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第33話 貴族からの依頼

前話のあらすじ!!


・団長の仕事は忙しい

・春樹と唯香は死亡扱い

・秘密を共有

 9月の後半。春樹と唯香、ルナはBランクの依頼を難なくこなしながら活動していた。



 現在はBランクの依頼【ビッグカートスの討伐】をこなしている最中。ビッグカートスは2mを超える巨大なゴリラ型のモンスターで特徴的なのがその腕。



 どんだけ鍛えたんだ?っていうほどに太く、その腕から繰り出されるパンチは家を簡単に破壊することができるほどの攻撃力を持つ。



 その体も強靭で、物理攻撃がとても効きずらいモンスター。だけど、そういうモンスターに限って魔法攻撃に弱いというのも定番。



 その読みは見事に的中して、現在交戦しているビッグカートスは恐れられているような力を発揮することなく、防戦一方の状況になっている。



「GYAAA」



 ビッグカートスがその逞しい雄たけびを上げる。その声と共に右腕を振り上げ目の前にいる獣人の少女―――ルナに向かって攻撃を繰り出す。



 重く、力強いパンチ。その攻撃を食らえば肉はつぶれ、骨は砕かれるだろう。でも、ルナはその攻撃を難なく躱す。



「はぁっ!」



 そんな気合のこもった声と共に今度はルナが攻撃する。《鉤爪》スキルの《三日月》だ。右手で三日月を描くような軌道で下から上方向への攻撃。



 爪での攻撃がビッグカートスの顔面に直撃。さらに左手で同じく三日月を描くような軌道で上から下方向に攻撃。二連撃を食らいビッグカートスが一歩後ろに下がる。



 だけど、流石にそれだけでは倒せないし大したダメージも与えられていない。ビッグカートスがスキルを放ち隙ができたルナに攻撃をしようとするが俺がそれを許さない。



 《火魔法》の《ファイヤースフィア》。直径1mほどの火の球がビッグカートスに当たる。



 ―――ボンッ!!



 《ファイヤースフィア》の攻撃でビッグカートスが大きく後ろに後退。その隙に距離を縮め、剣での攻撃。



「GYAAA」



 ビッグカートスが悲鳴を上げる。このようにビッグカートスは俺とルナに攻撃を完全に防がれ何も出来ていない。



 ビッグカートスの意識が完全に俺とルナに向いたその一瞬、



「今ッ!!」



 唯香が《雷魔法》の《ライジングランス》を発動し、それが命中。ビッグカートスはその巨体を麻痺させられ、硬直した。その隙をつき俺とルナが攻撃。最後は唯香の《風魔法》の《ストームエッジ》により倒れた。



「やった!」



「ナイス!唯香」



 この間の遺跡調査での戦闘で俺たちのレベルがかなり上がったというのもあり、Bランククラスのモンスターであるビッグカートスも苦戦することなく倒すことができた。



 ちなみに、現在の俺たちのレベルとステータスはこんな感じ。





 名前 朝比奈 春樹


 性別 男


 年齢 16


 Lv 61


 HP    4562/4562

 MP    2664/2664

 攻撃力   2068

 物理防御力 1911

 魔法防御力 1903

 敏捷性   1890

 魔法力   2031

 運     30



 スキル

 《勇者》《武器強化》《魔法強化》《剣術》《火魔法》


 ユニークスキル

 《妄想再現》


 称号

【架空の勇者】【竜殺し】






 名前 佐々木 唯香


 性別 女


 年齢 17


 Lv 45


 HP    2181/2181

 MP    2576/2576

 攻撃力   782

 物理防御力 1260

 魔法防御力 1408

 敏捷性   854

 魔法力   2984

 運     45



 スキル

 《勇者》《賢者》《魔法最適化》《魔力増加》《自然治癒》《水魔法》《風魔法》《雷魔法》《杖術》


 称号

【癒しの勇者】







 名前 ルナ


 性別 女


 年齢 13


 Lv 39


 HP    931/931

 MP    402/402

 攻撃力   945

 物理防御力 576

 魔法防御力 540

 敏捷性   956

 魔法力   376

 運     12



 スキル

 《鉤爪》《俊足》《夜目》《感知》《感情感覚》


 称号

【黒狼の子】




 みんなかなりレベルが上がったな!



 でも、俺たちとルナだとかなりのステータスに差がある。やっぱり勇者としての補正があるからそこは仕方がないのかな?



