第22話 冒険者の覚悟
前話のあらすじ!!
・チャラ男フレイド
・グッジョブリーシア
・嫉妬春樹
少しぎくしゃくしたけど、改めてお互いの気持ちを知った俺たちは一度戻って再びみんなと合流した。
「おい!どこ行ってたんだよ!」
「ちょっとな……」
言葉を濁してフレイドの追求を逃れるように俺は「とりあえず村の周辺を調査しよう」と提案。依頼を進めないといけないのでこれにはフレイドたちも賛成し、みんなで辺りを調査しようとする。が、その時、
「ねぇ~、ユイちゃん。俺らと一緒に行動しない?」
相変わらず唯香に絡んでくるフレイド。その時、俺は気が付いた。フレイドがニヤニヤしながら俺を見ている。
こいつ、俺の反応を見て楽しんでやがったな……
今までは嫉妬で周りが見えてなくて分からなかったな。でも、もう大丈夫だ。
「あの~」
だって、唯香が約束してくれたからな。
「私、あなたみたいな人嫌いなので一緒には行動しない」
しーーん
と、その場が静かになる。
「そもそも、私はハルくんと付き合ってるの。だから私に付きまとわないでくれるかな」
少し怖い顔でそうハッキリと言う唯香。フレイドたちに対してムカついていたのかな。
その時、唯香はスッと俺の手を握ってきた。
そうだよな。怖いよな。
でも、大丈夫。だって俺がいるから。
そう想いを込めて唯香の手を握り返す。
すると唯香は笑みを浮かべ、そして。
「もう私に話しかけないで」
そう言った。それを聞いたフレイドは目に見えて分かるくらい顔を歪め、盛大に舌打ちした。
「まぁまぁ、とりあえず調査を開始しない?」
その場を収めるために、リーシアがそう提案し、みんなで辺りを散策することにした。
いや~、スッキリしたな。
「なんかハッキリ言ったらスッキリしたね」
「そうだな」
とにかくこの村で起こったことについて何か手掛かりがないか調べるか。
二人でまずは作物が荒らされたり、木々がなぎ倒されていたりしていた場所を調べる。
「う~ん、特に変わったところはないね」
「そうだな~」
村で作られた作物が無残に荒らされており、その残骸があちらこちらに転がっている。そして、その周りの木々がなぎ倒されている。
うん。村長の話していた通りだし、怪しさはない。
これをした犯人は誰ってことだよな。
う~~ん。
木は4m以上はある太くて丈夫な木だ。これを普通の村の人がなぎ倒したとは考えにくい。
そして、作物の方は主に果物類が荒らされていて、食べられた後もある。
だとしたらやっぱりモンスターがやったのか?
「ねぇ、春樹くん。この果物、なんか変じゃない?」
「うん?どこが?」
「だって荒らされたなら潰れるだけで、こんな噛み砕いた痕は出来ないし、モンスターならこんな綺麗な噛み跡は出来ないと思う」
唯香のその指摘を受けて改めて果物をよく見る。砕けたものや踏みつぶされたものの中に、食べられた痕跡のある果物があった。それはモンスターや動物のように食べた痕跡ではなく、人が食べたような痕跡だった。
よく果物がこんなに散乱した所でこれを見つけたな。
だとしたらこれは自然に起きた出来事でもなく、モンスターが荒らしたわけでもない。これは……
「人の仕業だな……」
その時、
―――――カサカサ
微かだけど、草の間をすり抜ける音がした。
「っ!!」
慌ててその方向に振り向く。が、特に誰かいるわけじゃない。でも、
――大体こういう時って、何かがあるんだよな
というラノベ展開を予想し、その音がした方向に進む。少し進むとその奥に自然に出来たような洞穴があった。
「あれって……」
「うわぁ、絵にかいたような姿だな」
その洞穴の近くには、頭にターバン、片目には眼帯、ジャケットを着ていて腰にはサーベルを下げている人がいた。
「盗賊だな」
「うん。盗賊だね」
