表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/82

33.初依頼に行ってみたんだが・・・

8/18

投稿が遅れてしまい申し訳ありません

 ダンによる能力テストから数日。

 フラッドは現在、いつぞやのピクニックをした森から少し離れた森の中で息を潜めていた。



「・・・ザック、あそこの巣穴。

 まだ、足跡が新しい。

 指先の方向からして巣穴に戻ったばかりだと思う」



 そう言ってフラッドが差した先には、猫や子犬一匹が入れっそうな穴があり、その入り口には跳ねたのか真新しい蹴られたような足跡が残っていた。

 フラッドとポーラがダンから合格の一言を貰った後、再度評価を交えた食事会を行った。

 その後、二人が特例で冒険者見習いになってからまだ依頼を受けてたことがないことを聞いたダンから、低級の魔物の討伐依頼を勧められた。

 そしてフラッド達は今、その依頼を受けており、その討伐対象であるホーンラビットの痕跡を見つけたのだった。



「あぁそうだな。

 さすがエルロスだな。

 魔物の習性からおおよその位置を割り出すんだからよ。」


「これでザックも弄りづらくなったんじゃないか?」



 フラッドへの返答として、ここまで捜索範囲を絞ったエルロスを称賛するザックに笑いを隠すことなく茶々を入れるフラッド。

 そんな日常的な雰囲気を垣間見せながらも、二人の表情は瞬時に真剣そのものへと戻る。



「ローナ、俺が合図したら作戦通りその毒球を巣穴に投げ

 込め。

 ソレに驚いてホーンラビットが出てきたら、フラッドが魔句を使って足止め、そこに俺とポーラで挟撃。いいな?」


「「わかった~(わかった)」」


「ザック、依頼の内容からして複数体出てくる可能性もあるけど、その場合は両方止めれば大丈夫か?」


「そうだな、その場合は半分を俺、もう半分をポーラが攻撃する。

 まぁ多くても二匹か三匹かだろうし問題ねぇだろ。

 それに周りはイオとエルロスが警戒してるからな!

 それでいいだろ?」


「それで問題ないと思う。

 ただ、予想に反して多く出てきた場合は一度撤退するようにしよう」



 フラッドの言葉に三人が頷くと、それぞれ指定の場所へと移動する。

 皆が位置に着くと、ザックから合図が飛ぶ。

 それを確認したポーラは、幾度となく練習を重ねたのだろう、綺麗なフォームで寸分のたがいもなく巣穴へ投擲する。

 毒球が投擲されてから数秒後。

 巣穴から見るからに毒々しい紫色の煙が出たかと思うと、キューッキューッといった鳴き声と共に額から角を生やした兎が飛び出してきた。

 僅かながらも毒の影響を受けたのか、俊敏さに欠けるその動きは、フラッドの魔句に因る足止めを容易なものとした。



「ソイルバインド」



 ホーンラビットが巣穴から出て間もなく、土の茨が後ろ足を絡めとると、だしゅつの勢いもあってホーンラビットはもんどりを打つ。

 通常なら即座に体勢を立て直すはずであるが、毒が効き俊敏さに欠けたホーンラビットは起き上がるのに時間を要した。

 その好機に、付近の茂みに隠れていたザックとポーラが飛び出し突きを放つ。

 スケルトン戦で遺憾なく成果を発揮したポーラはさることながら、ザックもポーラとは一味違った鋭い突きを放ったのだった。

 二人の突きはそれぞれ首と腹を刺し貫き、その傷口から溢れる失血によってホーンラビットは即座にその命の灯を消す。

 巣穴から飛び出したホーンラビットが絶命してから一分程、それ以外にも出てこないかを警戒したフラッド達だったが、その後も巣穴から出てくる気配がないことわかると、フラッドは懐から子笛を取り出し、事前に決めていた回数分笛を吹く。

 そうしてしばらく待つと、木々をかき分けイオとエルロスが現れる。

 現れた二人の手には、首を切られ血を抜かれたホーンラビットの姿があった。



「やっぱりそこに巣穴があったみたいだね」


「エルロスとイオも仕留めたんだね」


「うん。上手く罠にかかったから、それをイオにね」



 そう言って差し出されたホーンラビットは、よく見れば足元にギザギザとしたものに挟まれ、肉が露出している部分があった。



「二人ともさすがだね」


「そんなことはないよ。そっちだってなかなか」


「ははっ!このままじゃ褒め合いになりそうだから、早速討伐証明部位を採取しようか」



 そう言うと6人は討伐証明部位と素材を得るため解体を始めた。

 以前ホーンラビットを撃退したときは知らなかったことだが、ホーンラビットの討伐証明はその特徴的な角であり、それ以外にも毛皮や肉は素材としてそれなりの値段になる。

 それらの解体を終えた一行は街への帰路に就く。

 そして街へ着くと緊張の糸が切れたのか、街へ入るなり路肩でしゃがみ込む。

 その緊張は、さほど強いわけではないホーンラビットだが、以前遭遇し大きな痛手を喰らったジャイアントローチの件もあり、魔物の討伐と言うものに少なくない恐怖を持っていた為であった。



「いつまでもここに居てもしょうがねぇし、サッサと報告しちまおうぜ」



 しゃがみ込んだ状況からいち早く復帰したザックがそう言うと、面々はそれに続くように立ち上がると、冒険者ギルドへと向かった。





 冒険者ギルドで依頼達成の報告を終えた一行の前には、依頼達成料である6000ロートと肉や毛皮を打って手に入れた3700ロート、合わせて9700ロートが置いてあった。

 今回、エルロスとイオが仕留めたものが比較的状態が良かった為この金額となったが、フラッド達の仕留めたものが同程度だと10000ロートは超えていただろう。

 決して高い金額ではないが、初めて何の問題もなく手にした、自分たちで稼いだ金に彼らの表情は喜びや達成感に溢れていた。

 そして、本当の意味での初めての依頼達成を祝い、一行は『肉火のシュティーア』へと向かって行った。



 お読みいただきありがとうございます。

 前書きでも触れさせていただいた通り、本話の投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

 次回以降注意していきますので何卒よろしくお願いします。


次話の投稿ですが8/25を予定させていただきます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