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よくあるVRMMMOもの

作者: BrainOfKeios

そこには草原と木、そして木にぶら下げられた黒板と椅子と妖精がいた。


「このたびは、アンリミテッド・デザイア・オンラインをご利用いただきありがとうございます。

私はチュートリアル妖精のチュートです。」


「話を遮ってごめんね。チュートリアルアル中のみ加速機能が10倍で、リアルでの1秒が

100秒になるって本当?」


「はいチュートリアル中の世界は簡易世界なので、チュートリアル時時間をかけたくないという

ユーザ様からの要望にお応えしてそのようになっています。」


「チュートリアルにある項目を全て終わらせないと、チュートリアルは終わらないんだよね。」


「はいチュートリアルにある内容を全て履修していただけないとワールドへの転送はできません。」


「やったーんじゃ気が向いたら声をかけるから」


「え?」


あー説明がまだだった。

俺は、石橋戒(いしばしかい)  ただの高校生だ。なんで俺が今話題のMMORPGを

高校生のお財布からいえば大金をはらって買ってプレイしようとしているかといえば

時間加速だ!それも今日が8/31だからだ。

そう8/31 明日が登校日なのに課題が全くできていない。

まあやむを得ない事情があるのだがそんなことはどうだっていい。


このゲームは、もともと加速機能がありリアルの1時間がゲーム世界での24時間になっている

そしてここが重要なのが、ゲーム内からでもメールの送受信は行え、なおかつチュートリアル中は

さらに10倍、つまり1時間で10日分。つまりあと朝までの8時間があれば100日もの時間がある。


まあこれだけあれば課題がおわらないということはないだろう。


-- DAY 1--


「すいませーん、チュートリアル進めて欲しいんですけど・・・」


「そんなことは関係ない課題だ!!」


「どこかのRPGみたいに、チュートリアルで経験値とかレベルアップはないんですが・・・」


「だから俺は課題をやりにきてるだけ。わかった?」


「お腹も空きますし、喉も乾きますよー」


「このチュートリアル中は何をしても死なないんでしょ、その辺の草や川の水を飲めばOK」


「まあそうなんですが食べれないように毒を混ぜてますから死なないけど痛いし、苦いですよ」


「味があるなら食べてればなれるからいいよ。」


「・・・」



-- DAY 10 --


「いいかげんチュートリアル進めてもらえませんか?」


「課題が終わったらな」


-- DAY 20 --


「もう課題終わりません?」


「課題は終わったけど、これからは新学期の予習だ」


-- DAY 30 --


「もう予習も終わりましたよね」


「いやこのまずくて苦い草を美味しく食べる方法を研究してるんだ邪魔をするな。」



-- DAY 40 --


「なんか美味しそうに食べてるし、美味しく食べる方法を見つけたならいい加減チュートリアルを・・・」


「まだだ、今度は川の水を美味しく飲めるようにしないと」



-- DAY 50 --


「もういい加減チュートリアルを…」


「いやだめだ。まだ他にも食材にできるものがこの世界にはあるかもしれない。」



-- DAY 90 --


「いつまでやられるんですか?なんか開発者の仕込んだネタとかも全部探し終えたと思うのですが」


「確かに、もう隠し要素はなさそうだな。この毒草を吐かずに食べ続けるとレベルは上がらないけど

1時間毎にもらえるステータスボーナスもいっぱいだしな。」


「というかサポートAIもそんなバカな仕様は聞いてなかったですけど、この世界の味覚は

結構リアルに近いんですよ。なんで吐かずに耐えられるんですか!!」


「だって味があるだけでも美味しいよね」


「一体どんな舌をしてるんですか!!」


「まあいいや、そろそろもう一度予習やったらチュートリアルするから」


-- DAY 100 --


「チュートリアル終了おめでとうございます。あなたがこの世界で最も長くチュートリアルを行なったあかしとして

チュートリアル廃人の称号を与えます。」


「ありがとう。んじゃまた来るね。」


「え?」


「いやだって、やろうと思えば何度でもできるんだよね、チュートリアル」


「AIの私も壊れるのでもう勘弁してください」


「ははははは、じゃあ」



-- LOGOUT => リアルワールド  --


さてログアウトしたのはいいけど、どうせ体うごかないんだしまだあっちにいた方が良かったかな?

そういえばリアルの事情書いてなかったんだけど、俺は夏休みの初めに交通事故に遭い1週間前まで

意識不明で、頸椎を折ってしまっていたため、全身麻痺。一応手術で神経を繋いだって話だけど

まだ瞼と目ぐらいしか自由に動かせない。そして食事は舌が麻痺してるために味のわからない

流動食・・・


まあなので学校の課題を出そうが出さまいが、この状況なら留年不可避なんだけどね。


「ああ、リアルでも体が動いたらなぁ・・・?え?」


そういえばこのVRMMORPG用のスフィアって特殊な電磁波で体に伝わる運動命令は

キャンセルさせるけど、命令自体は送るからリハビリにも使えるって話を聞いた気も・・


まだまだ手や足は痺れてて動かせないけど感覚はある!!

これは、どうせまだ学校には行けないしこれはやるしか!!


-- チュートリアルワールド  --


「またきちゃいましたー」


「もう勘弁してください!!」

このあと最強のプレイヤーになってよくある話になるのでたぶん続きはありませぬ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ちゃんと事情を伝えれば、お目こぼし貰えそうな悲劇ですよね。短期間で圧縮した経験を身に刻むためなら、治療の可能性を含めて十分研究に値しそうですし…
[一言] 勉強関係で留まるのは状況的に理解出来るけど何故(本格的に始めればまともな物&上質な物が有るのに)態々、食べ物や飲み水関係で留まる意味があるのか(^_^;)
[気になる点] 課金しないでリセマラを繰り返し、チュートリアルの 抜け穴を探そうとする悪質プレイヤーなんて 直ぐに垢BANされると思うのですが…
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