二人して意見が一致するような途轍もなく分かりやすい盗賊がそこには居た。
調査が一通り終わり、一旦村へと集合する。
「ハルにユイ。何か分かったかな?」
カインがそう聞いてきたので、とりあえず分かったことを言うか。
「荒らされた作物の中に明らかに不自然な果物があった。それは人の食べた痕のある果物。だからここ最近の出来事の原因はモンスターじゃなく、人の手によるものだと思う。その証拠に、近くを調べたら洞穴があってそこに盗賊がいた」
「なるほど……」
カインはその話を聞き目を鋭くさせ、次にフレイドたちに聞く。
「フレイドたちはどうだった?」
「あぁ?どうだったって言われても普通だったぜ?俺はモンスターの仕業だと見てる」
「そうか……とりあえず、ハルたちが見つけた洞穴に行こう」
カインがそう言い、全員で洞穴を目指す。その洞穴に到着しようとした手前で話し声が聞こえてきた。
「全員静かに」
リーシアが全員に指示を飛ばす。その声に全員息をひそめ、身を隠す。すると、洞穴の入り口で二人の男が話している光景が見え、その話の内容が聞こえてくる。
「おい、村の奴らにはバレてねぇだろうな」
「ああ、全然バレてねぇぜ」
「へへ、そうか。しかし、あいつらもマヌケだな。俺たち盗賊が暗躍してるっていうのに全く気付きもしねぇ」
「まぁ、その方が都合がいいってことよ……いや~これから起こることが楽しみで仕方ねぇよ」
と言った内容だ。
――うん。これは確定だな。
「これで盗賊が村を荒らしていたのは確定だけど、どうする?」
俺が小声でカインに聞く。
「これは事前に伝えてあると思うんだけど、俺たちは基本的には口出しはしない。この状況をどうするかはみんなで決めるんだね」
ふむ。まぁ、犯人が分かったこの状況で乗り込まないという選択しはないと思う。この依頼の目的は調査だけど、その原因が分かったならそれを解決しない手はないと思う。
「俺は乗り込んで、盗賊たちを倒した方がいいと思うけどみんなどう?」
「うん。私もそう思う。このままだと、村の人達が危険だもんね」
「う~ん、私もまぁ、いいかな~。それで」
「まぁ、僕たちの力なら余裕だしね」
「そうだな!俺らなら盗賊なんて簡単に倒せるし」
全員の意見が一致したので盗賊を倒すことになった。まぁ、フレイドたちの意見に賛成するわけじゃないけど、盗賊相手なら何とかなりそうだし。
よし!行くか!
盗賊たちが洞穴の中に消えて行ったのを見て、俺たちが乗りこむ準備をしている時、カインからアドバイスが入った。
「俺たちは手出しするつもりはないけど、一つアドバイス。みんな盗賊を舐めてるようだけど、相手はみんなを殺しにかかってくる。だからこそ覚悟をもって挑まないと……自分たちが殺されるぞ」
薄暗い。光が少ししか差し込まない、そんな洞窟。そこにフレイドを先頭にクロード、エリー、唯香、俺と続いて中に入る。その後ろにカインとリーシアがいる感じだ。この戦いには手を出さないということだろう。
奥に進んでいくと盗賊たちが複数人で屯っていた。俺たちの存在にはまだ気付いてない。
チャンスだ。いま奇襲を仕掛ければ確実に盗賊数人を無力化できる。
だが……
「おい!そこにいる盗賊野郎!この俺がお前たちを倒してやるぜ!」
フレイドがバカでかい声を上げてそう宣言した。
ばっっか!!!!そんな声上げたら奥から他の盗賊も来るだろ!!せっかく向こうは俺たちに気が付いてなかったのに!!
「あぁ?なんだお前ら?」
「ガキが……調子に乗ってんじゃねぇよ」
「おい、女がいるぜ。しかも、かなりの上玉だ」
「本当だ。へへへ……」
ほら!盗賊の人達がやる気になったじゃん!!
「舐めてこと言ってくれたな!お前ら殺っちまえ!」
くっそ!こうなったらやるしかない!
