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変えてやる  作者: 三竹
3/8

出世争い!?

あいつは何で出世したいと思っているんだろうか。ただお金が欲しい?権力が欲しい?何か狙いがあるのだろうか。まさかと思うがこの会社を変えたいとは思っていないだろうな…。このままだと理由はどうあれ、出世争いでライバルになってしまう。なるべくなら争いはしたくない。この辺りであいつとも話しておこう。今日は飲み会も入っていないみたいだし、サクッとラーメンでも食べに行って、少し話して帰るとするか。

仕事帰り、会社から少し離れた中華料理屋に行った。いつもは上司や同期も一緒だから2人は初めてかもしれない。今日は休肝日にしたいからウーロン茶、あいつはビールを頼んだ。「お前お酒強いよな~、全然酔わないのか?」他愛もない会話からスタート。食事も中盤になってきたところで本題。「お前は何で出世しようと思っているんだ?」そう聞くと「何でって…お前こそ何で出世したいんだよ?」腹の探り合いをしているみたいだ。ここは本音を話したほうがいいのか、あいつの本心がわからない以上危険なのか。「そりゃ、お金持ちになりたいし、そうなればモテるだろ~」無難に答えておいた。「ふ~ん。まぁそうだな。俺もそんな感じ」はぐらかされた。本心は何なんだろうか。とはいえこちらもまだ警戒していて本心を話すのはためらってします。あいつも同じように思っているのだろうか。今日のところはこれ以上深堀もできないし帰るとするか。

翌日からはまた上司と飲み歩く日々が続いた。半年ほど経ち査定の時期になる。上司や人事にゴマを擦った甲斐があり、あいつも俺もプロジェクトリーダーを任されることになった。後輩の配属も決まり、新たなチームとなった。同期の中でもリーダーになれたのは俺ら2人だけだった。

チームにはもちろん先輩もいるわけで、うまく立ち回らなければいけない。的確な指示を出して迷惑が掛からないようにしなければという思いだけが先走ってしまう。ここであいつとの差を見せて、一歩先に進んでおきたい。肩に力が入ってしまい、上司と飲みに行く回数も減ってします。あいつはといえば、何も変わらず同じように上司と飲みに行っている。そんなんでリーダーが務まるのか。ここで差を広げてやる。そう思っていた。

なかなか思うようにいかない日々が続いたある日、たまたまリーダーを務める先輩と帰りが一緒になった。疲れた顔の俺を見かねて飲みに誘ってくれた。「どうやったら上手くいきますかね」お酒も入り弱音を吐いてしまう。「お前いろいろやりすぎだよ、リーダーは何もしなくていいんだ」は?何言ってるんだ?と耳を疑う。「リーダーはこういうのやりたいっていうだけでいい。あとは周りが考えてやっていってくれるから。お前出世したいんだろ?だったらちゃんと上司や人事と飲みに行け、それが第一優先。あとは周りに任せればいいから」信じられない言葉だった。この会社腐ってる。何で出世したい奴は飲みに行っていいんだ?仕事は周りに任せればいい…間違ってる。怒りがこみあげてくるが、それを先輩にぶつけたところで何の意味もない。むしろマイナスになる。どうにか理性を保った。早く出世してこの会社を変えたい。まじめに仕事している人が報われるようにするんだ。

翌日からは先輩に言われた通り、飲みに行くのを第一優先にした。先輩たちの目が気になるが、出世を優先しなければ、まじめに働く先輩たちを救うことはできない。仕事が疎かになっていくのが自分でもわかる。先輩たちの接し方もきつくなってきた。でもどちらも完璧にやることは難しい。あいつは元々何もしなかったから、周りからの期待値も低く、そこまできつく当たられていないように見えた。隣の芝生は青く見えるから仕方ないのか。俺は中途半端に仕事もやってきてしまったから、「やれるのにやらない」という目で見られているのかもしれない。誰からも嫌われないなんて無理だから、誰かに嫌われてもいいと思って、どちらかに振り切らないといけない。まずは出世すること、それだけを考えよう。

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