スキルオーブ ~適当に選ぶべからず~ (短編)
白き神の世界、今日も哀れな子羊が迷い込む…
だが、ここの主はとても怠惰な存在だ、だらけてー下からこんにちはー(  ̄ー ̄)ノ
寝ながらにして少年を迎え入れる。
周囲は丸い石ー宝石だろうか? の山、山、山だ。
「あはは、ごめん、ごめん、今片付け中なんだ、私は気にしないから、君も気にするな、お姉さんは物分かりの良い子が大好きだぞー」
触れてはいけない、齢15歳少年は即座にそれを理解させられた。
「う、美しい女神様、僕に何かスキルを授けて下さい、お願い致します」
「殊勝な心がけに免じて3つあげよう、大きいのと中ぐらいのと小さいの… 3つ、よく考えて取るといい」
指でそちらを指し示す。
少年がそこに向かうと積み重なるようにカラフルな石の山が出来ていたー廃棄用、そう書いてあったが…
「さ、さて、見なかった事にして選びますか、う~ん、どれも分かんないからこれとこれとこれ!」
3つの山から大きさの違う石をそれぞれ取った、当然山は崩れたが、そんなことは知らない、知りたくない。
「選んできました!」
「じゃぁ、それを心臓の辺りに押し込んじゃって、えいっ! って」
「ふぬらばぁぁあああー」
少年は気合いを込めてそれを押し込んだ、痛そうだったから…、それはすんなり体に吸い込まれた、あふんっ、あふんっ、ふんっ。
少年は3つ目にしてやっと慣れた。
「うんうん、じゃぁ、この3つもどうぞー」
少年はその3つをポポポンと入れるが、卒倒した。
「まぁー、限界まで入れればね、そうなるよね…、さてと、少年、お別れです、向こうの世界でも頑張ってね」
その後、少年が目を覚ましたのは、だだっ広い草原だった。
少年は何とか街に辿り着き、冒険者の新人講習を受けるのであった、出世払いで…
「…ですので、くれぐれもオーブの枠は空けて置くように…、スキルが成長しなくなってしまいます…」
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召喚したまえ(3)
フリスビー(2)
水鉄砲(1)
Ex:異世界言語(1)
Ex:鑑定(1)
Ex:アイテムボックス(1)
「あるぇー? 僕のオーブの枠埋まってない? 成長の余地無いのもしかして?」
こうして少年はヘンテコスキルと共に成長の余地を失い、それを別の人物やテイムモンスターで補っていくのであった。
これはいずれ大テイマーになるかも知れない少年の苦労の物語。
読んで下さりありがとうございます。