダネ……」


『イルミ………・……ルトール』


「思いついた……ワタシは、イルミ……イルミ・アルトール。ドウカ、コレカラ、ヨロシクね……」


 そう言うと、イルミは寝ている僕に手を差しのべてきた。

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