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真・失恋王  作者: ランプライト
第一章 「失恋王 vs キューティトラップ」
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004

ツマラナイ時間を過ごす時ほど秒針が遅くなると言う事は多くの人の知る所だが、この性質を活かした新しい自己啓発理論を組み立てる事は出来ないかと真剣に悩む位に、四限目茂森の世界地理の授業は詰まらなかった、


終業のベルと同時にエントロピーが増大して教室から溢れ出していく生徒達、


「相田さん、一緒にご飯食べよ、」


そしてスクールカースト一軍の神崎グループの微ギャルコンビ、牧野五十鈴と浜野優子が相田美咲を昼食に誘いにやってくる、


「有難うございます、でも、ごめんなさい、お昼休みは生徒会の会議に呼ばれているんです、」


「そうなんだ、大変だね、」

「いつも声を掛けて頂いているのに申し訳ありません、」


「良いよ良いよ、気にしないで、」

「会議じゃしょうがないよね、」


「明日はどうかな? 一度相田さんとゆっくりお話したいんだ、」

「はい、明日なら大丈夫です、」


「じゃ、楽しみにしてるね、」

「宜しくお願いします、」


窓際後ろに屯った神崎が相田に向かって微笑み掛けながら手を振っているのを遮る様にして、


「相田さん、そろそろ行こうか、」

「はい、」


学級委員長上野太郎が割って入る、何だか熾烈な水面下の相田美咲争奪戦が始まっている様だが、相田にはもう既に彼氏が居ると知ったらコイツら一体どんな反応するのだろうか、


「相田さん、お昼まで会議とか大変そうだね、」


早美都が相田が去った後の机を俺の机にくっつけて弁当箱を広げる、重箱2段重ねにびっちりとおせち料理の様なオカズが満載されていて、それとは別に魔法瓶に入った味噌汁と白米、


「何時もながら凄い量だな、」

「どれか食べる?」


「いや、要らないけど、お前そんなに食べて太んないのか?」

「僕どんなに食べても太らないんだよね、寧ろ太りたいんだけどな、」


早美都は華奢な身体つきと幼い顔立ちでしかも立ち居振る舞いがナヨナヨっとしているから時々コイツ本当は女子なのに何か深い理由があって男子としてクラスに紛れ込んでるんじゃないかって、ドラマみたいな設定を勝手に妄想してにやけてしまう、


「宗次朗、なんか変な事考えてない?」

「いや、何も、」


俺は朝学校に来る前に知り合いのベーカリーで買ってきたサンドイッチ(バゲットにレタスとハムとチーズと茹で卵が挟んである)に齧り付く、


「だんだんグループが決まってきたね、」

「ん?」


そう言われてみれば、


クラスの中はいくつかのグループ分けがはっきりして来ている様に見える、カースト一軍の神崎達のグループ、サッカー部のグループとも言える、後ろの席のちょっと柄の悪いのは二軍落ち寸前の横山達のグループ、こっちは野球部繋がりか、そして三軍は笹本達のオタク男子グループ&金本達のオタク女子グループ、有人達のおちゃらけ遊び人グループは二軍、後数人の女子達が何をするでもなく集まった井戸端会議グループも二軍だろうか、それと上野と奴の同中の男女から成る優等生グループ、こっちも二軍か、


「未だにぼっちなのは俺とお前くらいか、」

「ひどい、僕は宗次朗のグループのつもりなんだけど!」


早美都は紙の取り皿に唐揚げを取り分けて俺によこす、


「でもさ、相田さんって未だどこのグループにも入ってないんだよね、」

「お前って、よく相田の事見てんな、やっぱり気があるんじゃ無いのか?」


相田×早美都のカップリングとか、ちょっと面白そうで見てみたい気もする、


「それは宗次朗でしょ、僕は宗次朗が何時も相田さんの事気にしてるみたいだから釣られてつい見ちゃってるだけ、」


「へ? そうか?」


そんなつもり全くなかったのだけれど、


「そうだよ、暇さえあれば眺めてるでしょ、自覚無いの?」

「無い、」


「恋愛否定主義とか言っときながら、宗次朗も美人の事は気になるんだね、」


まあ、全く気にならないかと言われたらそんな事は無い、何しろ相田は高校生にもなって変な顔の猫の指人形で一人遊びする様な愉快な奴なのだから、




ーーー

「入部届、今週金曜日までだから、忘れんなよ、」


帰りのホームルームの終わり、見た目如何にも温厚誠実そうな中肉中背の担任現国教師の国分陽太が教室を出て行き際に一言、この学校は何かしらの部活に参加する事を義務付けられているのだった、理由は不明というか意味不明、


