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本音の隠し場所 十一
「鳥が留まるような台を作ろう」
雉が去ってからたいして時間もたたない内に、ワカヒコは言った。
「どうしたのよ、いきなり」
「雉に会うって験がいいぜ。なにか、記念になるものを作っておきてんだよ」
そう言って廃屋にもどり、道具を取ってきた。
「手伝いましょうか?」
クニタマが遠慮がちに聞いたが、手を振って断り、適当な大きさの木を何本か切ってきた。
溝をうがった柱を二本たてて、柱の間に、一本の木を溝にはまるようにして取りつけた上で、てっぺんに少し長い木を置いた。
柱から落ちないよう、てっぺんの木には差し込み用の穴を開けておいたが、うまい具合にはまった。
「鳥がいられるようにするから鳥居だな」
「へたなダジャレね」
サグメがどう言おうと、自分の手で作った鳥居を満足げに見つめた。
そういえば、形として残るものを造ったのは、これが初めてだった。