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妖の仲間?
かけられていた毛皮が落ち、それを拾ったときに、自在鉤につるされた鍋がないことに気づいた。
使ったはずの鍋も椀も、けずった箸も、つかわれずに部屋のすみに置いたままだ。
桶をのぞくと、かきとった雪がほぼ溶けて中にある。
・・・なんだ?夢だったか?あの侍も、妖の仲間・・・?
だが、部屋のすみ、土間の土が掘り返された跡がある。
こわくてできないが、あそこを掘れば、あの鏡がうまっているだろう。
戸をあけてみた。
雪には、一人分の足跡があるが、新しくついたものではないし、かんじきの大きさだ。
そういえばあの侍、脚絆にわらじだった・・・。
もう、うっすらと、空の色が変わってくる頃だった。
きのうの雪がうそのように、雲はない。
暗く雪がつもったあたりをみまわし、しっかりと戸をしめた。