狭い洞窟内を拠点にしているなら戦い慣れているのは向こう。連携されればかなり厄介だ。
だからこそ俺は盗賊の中でも一番ヤバそうな奴に向かっていって剣を抜き、切りつける。それに反応し、盗賊も剣を抜き、俺の攻撃を防ぐ。
――キーーン!!
という金属がぶつかる音。それが洞窟内に響く。
「……っ!?」
俺の攻撃は簡単に弾かれてしまい、今度はその盗賊の攻撃が飛んできた。上からの切り下ろしの攻撃。俺はそれを受け止めるが、
(……っ!?重い……)
盗賊のその攻撃は速く重い攻撃。その攻撃に一瞬怯まされてしまった。
後ろに下がり一旦態勢を整えようとするが、それをその盗賊は許してくれない。頭、喉、心臓……それら人の急所を的確について攻撃してくる。
やばい……このままじゃ押される!
《妄想再現》で《見切り》スキルを再現。盗賊の攻撃を受け止めるんじゃなく回避する。
「っ!?」
それを見て、盗賊の動きが変わった。一撃の重さよりも速さと手数を優先した攻撃だ。
こいつ本当にただの盗賊か!?
次々に繰り出される攻撃。その攻撃に徐々に押されていく。チラッと後ろの方を見ると唯香とエリーが一か所に固まって戦っているのが見えた。あの二人は接近戦は苦手だから二人で組んで戦うんだろう。見た感じ苦戦している感じじゃない。問題はこっちだな。
でも……なんだ?
なんなんだ?このやりにくさは……
この不気味な感じは……なんなんだよ……
対人戦はライオットとの訓練でやっているから初めてじゃない。だから、いけるはすだ。でも……
なんなんだ?これは……
周りの雰囲気、全身に纏わりつく空気がまるで違う。
ライオットとの訓練で同級生と戦う時とも、ダンジョン内でモンスターと戦う時とも違うこの感じ。
その時、ふとこの洞窟に入る前にカインに言われたことが頭をよぎる。
――相手はみんなを殺しにかかってくる
――だからこそ覚悟をもって挑まないと……自分たちが殺されるぞ
そうか……これが……
――人殺しと対峙する感覚
訓練はあくまで訓練。命を奪い合うことはない。
でもこれは殺し合い。人と人とが命をかけて戦う。
剣を交えるたびに相手の息が、声が、肌の感覚が、体温が、それらがすべて伝わってくるんじゃないかと思う。そして、それらが全て気持ち悪く感じる。
――これが……殺し合い
殺意を持っている敵と戦うのがこんなに怖いなんて……
でも、これで俺が殺されれば……
そうなれば次は唯香が危ない。恐らくこの盗賊は死ぬまで戦いを辞めないだろう。
そう……
殺らなければ……殺られる
(覚悟を持って挑むってそういうことかよ……)
それはつまり……相手を殺す覚悟。
「っ!!」
盗賊が繰り出した攻撃を俺はギリギリ《見切り》スキルで躱し、大きく後ろの下がる。
覚悟を、決める!!
《妄想再現》で《剣豪》《俊足》のスキルを再現。再現し終わった瞬間、《疾走》のスキルを使い、一気に盗賊の後ろに回り込む。
「なっ!?」
突然のことでその盗賊は動揺し、一瞬の隙ができる。
これで、一気に決める!
《剣豪》スキルの《連撃斬》を使用。目にもとまらぬ20を超える連撃を繰り出す。
「くっ!!」
その盗賊は前半の攻撃は防いだが、後半は防ぐことが出来ずに肩、脇腹、足に切り傷ができ、そこから血が出てくる。俺は怯んで動けない盗賊を組み倒し、そして、その首筋に剣を当てる。
「……っ!!」
――覚悟を持て!!
