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102話 レオナとルシオン

「ウンブラとお別れし……それから数日後……ボクは導かれるまま富士の樹海へと無意識のまま向かい……輝くゲートへと入っていった……そしてボクの魂は……この世界に流れ着いていた本来の肉体に戻り……あの子と出会い……ここで暮らしている……」


「あの子……?」


 イルミと考察してたんだ……やっぱり、待っていた超存在は女の子なのだろうか……? ただ、本来の肉体……? 僕が疑問に悩んでいると、聞き覚えのある、高く透き通った綺麗な声が聞こえてきた。


「ルシオン……ここにいたんだね……」


「レオナ……」


 どこからともなく少女が現れ、ルシオンと呼ばれた青年は少女の方へと振り向く。


 僕は目を疑った……金色の長い髪に2本のアホ毛……パッチリとした金色の瞳……背中から白い羽根を生やし、丈の短い真っ白なワンピースを着たレオナと呼ばれた少女は……僕の知っているローザと完全にうり二つだった……。


 レオナはルシオンの隣に腰掛け、自己紹介を始めた。


「いらっしゃい……ワタシはレオナっていうんだよ……よろしくね……」


「よ、よろしく、僕はシオン……」


「ウンブラでーす」


 戸惑いながらも僕たちは自己紹介を返す。レオナの口調は大人しく、少し辿々しい。外見はローザだが、内面はイルミに似ていると僕は思った。


「改めて自己紹介させてもらうよ……ボクはルシオン……それがボクの……本当の名前だ……」


 名前まで僕と似ているとは……やっぱり他人な気がしない。


「よし、それじゃあ、僕はあなたのことはルシオンと呼ばせてもらうよ」


「あれ? クニヒロさんとは呼ばないんですかー?」


 ウンブラは首を傾げながら僕を見上げる。


「いや、なんかさー、この人をクニヒロさんって呼んで良いのはウンブラだけな気がしててさ、ちょうどよかった」


「さ、さっきからボクのことをクニヒロと呼ばなかったのは……そう考えてたからだったのか……変とは思ってたが……」


「変なこだわりがあるんだよ、僕も感性がズレてるからさー」


 僕はおどけて軽い口調で話す。うん、なんか……自然に砕けてきたな……悪くない……。


「ですよー、シオンさんは感性がズレまくっててですねー……」


「ズ、ズレまくってる言うなー」


 ウンブラは羽根を広げながら陽気に語り、僕は軽くツッコミを入れる。


「おれが悪霊となって家に取り憑いてですね、シオンさんたちを攻撃しようとしちゃって返り討ちにあったんですよー、そのまま追い出すか倒すかすれば良かったのに、でも、シオンさんは真っ先に祠を作る提案をしてくれて、おれを住まわせてくれましたー、お人好しな上に変わってますよねー」


「そ……そんなことが……? それは……ボクは知らなかった……ウンブラ、もっと詳しく聞きたいんだけど……」


「良いですよー、クニヒロさん」


 ルシオンは話に食いつき、ウンブラは今までの経緯を分かる範囲で説明してくれた。


「そっか……そんなことが……シオン……ありがとう……ウンブラを助けてくれて……また、キミに借りが出来ちゃったな……」


「も、もうすでに僕は貰いすぎてる気がするんだけど? ルシオンが僕にこれ以上気負う必要は無いんじゃあないかなー」


 ルシオンの礼に僕は軽く茶化す感じで返す。祠の経緯は……突発的にやった感じなので、思い出すと気恥ずかしい。


「アナタも……ルシオンにそっくりで……優しいね……」


「あ、ありがとう、レオナさん……」


「えへへ、レオナで良いよ〜」


 不意にレオナに褒められ、少しだけうろたえる。


「何か……ボクに出来ることはないだろうか……? 少しでもシオンに恩返しがしたい……ボクに出来る範疇でだけど……」


「して欲しいこと、か……もうすでに貰いすぎてるわけだけど……あ……」


 レオナとルシオンは、何をどこまで知ってるんだろう? それを聞いてみたい。


「そうだ、情報が欲しいんだ。無くても問題自体は起きないと思うけど、今思えば、知らない事が多すぎてさ」


「ああ、ボクたちが知っていることなら何でも」


「ワタシも……全部は答えられないかもだけど……何でも聞いてみてね……」


 レオナとルシオンは笑顔で快諾してくれた。

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