表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暦の空色  作者: 有馬悠人
8/19

碧虚の空 第一話

2:碧虚の空


転校初日ということで、クラスの興味はほとんど私に向けられていた。積極的に話しかけてくれるすずさんはいいのだが、チラチラこちらだけ見てくる人はどうも好きにはなれない。監視されているみたいで気持ち悪かった。そんな転校生だ。1人になることなんか許されるはずもなく、今日中、わけもなく人が私の周りに集まって話しかけてくる。唯一の救いは、隣の席のすずさん。私が答えるのを嫌がっている様子を見せると、静止してくれたりした。とりあえず、すずさんの近くにいれば安心かな。


昼食ももちろん、私はすずさんと一緒に食べる。クラスのマドンナ的存在のすずさんの周りにはすでに、人だかりができていたが、すずさんは私の手を握って、「一緒に食べよ?」と誘ってきてくれた。「ついでに、空もどう?」2人は親しげで、少し関係が気になったが、彼は渋々、ついてきた。


中庭の一角。私たちは日陰の中に入って、すずさんは手作りのお弁当、私はおにぎり2つ、彼はコンビニで買ったであろう惣菜パンを食べている。


「暦ちゃんは、部活決めた?」


「決めてない。運動部は嫌だけど、多分文化系の部活に入ると思う。どんな部活あるのかも知らないし・・・」


「それならさ、空の部活ならいいんじゃない?お互い本好きみたいだし。何部だったっけ?」


「文学部。本だけじゃなくて、漫画とかも好きな人間が集まってるけど、基本的にほぼ幽霊部員。部費もあってないようなものだけど、年間10万円くらい図書室から出て、使って好きな本を買えるから。後々、図書室におけるように漫画はダメだけど。」


こんな条件のいい部活聞いたことない。今まで高くて手にできなかった本が、手には入らないが、この手に持って読むことができるかも知れない。


「基本的に、空しか使ってないから、ちょうどいいんじゃない?生徒会から文句言われたんでしょ?暦ちゃんが増えれば、文句言われることも少なくなるんじゃない?」


2人の視線は私に向けられる。急に向けられた視線に少しドキッとしたが、2人が求めている答えはおそらく一つだろう。


「わかった。文学部に入る。でも、半分は使わせて欲しいかな。」


「別にいいけど。もともと、ジャンルの好き嫌いはないから。」


「じゃあ決定だね。」


そのとき私はふと疑問に思った。


「すずさんは何部なの?」


「あ、私?生徒会だけど?」


「生徒会なの?もしかして、文句を言う生徒会の人って・・・」


彼はそっと、すずさんを指差す。すずさんはわかりやすく舌を出して左目を閉じ、頭に手を置く。てへっじゃない。うまいこと話に乗せられた気がしたが、私にとってもおいしい話だったので結果的に良かったのかな?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  メチャクチャ有難い部活ですね。  本好きの暦ちゃんには最高の条件の部活ですよね。  空くんとも仲良しになれそうで、楽しい学校生活がおくれそうです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