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会議はいつも大騒ぎ 三

 しかし、これらも全て計画通りなのだ。


 いかにも陽気な侍女達らしく、いたずらに言葉で鶴妃を慰めるよりも、逆に彼女が皆をねぎらう形にした方が良いだろうと言う考えをまとめた。


 どっちみち、翔翼が帰って来ないと鶴妃の心は癒されない。せめてささやかな麻酔を施そうとしているのである。


 鳩紫は、筋の通った提案には寛大なことで知られていた。だから、侍女達の話にも嫌な顔一つせず乗った。人間世界との往来はかなり精神力を消耗するので、本来なら休養が必要なところではあったのだが。


 いよいよ座が盛り上がろうというところで、サロンのドアがノックされた。


「どなたです?」


 鶴妃が聞いた。ドアが開き、まだ少年の小姓が現れる。手にした盆に、白い封筒が乗っていた。


「ご多忙な折り、申し訳ございません。皇帝陛下のお手紙をお届けに上がりました」


 鶴妃よりも、鳩紫達がはっとした。


「わかりました。ご苦労です」


 鶴妃は、戸口まで行って手紙を受けとった。小姓はうやうやしく頭を下げて部屋を出た。


「皆、とても申し訳ないのですがしばらく一人にしてもらえませんか?」


 皇后でなくとも、だれが同じ立場になっても同じことを頼んだだろう。


 それがわからない者は一人もいないので、鳩紫達は黙って文学の間を後にした。


「陛下はなんと仰せなのかしら?」


 廊下を歩きながら、侍女の一人が言った。


「さあね……」


 いつになく歯切れの悪い鳩紫。役目が役目だっただけに、うかつなことは言えなかった。

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