56.両親からの手紙を読んでみたんだが・・・
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ペーパーナイフで封を開けたフラッドは、早速と内容を読み始める。
『フラッドへ
貴方が入学してから、この手紙が届くころには三・四日は経っているでしょう。
学院生活には慣れてきましたか?
え?実家に帰ってから届くまでが早すぎるって?
フフッお母さんは貴方の魔句の師匠でもあるのよ?
まぁその辺りは置いてい置いて、貴方には是非伝えなければいけない報告があります。』
(うん、それについては実際に思ったけども、それについてもお見通しってわけですか・・・
てか、その方法よりも重要な報告って、もしかして父さんが不治の病にかかったとかか?)
真面目な始まりとは一転して、急に素直な表現に変わった母からの手紙に少し毒気を抜かれるフラッド。
封を切る前に思考を巡らせていたことについて文中で触れられドキッとしながらも続きへと目を向ける。
『本当は寮にお邪魔している間に伝えてしまおうかとも思ったけれど、それじゃあ面白くもないし、貴方に変な気を遣わせてしまうと思って、こうした形での報告を取ったわ。
それで肝心なその報告なのだけれど・・・・・・――』
(おいおい、随分と引き延ばすなぁ・・・
って次のページ行ってんじゃねぇか!
これだけ延ばすんだから、よっぽど重要なのか遊ばれてるのか・・・)
何行かの改行を入れ二枚目へと差し掛かる手紙。
延ばしに延ばされた報告にフラッドは少し呆れを感じつつも二枚目へと目を通す。
『――・・・なんと近々フラッドに弟か妹が生まれる予定です!』
(やっとか)
溜めに溜めたフラーナの報告を読んだフラッドだったが、いつぞやのキャンプの日からこのことを予想していたフラッドとしてはそこまでの驚きを感じることは無かった。
(近々って言うと、母さんのお腹はあまり大きくなってなかったし、うーむ・・・
だいたい5か6ヶ月後位か?)
母の出産予定を予測するフラッド。
そこで出会うであろう弟か妹かに思いを馳せつつ、続きを読んでいく。
『驚いたかしら?
お父さんは、このことを知ってからもうずっと心配しっぱなしなの。
フラッドにはバレないように頑張っていたみたいだけど、お母さんからしてみれば必死になって隠してるから、それが面白くて・・・』
(父さんならそうなるだろうな。
てか、母さんにつきっきりになり過ぎて仕事がおろそかになったりしないだろうか?
困るぞぉ、実家に帰省したら領主様がご立腹なんて状況に遭遇したくないからな?)
普段から二人だけの世界を形作っている様子を見ていたフラッドは、それが今回のものにも適用されないかと心配をする。
『実は名前も考えていたりするのよ。
男の子ならシオン。女の子ならマーレよ。
可愛い子が産まれて欲しいから、そんな風な名前にしたの』
(おいおい母さん、それじゃあまるで俺が可愛くないみたいじゃないか)
フラーナの遠回しな表現に一人戯けてみせるフラッド。
ひとしきりやり満足すると、続きを読み始める。
『――夏の帰省の時にはまだ生まれていないと思うけど、楽しみにしててね。
新しい家族についてはそんなところね。
それ以外としては、ザック君たちが貴方達に手紙を出したいって家に来たから書き方を教えてあげたわ。
一緒に送ったから届いてると思うわ。
慣れない学院生活は大変だと思うけれど、頑張るのよ。
お父さんも私も、貴方の帰省時に聞ける思い出話を楽しみに待ってるわ。
何時も貴方を愛している父と母より」
新しい家族が増える報告以外は、案外淡白としたものであまり時間をかけずに読み終えることが出来たフラッド。
フラッドは、両親に話せるような面白いことが経験できるだろうかと一瞬考えるも、つい昨日にあった決闘がそれに該当することに思い至り一人で笑ってしまう。
ふと窓の外へ視線を向けると、読み始める前に比べほんの少し太陽が昇ったと感じる。
まだまだ時間に余裕があることを理解すると、もう一つの手紙、ザック達からのものへと手を伸ばす。
お読みいただきありがとうございます。
本話も前話と同じくグダグダになってしまいすみません。
次話についてはザック達の手紙と言うことで、もう少しこのような流れが続きますが今しばらくお付き合いいただければと思います。
して、次話の投稿予定ですが私の都合が付かない関係で2/16を予定させていただきます。
内容に引き続き申し訳ありませんがご容赦ください。




