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11話 イルミとデパートでお買い物

次話は20時10分投稿予定です。

 今は午後6時。ちょうどタイムセールの時間なのか店内は人で賑わっている。さて、まずは何から買おうかな。


「イルミ、何か気になるものがあったら声をかけてくれ」


「ア、ソレジャ、コレ……」


 もうすでに気になるものをピックアップしてたようで、ポテトチップスやキャンディとチョコ、コーラを指さしていた。


「お菓子かー、良いね、僕もお菓子は好きだよ」


 僕は商品に手を伸ばし、買い物かごに入れようとする。


「ア、ワタシが入れる〜」


 イルミはポテチやコーラを手に持ち、眺めながら僕の買い物かごに入れてきた。イルミは色んなものに興味津々だ。そのはしゃぎようは微笑ましく愛らしかった。


 ……僕はふと、あることに気づいた。お客さんの中にイルミを見てる人が、かなりいるようだ。


 とても可愛いからというのもあるかもだが、水色の髪というのは人間では存在しない色で、どうしても目立つようだ。コスプレをしてると思ってくれれば良いんだけど。


「ネエ、シオン、コレハ何……?」


 イルミはトランプとマグネット式の将棋とオセロを持ってきた。


「ああ、これは一緒にゲームをして遊ぶための道具だよ。良かったら買っていくかい?」


「ウン、コレモ欲しい……」


 子供の頃に遊んだっきりでうろ覚えだ。帰ったら改めてルールを調べてみよう。僕はイルミにオセロなどを買い物かごに入れてもらう。

 そして、僕たちは肉の売場へと足を運ぶ。


「どの豚肉にするかな……」


「シオン、ワタシ、コレが良い……」


 イルミは大きく脂身の多い豚肉を手に取り、僕に見せてきた。


「おお、これは美味しそうだ。イルミは物選びのセンスが良いな」


「エッ、ソッカナ……エヘヘ……それほどでも……」


 イルミは顔を赤らめ頭をカリカリかきながら照れていた。

 おとなしく辿々しい喋り方をしているけど、イルミはとても表情豊かだ。見ていて僕も嬉しくなる。


「あとは……小麦粉、卵、パン粉といったところか……」


 足りない材料を買いに売場を回る。イルミは色々な商品を物珍しそうに手に取り眺めている。


「そういえばイルミって、力加減とても上手だな」


「ン……? ドユコト……?」


 イルミは首を傾げ不思議そうに聞き返してきた。


「いやさ、神社や灯籠を触ってた時、全くと言っていいほど壊さないように優しく触れてたからさ、普通の人の感覚で力を加減出来るんだなーって」


「アア〜、ナルホド、聞きたいこと分かったよ……ウン、実はチョット意識すれば見た目相応の力で行動するのは簡単なんだよ……シオンも無意識に出来てると思うけど……」


「あ、言われてみれば確かに」


 イルミは顔の横に人差し指を立てながら笑顔で話す。

 人智を超えた筋力を有していながら、いつもの感覚で力をコントロール出来るのか。生活していく上で便利だな。


「よし、今日の買い物はこんなものかな。お会計に行こう」


「ウン!」


 僕とイルミは会計を済ませるためにセルフレジへと向かう。


「会計のために少し機械を操作する必要があるんだ、今から教えるよ」


「ウン、お願いするね……」


 僕はイルミに機械の操作とお金の投入方法を簡単に教える。


「ヘエ〜、ナンカ面白いね……」


 イルミは楽しそうに機械を操作し、バーコードをスキャンしていく。


「おお、飲み込みが早い上に手際も良い。イルミは頭が良いんだな」


「フフフ……モット褒めて……」


 イルミは自信たっぷりにドヤ顔をする。

 少し前から思っていたんだがイルミは確かに頭が良い。少し教えただけですぐに理解するし、感覚的なことも分かってくれてるように感じる。


「よし、これでお会計は済んだかな。荷物は僕が持つよ」


「ン〜、半分こ、シヨ……」


「お、サンキュ」


 僕とイルミは一袋ずつ荷物を持ってデパートを出る。外はすっかり暗くなっており、街灯が道路を照らしていた。


「さ、僕のアパートへ向かおう。上手ではないけど、腕によりをかけてご馳走しよう」


「フフ……楽しみにしてるよ……」


 僕とイルミは並んで歩き、アパートへと向かう。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

もし少しでも、面白そうだったり、先が気になると思っていただけましたら、

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