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74.アルゲンとの決闘をしているんだが③・・・

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 アルゲンが魔力を込め始めて数秒。

 どんどんと流し込まれる魔力に呼応し、刀身に浮かび上がった刻印もその光を強めていく。



(なんだ?あの文字は

 …魔法言語なのは確かだけど、見覚えが……ハッ!

 ゲームとかでよくあるルーン文字に似てるぞ!)



 刀身に浮かぶ刻印に前世で知るルーン文字を見たフラッドは、ルーン文字が魔法(魔句)に使われている現実に少なくない興奮を覚える。

 そんなフラッドの様子など眼中にないのか、正面に立つアルゲンはその剣へと魔力を込め続ける。



「…クゥ…」



 それは相応の魔力を必要とするのか、1分にも満たない時間であるにもかかわらず、魔力を込めるアルゲンの顔には目に見えるほどの疲労が浮かんでいた。

 そうこうしているうちに魔力が必要値に達したのか、それは起こった。

 込められた魔力の性質からか、刻印が鮮やかな紅色に瞬いたかと思えば、その刀身は赤熱し、ユラユラと火の粉舞う陽炎を纏い始めたのだ。



(へぇ。

 こういうことも出来るのかぁ。

 ま、アニメとか小説でも魔剣やらエンチャントやら王道と言っていいほどにあったし、それを思えば出来て当然なんだろうけど…なんで俺は今の今までその事に思い至らなかったんだァ!

 もっと早く気づいていれば練習なりなんなりして俺TUEEEE出来たかもしれんのに!

 あぁ、俺のアホ!前世の記憶を持ってる意味よ!?

 本当にどうし──)



 アルゲンが使ってみせた魔句であろうそれに、純粋な驚きを覚えつつも後悔やら何やらで思考の坩堝へと誘われるフラッド。



「ハァハァ…ハァ…フフ、フハハハハ!

 …凄い!これがファイアエンチャントか!

 見ろ!これがお前と私の格の違いというものだ!」



 魔句の発動が余程嬉しかったのか、アルゲンは感動と興奮に身を震わせながら高笑いをあげる。

 それはある一定の技量を求められるのだろう、アルゲンがそれを発動させたことに観戦席から感嘆とも取れるどよめきが聴こえてくる。



「どんな小細工を使ったかは知らんが、これを使えばお前のそれも直ぐに切り伏せられるぞ!」



 アルゲンは高揚した状態で、そう意気込むと速さをそのままに最初と同じ挙動で駆け込んでくる。



(ハッ!まずい!

あれがどんだけの威力があるか解らない以上安易にこのまま受ける訳には行かねぇ)



 アルゲンの動きに遅れて反応したフラッドは、即席で張ったバリアで受けるのは危険と判断し、回避を試みる。



「なっ!」



 しかし、いざ回避しようとフラッドがアルゲンとは逆側へ体を向けると、それをさせまいと礫が飛来する。

 それはフラッドが想定しうる進行方向のほぼ全てを捉えているのか、フラッドが別の場所へと向きを変える度に飛来する。



「ハンッ!お前がそう動くことは想定済みだ!」



 礫の飛来元であるアルゲンは、器用にもいくつかの礫を滞空させながら駆け込んでくる。



「クッ!」

(なんでさっきからコイツはこうも頭が回るようになってんだよ!

 直前まで単調な動きしかしてこなかったのに…まさか戦いの中で学習しているとでも言うのか?

 って、ないない絶対にありえない!

 仮にあったとしたら、それはどこぞに居るらしい勇者様やここで言ったらルークみたいな主人公枠であって、それがコイツみたいなあからさまな悪役に起きてたまるかっての!)



 フラッドは焦りの表情を浮かべ、内心に浮かんだ1つの可能性を否定する。

 その否定はまさしく正解であり、実際は手にした力から少しの余裕を取り戻したアルゲンが本来の実力を発揮できるようになっただけなのである。

 しかし、フラッドがアルゲン本来の力量を把握している訳もなく、その可能性はフラッドの頭に付きまとうのだった。



(回避をさせないってんなら、もう逸らすか弾くか、どちらにせよ攻撃を受ける他ないってわけだ。

 ……周りの口ぶりを聞く限りだとバリアは1方面に展開するみたいだから…

 つまり、展開する場所を任意に指定できるってわけだ!