俺は盗賊の首に向かって思いっきり剣を振った……
――やばい、このままじゃ押し負ける
洞窟の端の方に陣取り、魔法での攻撃で盗賊と戦っていた唯香はしばらく戦ってそう感じた。後ろで戦況を見ていたからこそだ。
みんな殺意を持って襲ってくる盗賊に押されている。
(私が、何とかしなくちゃ……)
今までは春樹くんに甘えるばかりだった。だけど、そうじゃダメだ。
私が私を。そして、私が春樹くんを守れるようにならなきゃ……
このままだと全員殺されてしまう。だから……
そう、カインが言っていたように。
(覚悟を持つ……)
そう決意し、私は自分に《移動速度上昇》を付与し、目の前にいる敵に《移動速度低下》を付与した。
「な、なんだ!?」
急に自分の動きが遅くなり、混乱する盗賊。その盗賊に私は向かっていき、目の前で《風魔法》の《ストームエッジ》を喉に向かって発動した。
――倒した
そう確信した時、目の前に青色の半透明な盾が出現した。
「えっ?」
これって《マジックシールド》?なんで?
そう疑問に思ったとき、後ろの方から声が聞こえてきた。
「そこまでよ!!」
その声の主はリーシアだった。
盗賊の首に向かって思いっきり剣を振った……その時、
――キーーーン
という金属同士がぶつかった音。俺が剣を振った先には青白い輝きを放つ大剣。
カインの大剣だ。
「そこまでだ!」
そうカインの宣言によりその場の纏わりつくような不気味な空気が霧散する。
「えっ?」
なにがなんだか分からないんだが?
周りを見ると盗賊たちは動きを止め、唯香たちはリーシアの魔法により止められている。
なんだ?
「いや~、話には聞いていたが……こいつは本当にDランクか?実力的にはAランククラスだぞ」
俺と対峙していた盗賊がカインに話しかけた。
「彼は間違いなくDランクですよ。まぁ、実力とランクが見合ってないと俺も思ってますけどね。今回はありがとうございます、ダインさん。助かりました」
「いいってことよ。後輩たちのためになるんならな」
「えっっと……どういうこと?」
盗賊たちとカインたちは知り合いなのか?
「みんな混乱しているようだからヒントを言うと、これは試験だよ」
「しけん?」
「そう試験。Cランクにランクアップするためのね」
試験。実力を試す場。試す……
…………え?そういうことなの?
「つまり……」
「演習ってこと?」
「そういうこと」
カインのその一言で俺たちの気力が一気に抜けた。
俺たちは一旦洞窟を出て、カインたちから事情を聴く。
「今回の試験の内容は村の周辺の調査じゃなく、Cランクにランクアップするために必要になるものを持っているかを見せてもらうという内容なんだ」
「この盗賊の人たちは?」
「この人たちは冒険者を引退した人たち。たまにこうやって試験を手伝ってもらってるんだ。引退したといってもほとんどがBランク以上の人たちだからその実力は折り紙付きだしね」
「で、Cランクに必要なものって?」
唯香が気になっていたことを聞いた。その問いにはリーシアが答えた。
「それは……覚悟よ」
「覚悟……」
「そう。Cランク以上になってくると依頼もより危険なものになってくる。その中でも特に危険なのが犯罪を犯したものと戦わなければならない依頼。でも依頼である以上、それをやり遂げなければいけない……つまり、人を殺す覚悟があるかということよ」
「っ!!」
人を殺す覚悟……
改めてその言葉を聞くと中々に刺激が強いな。日本だとそんな状況になることはないからな。
「その覚悟が大事なんだ。なぜなら、俺たちの依頼内容次第で他の人が犠牲になるか、ならないかが決まるからだ……例えば今回のように盗賊の討伐となると、仮に俺たちが失敗すると自分たちだけじゃなく村の人たちまで死んでしまう可能性がある。つまり、俺たちの結果には他の人の命がかかっている」
確かにそうだ。今回のが本当に盗賊の所為なら俺たちが倒せなかった場合、村に人たちは犠牲になっていた。
