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15話 風呂場の格闘

次話は12時10分投稿予定です。

「マ……マズい……これは非常にマズい……」


 僕は今、天から与えられた試練の真っ直中にいた。


「ン〜、シオンの様子が変だね……何がマズいのかな……?」


 イルミは首を傾げながら僕を見つめている。

 くっ、どう説明したらいいんだ?


「え、えっとな、異性同士でお風呂に入るというのは……何というか……」


 僕は顔を赤くし、大汗をかきながらしどろもどろになる。


「何か言いにくそうだね……ンジャ、質問を変えてみようかな。一緒に入ると死んじゃったり呪いがかかるのかな……?」


「い、いや、そんなことはないさ」


 僕は可能な限り冷静に答える。はいか、いいえの二択なら迷うことはない、助かった。


「ヨシ、次はね……誰かの迷惑になっちゃったりするのかな……?」


「いや、それもないはず」


 うん、間違ってはいない。よし、僕は冷静だ。


「ジャア、最後の質問、ワタシと一緒にお風呂に入るのは、イヤなのかな……?」


「嫌じゃあないさ、イルミのような可愛い女の子とお風呂とか、むしろ嬉しいっていうか……」


 ……あれ……? 僕、今なんて……?


「フフフ、ソウナンダ……ナラ、ワタシの判断では、何も問題なしと出たから……ヨシ、一緒に入ろう……!」


「し、しまった! 選択肢を間違えた!」


 僕はうろたえて叫ぶが、もはや後の祭りだった。イルミの右腕が動いたかと思うと、僕の黒い長袖Yシャツのボタンが全部外されていた。


「なっ! は、早い! バカな! 僕とイルミのステータスは同じくらいのはず……」


 見えなかった……なんでだ? いや、それよりも、早く風呂場から出なくては! そう思い、うしろを向こうとした瞬間、僕のYシャツがはぎ取られていた。


「うわあっ! マズい! このままじゃイルミにされるがままだ!」


「サア、シオン、観念シヨウカ……」


 イルミは逃げようとする僕の両腕に掴みかかり、動きを封じようとする。


「うおおおおおっ! そんな! 腕力でも押されてるなんて! どうなってるんだ!」


「フフフ……実はチョットした見落としがあってね……グラマトンを開いてステータスを見てみて……」


「え、ステータスを?」


 イルミは力を緩め、僕が左手をタッチしてグラマトンを開き、能力の詳細を確認するのを眺めていた。


「あーっ! 確かに筋力や運動性、細胞頑強力や超常力とかは10万超えてるけど、精神力と知力、器用さなどが上がってない!」


「ソウ、上がってない能力は、実は力を上手に引き出すのに必要なもので、その差が出てるんだよ……」


「エクスオールで全能力10万アップってあったのに、微妙にサギ臭いぞ!」


 イルミは狼狽する僕を見ながら微笑んでいる。


「ソレニ、お互い10万上がってるとはいえ、ワタシの方が初期値が高い分、5000の差が出てるし、存在としての感覚の差も加わっているから……ツマリ……」


「とどのつまり、僕はイルミに今のところ勝てないってこと……?」


「ソウイウコト……無駄な抵抗は諦めよう……」


「なあんてこったぁーっ!」


 僕の叫びは空しく虚空へと吸い込まれていった。僕は観念してイルミと一緒に入浴することになる。ああ……僕の理性は最後まで耐えてくれるのだろうか……。



ここまで読んでくれてありがとうございます。

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