 それなら、今展開してるバリアをそのままに刀身にバリアを纏わせて迎え撃てばワンチャンあるんじゃないか?)



 善は急げと一つの案を思いついたフラッドは、その手に持つ剣へとバリアを纏わせるイメージをする。



(こう、ラップでクルクルゥ〜と巻く感じで…)

「…()()()!」



 迎撃の構えで再度魔句を唱えるフラッド。

 それは瞬く間に形を作ると、刀身へとへばりつく様に展開される。



「ハンッ!

 今更そんなものを何枚用意したところで意味なんてないぞ!」



 フラッドの言動を見てなお勝利は揺るぎないと、余裕の表情で詰めてくるアルゲン。

 彼我の距離が1歩また1歩と近づく度に、アルゲンの刀身から発せられる熱気がジリジリと身を焦がす。



(アツゥイ!

 え、メチャ暑いんだけど?

 一応俺の出したバリアって、魔力性質のお陰もあって冷気まとってるんだよな?

 ちょっとしたエアコンなわけだよな?

 な、の、に、この距離でこんだけ暑いってどゆこと!

 なしてお前は平気な顔をしてる訳!?)



 戦いの緊張感はどこへやら、迫り来る相手よりもジリジリと己を襲う熱に気を取られるフラッド。

 その表情は今日1番と言っていいほどに歪んでいる。

 それを恐怖を噛み殺している、もしくは圧倒的力量差に顔を歪めていると受け取ったアルゲンは、愉悦を滲ませながら挑発をしてくる。



「今更後悔しても遅いぞ!

 今お前が惨めに命乞いをしたとしても、もう私は止まらない!

 あぁいい、その(表情)だ!その(表情)を私にもっと見せてみろ!」


(ただでさえ暑いのにやかましいなぁ!

 とにかく俺は暑いのが苦手なんだよ!

 ()()()バリア(エアコン)の出力をあげないとなぁ!)

「フゥゥァァア!」



 とにかく自分へと襲い来る熱気から逃れようと、フラッドは己が全体を覆うバリアへドンドンと魔力を注ぎ込んでいく。

 魔力の量が増えるにつれ、それが纏う冷気もドンドンと強くなっていく。

 そうして滲み出る冷気が熱気を上回った時、周囲はアルゲンのいる場所を除き、ドライアイスを散布したかのように白い靄が立ち込めていた。

 また、ただでさえ異常なまでの硬さを披露したフラッドのバリアだが、その強度も溢れる冷気同様流し込まれた魔力量相応に強化されているのだが、当の本人(フラッド)はそれまで自身を苛んでいた熱気からの解放に人心地ついており、その事には気づかない。



(フゥ。

 ようやく涼しくなったな)


『 なんか首席の周りヤバくね?』


『 また新しい魔句を使ったのよ』


『 なんか私寒くなってきた』


『な、な、なんですか!あの魔句は!? 』


『 なぁ、あれ…大丈夫なやつなんだよな?』



 アルゲンの時とはまた違ったどよめきが演習場に響く。

 そんな観客の声など当人たちには届いていないのか場面は進展していく。



「何をしたかは知らないが、もう手遅れだ!

 お前はここで私にやられるんだよ!」


「俺だって、みんな(ポーラ達)が見てる手前簡単に負ける訳には行かないんだよォ!」



 いつの間にか剣へ纏わせたバリアまでもが強化されたフラッドのそれは、さながら氷の剣といった様子である。

 互いの間合いが剣戟の間合いへとなった時、相容れぬ二つの剣が交差する。

 お読みいただきありがとうございます。

 また、当初の投稿予定日から1週間も遅れてしまったこと深くお詫び申し上げます。

 言い訳が許されるのならば、ここ数週間の急激な寒暖の差や気圧等の関係であまり気分が良くなく、それが原因で遅れてしまいました。

 今年は昨年よりも緩急が激しいのでなおさらに…(泣)

 このような理由でご納得いただけるとは思いませんが、これが理由で投稿が送れたのは紛れもない事実ですのでご理解賜りたく存じます。

 また、今後の投稿についても一定期間遅れが生じると思いますのでご承知置きいただければと思います。


 できるだけ投稿予定日に間に合うように努めますので何卒ご容赦を。

 して、その投稿予定ですが今のところ7/5を予定しています。

 私事でご迷惑をお掛けしますが、何卒よろしくお願いいたします。

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