「俺たちが殺さなければ他の沢山の人が犠牲になる。だからこそ、人を殺さなければいけない。Cランク以上の冒険者にはその覚悟と責任が必要なんだ……残酷なようだけどね」
「その覚悟を見るための今回の試験ってこと?」
「そう。ダインさんたちに盗賊のふりをしてもらってみんなと殺す気で戦ってもらったんだ。それで殺す覚悟があるかを見極めるのが俺たち……でも、良かったよ。本気になったハルを止めれるかどうかは分からなかったから」
「おいおい、止めれるかどうか分からなかったのに俺たちにぶつけたのか?勘弁してくれよ」
「い、いやいや、ダインさんたちなら大丈夫だと思ったので……それより、今回の試験の合格者はハルとユイの二人だな」
「そうだね。二人ともさすがだね」
「はぁ?ちょっと待ってくれよ!」
カインとリーシアの判断にフレイドが反論する。
「なんで合格者に俺らが入ってねぇんだよ!おかしいだろ!」
「そうだね。僕たちが入ってないのが納得できない」
「そうよ!」
フレイドに続きクロード、エリーも反論するが、リーシアがわざとらしく挑発するように言う。
「あら?そうかしら?私にはあなたたちは臆病風に吹かれて何もできてなかった……むしろ足を引っ張っていたように見えたけど?」
「なんだと!?」
「フレイド……あなたは前衛なのに相手の気迫に負けて後ろに下がった。そのせいで前にいたハルに敵を集中させてしまう状況を作り出してしまったし、腰が引けて全然、剣筋に鋭さがなかった。本当に相手を殺す覚悟があったの?」
「うっ……」
リーシアの話を聞き何も言えなくなるフレイド。自分のことは自分がよく分かっているからこそ、リーシアに言い返せない。
「クロード、あなたは前と後ろの状況を冷静に見て判断しなければならない中衛のポジション。なのにさっきの戦いでは全く冷静に判断できずに、挙句ビビッて下がり敵を後ろにいたエリーとユイに近付けてしまった。エリーは魔法でサポートをしなければならない状況だったのに、恐怖にかられ適当に魔法を放っていた。今回は運が良かったけど下手をしたら味方に魔法が直撃してたわよ」
「っ……」「ぅ……」
クロードとエリーも何も言えない。
「乗り込む前は余裕ぶってたけど結局は口だけ。あなたたちは危機に瀕した時何もできなかった」
「でも、それならそう言ってくれれば……私たちだって」
「甘えるな!」
エリーの言い訳にカインが怒鳴り声を上げる。
「さっきも言ったけどCランク以上の冒険者には責任が付きまとう。もしその依頼を失敗すれば数人どころじゃなく数百人、数千人の人たちが犠牲になる可能性だってある。お前たちはそんな状況になっても言い訳するのか?……冒険者をなめるな!!」
「カインの言う通りよ。あなたたちは冒険者をなめすぎ。今までの態度もそうだったけど、冒険者は遊びじゃない。人の命を預かっている。それを知ることね」
「…………」
フレイド、クロード、エリーは頭を伏せ、悔しそうにしている。今まで順調にDランクまで来たからこそ自分たちの無力さが悔しいんだろうな。
「まぁまぁ、カイン。こいつらの説教はここまででいいじゃねぇか。冒険者は冒険して経験値を積むのが基本だろ。今回ので十分経験になったさ。それより村長が飯を用意してくれてるから村に帰って飯を食おうぜ!」
このダインって人軽いな!っていうか村の人もグルか。
「……まぁ、そうですね。じゃぁ、みんな試験お疲れ様。村に一旦帰ろうか」
そうして俺たちは一旦村に帰り、遅めのお昼ご飯を食べた。その後、少し休憩し、イクシオンに帰るため帰路に着いた。
―――夕方―――
―――カタカタカタカタ
周りが夕焼けに染まる中、森の中を一つの馬車が走っていた。
―――カタカタカタカタ
その馬車の側面には鎖を用いたエンブレム。
―――カサカサ
しかし、その馬車を狙う怪しい人影。
―――カタカタカタカタ
次の瞬間、その馬車は壊された。