「宗次朗、入る部活決めた?」


大急ぎで帰り支度を済ませた小ちゃくて可愛らしい早美都が俺の席に文字通り駆けてくる、


「ああ、俺は写真部に入る、」


あれ以来相田美咲とは一度も絡んでいないが、約束だから仕方がない、


「僕も一緒の部活に入って良いかな?」


何だか一寸上目遣いで照れた感じ? 最近分かって来たのだが早美都って極度の恥ずかしがり屋と言うか人見知りらしい、未だに早美都が俺以外のクラスメイトに自分から話かけるのを見た事が無い、


「何処の部に入ろうと自由だ、好きにすれば良いだろう、」

「俺は断然美術部だけどな、でも競争率高いんだよな、入部テストまでありやがる、」


と、鎌塚有人が憤慨主張する、誰もお前の希望なんぞ聞いちゃいないのだが、


「へえ、お前が絵に興味が有るとは意外だな、」

「何言ってんだ? 美術とかチンプンカンプンだしムンクの叫び以外興味は無えよ、」


「なら何で美術部なんだ?」

「いくらお前が「恋愛否定主義」だとか言っても女に興味が無い訳じゃ無いんだろ?」


「まあ、普通に生物的にはな、」


実際一日の内30分位はその為だけに費やされていたりする、


「お前、美術副担任の醍醐先生を知らないのか?」

「あ、僕知ってる、落ち着いた感じの凄く綺麗な先生だよね、」


早美都も有人が相手ならインターラップするのも平気らしい、


「凄く? いや最高だね、もはや女神と言っても良いレベル、「今年度癒してもらいたいお姉さんナンバーワン」間違いなしだ、ああ、部活で放課後部室に二人っきりとかなったりしたらもうエロ漫画とかAVの台詞しか思い浮かばねえ!」


周りの女子達が気持ち悪そうな目でコッチを睨む、




ーーー

「こんにちは、」


その日の放課後、俺と早美都は早速写真部の部室を訪れてみる、ほんのチョット気にならなかったかと言われたら嘘になる相田美咲の姿は何処にも見当たらなかった、


「わあ、こんにちわぁ!」


左右後ろで二つ結びした髪型とオットリ垂れ目にアヒル口、痩せた体型に背丈は150cm位? 部長の菅原博美先輩は全体的に小柄で優しそうで一寸保育園の先生っぽい可愛らしい人だった、


「今、部員二人しかいなくてぇ、今年で廃部になるんじゃないかってヒヤヒヤしてたんだぁ、」


そして喋り方がチョット特徴的にのんびりしている、こんなので無事にまともな社会人になれるのかチョット心配になってくるレベル、


「俺、写真とか全く素人で、機材とか何も持って無いんですけど、大丈夫ですか?」

「僕も、……」


「写真部のカメラがあるから心配いらないよぉ、一から全部私が教えてあげるぅ、」


そして二人きりの部室で女の先輩が「全部教えてあげるぅ」とか、ちょっと雰囲気エロい、


「宗次朗、又何か変な事考えてるでしょ、」


そして何故俺の考えている事が分かる早美都!




ーーー

と、そこへ準備室から一人の女教師が現れて、……俺は思わず息を飲む、


艶のあるストレートの長髪、切れ長の瞳に長い睫毛、色っぽい唇、適度にむちっとしたボディ、すらりと長い脚、ふーん、ウチの学校にこんなエロ綺麗な先生いたんだ、もはやAV女優と言っても過言では無い、


「紹介するねぇ、顧問の醍醐アカリ先生、」


相田美咲が清純可憐な美少女だとしたら、アカリ先生は何でも知ってる大人の女性って感じ、相田美咲が瑞々しいと言う表現で例えられるなら、アカリ先生は程よく脂の乗ったという感じ、相田美咲がどうにかしたくなる様なお嬢様だとしたら、アカリ先生はどうにでもしてもらいたくなる様なお姉様って感じ、確かに有人が必死に入れ込むのもわかる気がするが、


「って、美術部の顧問じゃなかったんですか?どうして写真部?」


「あら、今年は男の子が入ってくれたんだ、」


後になって知ったのだが、アカリ先生は今年入った新任教師の小島先生のたっての希望で美術部顧問を小島先生に譲り、今年から写真部の顧問になったのだと言う、


何故だか突然優しくハグされる俺? 全ての不安を包み込んで帳消しにしてくれる様な柔らかな胸の感触に一瞬で脳が蕩けて俺は物言えぬ木偶になる、そして耳元でそよ風の様に囁く微かな香水の匂い、


「よろしくね、」


もしかして俺、からかわれている? 何故?

それで何故早美都は膨れ面?で俺の尻を抓る?




ーーー

一方美術部はポッチャリメガネの小島腐女子の下、ガチ体育会系同人誌サークルになっていた、

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