 だけど、このステータスは装備を抜きにした素のステータス。黒竜の装備も合わせればルナのステータスもかなりの数値になるはずだ。



 そんな高いステータスを有しているからこそ本来苦戦するはずの依頼も楽にこなせている。



 ビッグカートスの死体を《妄想再現》で再現した《アイテムボックス》の中に入れ、俺たちはイクシオンへの帰路に就いた。

















 イクシオンに帰ってきて依頼完了の報告と素材の売買を終わらせるとレーネさんから呼び止められた。



「俺たちに話って何ですか?」



「はい。実は……ハルさんたちに貴族の方からの指名依頼が来ているんですけど……」



 っ!?貴族の人からの!?



 待て!これは……罠か?



 それともただ単に俺たちに依頼をしただけか?



 どっちなんだ!?




『フハハハハ!!罠とは知らずにノコノコとやってきたな!勇者たちよ!』




 って展開か!?




『君たちの噂は聞いているよ。ぜひ私の依頼を受けてくれないか?』




 って展開か!?



 どっちだ!?



「その貴族の方って誰なんですか?」



 俺が悩んでいると唯香がレーネさんに貴族の人の詳細を聞いてくれた。



「このイクシオンの街を治めているユーリス・フォン・パープルトーンさんからですね。依頼の内容は直接会って話したいそうです」



 ティアナさんが言っていた四大貴族って人たちじゃないな。ティアナさん曰く、勇者たちのことは王国の上層部で決められ、さらにそこで隠蔽されている。なら他の貴族の人は大丈夫ってことかな?



 唯香を見ると軽くうなずいた。それはルナもだ。



 冷静に考えてこれはチャンスでもある。貴族の人と繋がりを持てば確かな情報が回ってくるし、コネも出来る。



「分かりました。その依頼を引き受けます」



「はい。では明日の朝、この街の一番北にあるパープルトーンさんの屋敷に行ってください」




 そうして俺たちは貴族の人からの依頼を受けることにした。









 ―――翌日。



 9月の後半ということもあり、過ごしやすい気温になった早朝の時間。俺たちは朝ご飯を済ませ、イクシオンの一番北側にある大きな屋敷に向かった。



 三階建てのかなり大きな屋敷だ。屋敷の手前には門があり庭もかなり広い。さらに突出しているのは屋敷の幅。高さは冒険者ギルドと同じくらいだけど横幅はギルドの3倍はあるぞ。



 マジででっっかいな……



 門前に到着すると執事らしき初老の男性に声をかけられた。



「パープルトーン家へ何か御用ですかな?」



「俺たちはユーリス・フォン・パープルトーンさんからの指名依頼を受けた冒険者です。ユーリスさんはいらっしゃいますか?」



「ああ、冒険者の方でしたか。当主のユーリス様より、客室にご案内するように言いつけられましたので私についてきてください」



 そう言われたのでその男性について行き屋敷の中に入る。そのまま階段を上がり二階の一番手前の部屋に案内された。



 そこでしばらく待っていると40代くらいの男性が入ってきた。濃い紫色の髪に優しそうな瞳、痩せているでも太っているでもない普通の体格。



 この人がユーリスさんかな?



「やあ、初めまして。僕が今回君たちに依頼を出したユーリス・ファン・パープルトーンだよ。よろしくね」



 低い優しい声。その見た目からも優しそうな人という印象を受ける人だ。



「初めまして。ハルと言います」



「私はユイと言います。よろしくお願いします」



「お二人の奴隷のルナです。よろしくお願い致します」



「ああ、よろしくね……さて、今回の依頼の内容なんだけど君たちにはある物を入手してもらいたいんだ」



「ある物、ですか?」



「そう。この街から東に進むと荒野があるだろう?その荒野を抜けてさらに東に進むと山地があり、そこからは鉱石が採取できる。いわば鉱山になっているんだ。そこにある鉱石を入手して欲しい」



 なるほど。よくある採取系の依頼だな。



 でも、その鉱石っていうのが問題だ。さすがに採掘の詳しい知識はないし、伝説のインゴット……それこそオリハルコンやアダマンタイトとかだったら見つかるまで一年とかの時間がかかるかもしれないぞ?



「もし、今回の依頼を達成してくれたら僕が用意できるものを何でも報酬に用意しよう」



 はい!?何でもって……



「な、何でも?とは?」



「そうだね。お金に屋敷、人や物。それから……」



 この大陸最大の冒険者ギルドがあるイクシオンの街を治める貴族、ユーリス・フォン・パープルトーンはその優しい表情を崩すことのなく続けた。






「四大貴族への推薦……とかかな?」






 …………



 …………はい?



 なんか途轍もなくこれから一気に進んでいく。そんな気がした……

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