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55.手紙を読もうと思うんだが・・・

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 決闘の疲労もあり、昨日はベッドに入って早々寝てしまったフラッドだが、それのお蔭か寝起きはとてもすっきりとしたものであった。



「くあぁぁぁ・・・」



 大きく伸びをしながら目を覚ましたフラッドは、普段なら扉越しに聞こえてくる生活音が少ないことや、窓から差す陽光の角度から、普段より一、二刻早く起きれたことを察する。




グゥゥ

「・・・」




 昨晩食事を取ることなく深い眠りについたフラッドの胃は、その音と感覚をもって空腹を訴えてくる。

 空腹を自覚すると同時に、思い出したようにのどの渇きを覚えたフラッドは、ひんやりと冷たい床に足をつけコップを取りに行く。



「っ!」

(この季節でもまだ床が冷たく感じるな)



 足先から伝わる冷たさに少し驚きながらも、コップを取ったフラッドは、何気ない風に魔句を唱え、コップを水で満たす。



「クリエイトウォーター ・・・ゴクッ」



 常温で生成された水は普段ならなんとも思わないのだが、のどの渇きによってか、今は格段に美味く感じるのだった。



「ふぅ・・・」



 水を飲み、一呼吸置いたフラッドは、昨日意識が途切れる直前にあったポーラの行動が思い出せずもやもやとした思いを抱きつつ、昨日同様、(フラーナ)が作り置きしたシチューを温め始める。



(しっかし、寝る直前にポーラが何かしてきたと思うんだが、俺はいったい何をされたんだ?

 耳元で労いの言葉を聞いた気もするけど、それ以外にもあったはずなんだよなぁ

 ・・・うぉッ!危ねぇ焦がすところだった。

 母さんの作った飯はコレしかないんだ、焦がして不味い思いするぐらいならこっちに集中しないとな)



 昨日の事に集中し過ぎた余り危うく鍋を焦がしそうになったフラッドは、食事を優先し黙々と火の番をする。

 しばらくし、部屋がシチューの匂いで満たされてくると、その匂いに刺激を受けた胃が更なる主張を始める。

 治まることのない腹の虫と、永遠と湧き出る唾液を呑みながらフラッドは盛り付けを終え食卓に着く。



「・・・いただきます」



 食事の挨拶を済ませたかと思うと、勢いよくシチューを書き込むフラッド。

 その勢いが過ぎたのか、軽くむせ返る。

 少し腹に入れた時点で、ようやく落ち着いたフラッドは残りのシチューをゆっくりと咀嚼していく。

 併せてパンが欲しく感じたのだが、黒パンは昨日の時点で食べ終えており、帰り際に買い物等していないため、シチューと水を交互に咀嚼することしかできなかった。




(やっぱり足りねぇな。

 んん~いつもより早く出て食堂にでも寄るか?)



 若干の物足りなさを感じながら、フラッドは食器を片付け始める。

 片付けを終えるころには他の部屋の生徒達も起き始めたのか、扉越しに聞こえる喧騒が少し大きくなってきていた。



(だいたい三十分ぐらい経ったか?

 って言ってもいつもの時間まではかなりあるよな?

 食堂に行く時間考えても・・・うん、大丈夫だな)



 ポーラが迎えに来るであろう時間までまだかなりの余裕があると判断したフラッドは、ケーテに伝えられた言葉を思い出していた。



(そう言えば、ケーテさんが俺たち宛に手紙が来てるって言ってたよな?

 部屋に置いておいたってことは・・・)



 ケーテが起きそうな場所に当たりをつけたフラッドは、真っすぐに部屋に備え付けられている勉強机へと歩いていく。

 この勉強机は大小サイズの違いはあれど、全ての部屋に人数分配置されており、特待生たるフラッドの部屋には50インチのテレビを余裕をもって置けるほどの、勉強机としては大きすぎる物が設置されていた。

 そんな机の上へ視線を向けると、おそらくケーテのものと思われるきれいな字で書かれたメモ書きと、二通の手紙が置いてあった。

 メモには今後手紙が来た際は、この勉強机の上に置く旨と、多少散らかっていた入学資料関係を整理した旨が簡潔に記載されていた。

 そのメモの通り、初日に机の上に広げそのままにしていた資料は、端の方に一纏めに束ねてあった。



(入寮早々手間をかけたみたいで申し訳ないから、今後はもっとしっかり整理整頓しないとだな。

 油断すると服とか脱ぎ散らかしちまうからな。

 手紙類はここにってことだし、もっとわかりやすいように専用の籠でも置いておくか?)



 などと、これから長く続くであろう寮生活の為に色々と考え始めるフラッド。

 ひとしきり考えがまとまったのか、小さく「籠は今日…」と呟くと次いで二通の手紙へと目を向ける。

 それぞれの送り主を確認すると、片方は家族、つまりガラッドとフラーナから、もう一通はザック達4人からの手紙であることが解った。

 封印の紋章が同じであることから、おそらく両親(ガラッドとフラーナ)の協力の元手紙を作成したのだろうと推察するフラッドは、手紙の書き方に四苦八苦しつつも真面目に両親の説明を聞く四人を想像し、つい小さく笑ってしまう。



(まさか本当にアイツらからの手紙だったとは。

 母さん達からも来てるけど、母さん帰ったの三日前だよな?

 それで手紙って・・・そもそもまだ家についてないんじゃないか?

 …もしかしなくても母さん転移魔法使えるとか?

 それだったらまぁ、でも手紙が届くまでの時間を考えると…

 ポーラにも来てるってことは、オッサン(ダリウス)おばさん(エリーゼ)も書いてるだろうし、アレか?前世で言う速達便みたいのがあるのか?)



 母の帰宅から手紙が届くまでの時間を考え頭を悩ませるフラッドだが、魔句については元師団長を務めていただけあり優秀な(フラーナ)と、子供の為ならどんなことでもする親バカ(ダリウス)の事を考え、なんとなく納得してしまう。



(って、んなことは今考えなくてもいいな。

 取り敢えず開けるか)



 それまで考えていたことは取り敢えず横に置き、勉強机に備え付けられたペーパーナイフを取り出し封を切るフラッド。

 二通とも封を切ると、まず最初に両親からの手紙に目を通すのであった。

 お読みいただきありがとうございます。

 本話、非常に短い、尚且つ内容が薄いです(汗)

 言い訳にはなるのですが、先日改行の関係で指摘を受けまして、その時点まで投稿していた話を全て修正したのです。

 それがどう関係するのかと言いますと、本話がその修正方法を取り入れて作成した所謂『テスト』を兼ねたものになっているのです。

 できている物を直すのと、最初から変えるのでは感覚が変わる恐れがあった為の行為です。

 差し当たって皆様にはご迷惑をお掛けしますが、どうかご容赦願います。


 して、次話の投稿予定ですが、2/2を予定しています。

 上記で記載した修正や本話の改行部分などで、まだ改善されていない等ありましたら、お手数ですが活動報告の方へコメントいただけると幸いです。

 もちろん、それら以外でも何かありましたら同じく教えていただけると非常に助かります。

 ※投稿後、それようの物を作成します。

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