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異世界飯処いつき  作者: 倉田深夜
2/2

プロローグ2

  オドリーヴァにはいくつもの大陸があり、それぞれに大国小国ひしめき無数の国と文化が存在する。

 俺がいるのは、ゴッドリバール公国という海に面した国だ。

 ゴッドリバールは、海以外の全ての国境が他国と地続きになっており、人の往来が盛んで、外国人にも寛容だった。

 なので、俺もあまり苦労せずこの国に定住することが出来た。

 とはいえ、俺の身分を証明する諸々の書類は、キラウエルがでっち上げてくれたものだが。

 話を元に戻すと、そのゴッドリバール公国の中規模都市カツトールが俺の店、飯処「いつき」のある場所だ。

 ここで俺は、この国で採れる食材を元に自分が今まで作ってきた家庭料理を客に振舞って生計を建てている。

 ただの元リーマンが作る家庭料理がウケるのか疑問なのかもしれないが、これが案外ウケている。

 地球で言えば西洋に近い食文化のこの国では、俺の料理も食べたことのない新鮮な味なのだそうだ。

 まあ、この国がほんの数年前まで戦争に巻き込まれていて、食文化がかなり衰退していたのも理由なのかもしれないが。

 今日も俺は、決まった時間に店を開ける。

 いつもだいたい午後5時頃から開店する。

 この世界の住民は、日が昇ると働き始め、日が暮れる前には1日の仕事を終えて家路につくので、だいたいこれくらいが丁度よいのだ。

「イツキ! 時間ピッタリね」

 店の外に開店を知らせる看板をだしに出るとキラウエルがいた。

 キラウエルは、この店のオーナーでありながら、ウエイトレスとしても働いている。

 俺の料理のノウハウを自分の故郷にも持ち帰りたいと勉強しているのだそうだ。魔道士という人種は勤勉だ。客にもおり、他にも見た事があるが、食事中にも本を読み、連れとの食事なら何やら難しい魔術の話しで盛り上がっていた。キラウエルもやはり知識欲が強く、俺が元の世界の文化や科学の話をするととても面白がるので、まかないを一緒に食べている時なんかに、よく日本の文化について尋ねてくる。最近は、女子高生の恋愛事情にも興味があるようだ。

 ウエイトレスと言ったが、キラウエルの仕事はそれだけでは無い。

 この店は、コンロの火や蛇口をひねれば出る水、食材を保管する冷蔵庫の冷気、。役割をキラウエルが呼び出した炎・水・(いなずま)の精霊たちが代わりにになってくれている。

 冷蔵庫は氷の精霊が冷やしてくれているのかと思っていたら、冥界の死霊の吐息を吹きかけているんだそうだ。地獄みたいな冷蔵庫だ。

 と、まあ。そんな感じで「いつき」の店内環境は、地球のものと遜色ないものとなっている。

 これは凄まじく凄いことらしく、普通なら王族お抱えの宮廷魔道士が数人がかりで構築する環境だとキラウエルは絶壁なような胸を張っていた。

 それと同等のものを、ウエイトレスの仕事をしながら片手間に行えてしまうのだから、キラウエルは本当はとんでもなく優秀なのだろう。

 そんな訳で、今日も俺とキラウエルは店に立つ。

 さて、異世界料理店のはじまりだ。

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